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#読書メモ_6『まんが パレスチナ問題』

毎日毎日悲惨な内容が報道され、仕事終わりの疲れた頭で残酷なニュースを観ることが辛くニュースを避けるようになってしまっていたが、知らないことが多すぎると感じて本書を手にとった。

1冊本を読んだだけで勉強したと言ってはいけないかもしれないけれど、よく整理されて書かれていて、「エルサレム」「十字軍」「オスロ合意」といった言葉の持つ背景がわかった。点と点が線で繋がった。私が幼児のころ9.11があってそこからの戦争について報道されていたことをおぼろげに覚えているが、すべて繋がっていて、どう繋がっていたのか分かった。ただ、イスラエルが建国されてからの歴史があまりに複雑なので、本書を繰り返し読んだり、他の本も読んでみたりしないと分からないと思った。

お金持ちではなくても教育を受けてお腹いっぱい食べられて暖かくて安全な寝床がある自分と、いつ自分や家族が殺されるか分からない生活を強いられる人々のあまりの違いに愕然とする。正直、同じ世界で起きていることだと信じたくないくらい、あまりにも理不尽で、言葉がない。

あるドキュメンタリー内で、イスラエル兵がパレスチナの子供の頭を撃って「ざまあみろ」と仲間と笑っている隠し撮りと思われる音声が流れて、悪魔のような行為で、信じられないと思った。でも、条件が揃えば人間はそういう風になってしまうのだろうと思った。条件さえ揃ってしまえば、私もそういう存在になり得るのだと思う。『夜と霧』でも、子供が殴られているのを目の当たりにしても、だんだん慣れてなんとも思わなくなってしまったと書かれていた。

自分にできることは、せいぜい寄付をやめずに続けること、反戦の署名をすること、そして学ぶことを辞めないで、ナチス政権下でユダヤの人々をかくまった非ユダヤ人のように、自分の頭で考え、おかしいと思うことに抵抗する人間になることだと思った。

「テロリストを作るのは貧困じゃないんだよ。絶望なんだ。未来に希望があれば貧乏だって耐えられるし、人を愛することだってできるんだ。」という文章が一番印象に残った。

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