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風俗で働く女性・1万人の声を「困難女性支援法」に反映させるために(夜の世界と社会をつなぐNPO理事長の月報:2023年9月号)

こんにちは。NPO法人風テラス理事長の坂爪です。

2023年9月1日、新潟県警察本部にて開催された「新潟県困難な問題を抱える女性への支援計画(仮称)策定委員会」に、委員として出席・発言して参りました。

困難女性支援法のポイントは、以下の通りです。

困難な問題を抱える女性支援の根拠法を、「売春をなすおそれのある女子の保護更生」を目的とする売春防止法から脱却させ、「女性の福祉」「人権の尊重と擁護」「男女平等」といった視点を明確に規定した上で、「民間団体との協働」の視点を取り入れた新たな支援の枠組みを作る

まさに風テラスの活動領域とぴったり重なる法律です。

風テラスでは、2015年の事業開始以来、1万人を超える女性のご相談をお受けしてきました。

風俗で働く女性たち・1万人の声を、今回の困難女性支援法に基づく支援計画に反映させるため=風テラスの日々の支援現場で得られた情報や具体的な知見を支援計画に盛り込んで頂けるよう、発言や提案をしていきたいと思います。

会議の中で、30年近く新潟で女性支援に携わっている委員の方からもご発言がありましたが、今回の困難女性支援法、長年女性支援の世界に携わっている方々にとっては、まさに「待望の法律」であり「積年の努力の結晶」です。

「女性支援」「DV」「ハラスメント」といった言葉自体が存在しなかった頃から、社会の中で孤立・困窮している女性たちの声を聞き、彼女たちの不安や悩みに寄り添いながら、世間の無理解と制度の不在の中、手弁当とボランティアで草の根の支援を続けてきた努力が、ようやく法制化という形で実を結びつつある、という状況だと思います。

ただ、どんな法律も「作って終わり」ではありません。法律をつくるよりも、つくられた法律をうまく運用するほうが、何倍も難しい。

70年近く前につくられた売春防止法も、様々な人たちの議論や尽力の中で制定された法律でしたが、結果的には、売春の防止=売買春に乗り出す個人を抑制することはほとんどできず、婦人保護施設も軒並み定員割れになってしまい、残念ながら、法律としてはうまく機能しませんでした。

法律をうまく運用するためには、何が必要か。その答えは山のようにあると思いますが、確実に必要なことは、法律に基づく計画の策定に関する議論、及び実際の運用に「一人でも多くの人に関わってもらうこと」だと私は考えています。

特定のジェンダー、特定の政治的立場、特定の宗教的信念、特定の思想信条を持った人たちだけしか関わっていない・共感できない法律は、社会の現実から浮き上がってしまい、形骸化してしまいます。

当事者だけではなく非当事者、専門家だけでなく市井の人たち、そして女性だけでなく、男性にも、世代や職種を超えて、積極的に関わってもらう必要があります。

今回、委員のほとんどが女性であり、男性は私を含めて2名だけ(もうお一人は産婦人科医の方)でしたが、女性支援の世界にこそ、もっと多くの男性が関わるべきだと思います。

女性支援に関わるNPOの炎上が社会問題化している中、困難女性支援法に関しては、様々なデマや批判がSNSで飛び交っています。

そうした根拠のないデマや不毛な批判を吹き飛ばし、法律を実行性のあるものにしていくためには、「一人でも多くの人に関わってもらうこと」が必要になります。

風俗で働く女性たち・1万人の声を今回の困難女性支援法に基づく支援計画に反映させるために、そして、一人でも多くの人に今回の支援計画に関わって頂けるよう、発言と発信を続けていきたいと思います!




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