描写遊び

風景描写をよく集める。

だから描写を楽しむ他の方の記事を見つけてテンションが上がった。


今までnoteで描写を探したことはなかったけど、「#描写遊び」のタグで描写メインの記事が見られる。もっと早く知りたかった。

本を読む時、話の本筋やキャラクターを差し置いて、風景描写だけ書き抜いたりする。
テーマごとにたまってきたら、好きな写真でカバーをかけてコレクションにした。

自分で文字スケッチすることもあるので、印象的だった風景をのせてみた。ひとつは学生の時のやつ、もうひとつは3ヶ月前のやつ。

天気雨

学校の帰り道、頬や頭に水滴があたって顔を上げた。

一瞬ビー玉かと思った。
大粒の水が一斉に、遊ぶように落ちてきた。アスファルトで次々と水が砕け、光が四方へはじける。
日向の水の匂いが、いっきに頭の高さまで立ちのぼった。

どしゃ降りの水飛沫。

夏の日差しを閉じこめた水玉が重なりあい、景色がかすむ。

通り雨だったのか、
空から落ちる飛沫はすぐにおさまった。

明け方

目が覚めると、口がひどく乾いていた。
眠気で重い身体を起こし、蛇口をひねる。
顔を洗い、ぬるい水を飲んだ。空気のこもった家から出る。

雨は夜の間に上がったらしい。
空気中を溢れる水分には、植物の香りが混じっていた。香りの粒が鼻を通り、肌を湿らせる。

紫陽花色の空に、ちぎれ雲が咲き渡っていた。
地平線には、檸檬を輪切りにしたような太陽。

風がないのか、雲はあまり動かない。
雨上がりの空は、いつもより遠かった。

おわりに

今回のアイキャッチは、連なる雫で、繊細な細工物となった蜘蛛の巣。
ボケの効果だろうか。キラリと表面で光を跳ね返すんじゃなくて、雫自体が淡く発光して見えて、
一粒一粒の存在感がありつつ、いっそう儚い。
記事に合わせようと思っていた水や光の質感とは違うけど、つい挿入。

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