この人!と思う弁護士さんにたどり着くまで
性風俗への国からの支援除外について声をあげるうちに「これが差別かどうかを知りたい。それは政治ではハッキリしないだろうから裁判をするしかないのかな?」などと考えるようになりました。そして様々な弁護士さんのところに相談に行きました。
普段から店のトラブル時に依頼をしている弁護士さんもいましたが、自分なりに調べたり、ナイト産業を守ろうの会の佐藤さんと話すなかで「これは憲法に関わる問題のようだ」と知りまして、憲法であったり行政訴訟に詳しい弁護士さんを探していました。
弁護士事務所に相談に行くと、どの弁護士さんも優しくしっかりと話を聞いてくれますし、質問にもきっちり答えてくれます。では、どうやって選んだらよいのか?
ネットで「弁護士の選び方」と検索すると「意欲的に取り組んでもらえる人がよい」と書かれたページがありました。
そう考えると、弁護士さんによっては、性風俗店の弁護をすることに気乗りがしないという人もいるかもしれないと思いました。実際に、とある弁護士さんからは「性の産業化はどうなんだ、ということがあるからね~」と言われて他の弁護士事務所を紹介されました。それを言った弁護士さんはとても優しく親身になって話を聞いてくれましたし、考えかたや方針の違いはどうしようもないので、腹が立つことはありません。ハッキリと言ってくれるだけありがたいと思いました。
そんなこともあり「実はあんまりやりたくないな」と考えている弁護士さんに依頼をするのは避けたいと思いつつ、それをどうやって知ればよいか分からなくて悩んでいました。
そして、誰に依頼をするのがよいかを考えながら、裁判ではどんな争いかたをするのかと法律のことを調べているうちに「持続化給付金は国による補償なのかな?」と思ったタイミングがありました。おもむろに検索すると、とある記事にたどり着きました。
今回、依頼をした弁護団・団長の平裕介弁護士の記事でした。
記事には「弁護士兼行政法研究者」とあり、詳しくプロフィールを調べると憲法問題を扱う訴訟にも力を入れているとのことだったので、これは!ドンピシャ!と思ったのを覚えています。
そして、記事の最後にある文章を読み、とても励まされました。
長いのですが、そのまま貼っておきます。
『たびたびの自粛要請によるイベント中止等によって損失を受けている文化芸術活動を行うアーティストや関係者、事業者らは、私たちの国の文化芸術の灯を消さないようにするために、何ができるだろうか。ひとつは、声を上げることである。「萎縮」することなく、表現の自由(憲法21条1項)や請願権(憲法16条[*39])等の基本的人権を行使することであり、もちろんウェブやSNSでの表現行為であってもよい。カタストロフ的な状況にあるともいえる今こそ、基本的人権を自覚的に行使するという「現在」(憲法11条)の個々人の「不断の努力」が、基本的人権とその価値を「将来」(同条)の市民に引き継いでいくための極めて重要な立憲主義的営為であるものと強く認識されるべき時であるといわなければならないだろう。もうひとつは、慎重に検討をしたうえで、場合によっては上記のような国家賠償と損失補償を求める訴訟(損害賠償等請求事件)を提起することである。理不尽を強いられていると考える場合等には、「裁判を受ける権利」(憲法32条)を行使し、政府等の対応を訴訟等によって争うことが必要となる。』
これは、自分がこれまで活動する中で辿ってきた「SNSで声をあげて、陳情書を提出して、そして裁判を考えるようになった」という状況を肯定してくれるような内容だと感じました(このような活動をするのは初めてで、自分の行動が正しいのか不安を持っていました)。
平先生が性風俗をどう捉えているかは分からないけれど、とにかく連絡をしてみようと思い、長文のメールを送りつけました。
そして、平先生はすぐにお返事をくださり、弁護団を組むのが良いということなど、いくつかの提案をしてくださいました。それまで私は裁判についてリアルなイメージを持つことが出来ていなかったので(他の弁護士さんへの相談では分からない部分でした。私の相談のしかたもあるのでしょうが)、具体的な提案をしてくれることはとてもありがたく、そして依頼を受けたくないとは思われていないであろうことが分かったので、この人だと思いました。
そうして私は平先生に依頼をしまして、平先生は超絶心強いメンバー(出口かおり弁護士、三宅千晶弁護士、井桁大介弁護士、亀石倫子弁護士、福田健治弁護士)での弁護団を組んでくださいました。訴訟提起はこれからですが、そこに至るまでにも既に弁護団の方々に何から何まで頼らせていただいています。
今回、色々な弁護士さんに相談に行って、そして誰にお願いをするかを決めるにあたり、インターネットの力は偉大だとあらためて感じました。
ネットで調べれば、自分が抱える問題と近い内容について文章を書いている弁護士さんが出てきますし、これまでどういった訴訟に関わってこられたのかも知れます。SNSをされている人もいます。しかもありがたいことに相談窓口の連絡先を書いていてくれていることもあり、本当にネット様々です。ネットが無い時代はいったいどうしていたのだろうと思います。
訴訟のことを発表してから、何人かのかたに「どうやってあんな凄腕の弁護士メンバーを見つけたの?」と聞かれましたが、インターネットのおかげとしか言えない感じです。家にWi-Fi環境を整えていて本当に良かったです。
もしも私と近い状況の人がいたら、その人が弁護士を選ぶ際の参考になればと思い、この記事を書きました。少しでも役立てば何よりです。
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