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Twitterの危うさと面白さと

ただの1ファンにとってのTwitterは、常に危うさと面白さを見せてくれるメディアだった。

上場して広告を武器とした利益を追いかける企業として、そして近年はすっかりシステムも安定し、大人になったサービスとして完成したと思ったら、ここへ来て元の木阿弥になりそうである。そのサービスの存続が改めて危うく見える世界に戻されてしまうのだろうか。

解雇されてしまった方々には大変、残念ではあるのだが、昔からTwitterのファンとして見ている側としては、改めて存続の危うさに裏付けられるサービスの魅力に対して興味関心が戻ってきたというのが正直な印象である。

2007年頃に僕らの目の前に現れたTwitterは、何をやったらいいサイトかわからないけど、何故か心の関心をひきつけ、そして、ひどく危うい存在だった。

そもそも安定しないシステム、バグだらけで毎日のように挙動が変わるAPI

ファンであればあるほど誰しもから、半年先にはなくなっていてもおかしくないサービスと言われ続けるようなサービス。でも、@アカウント名で世界中の誰に対してもメッセージルーティングができるシンプルなコンセプトであるTwitterは、今の難解なWeb3よりも明らかにわかりやすくクールな存在だった。それ故に、誰しもがそれぞれの視野で自分勝手にTwitterのことを語ることができる。

2008年には国内にもTwitterライクなサービスがいくつも登場し、140文字という短文投稿サイトに対するオルタナティブを狙ってユーザーを獲得していった。しかし、その後、2009年にTwitterはこれらクライアントに負けずに国内でもユーザー数の増加は返り咲いた。日本人の中で記憶に新しいのはむしろ2009年移行のTwitterシーンであろう。

僕自身もモバツイというガラケー向けのTwitterクライアントを作っていて、本体よりも早めに国内向けの広告ビジネスを担う1サービスとして、小さいながらもマネタイズをさせてもらっていた。

僕自身はTwitterへの期待として、中央集権ではあるが、世界中の人の言論をつなぐメッセージングプラットフォームとして、言論の統制などが一切存在はしないが、スパム、クレジットカードやオンラインアカウントのフィッシングの温床となっている電子メール(SMTP)のような分散ネットワークとは違う形で統制されているメッセージングプラットフォームを期待していた。

更にモバツイも分散されたクライアントの一つとして、収益の上前をTwitter社に支払うような代理店的なビジネスが展開されることで、ツイッタークライアントが尊重されるようなビジネス構造ができたら、それはそれで面白かったのだが、残念ながらツイッター自身の存続のためにユーザ体験とメディアパワーを自社に集約する形でツイッタークライアントを追い出しにかかり、ツイッターAPIビジネスは、ツイッター社のために貢献できるパートナーに限る形でシュリンクしていった。
ちなみに、追い出しというと一方的に見えるが、彼らは彼らで強くなりゆくツイッタークライアントの統制に苦労していたらしいということは聞いたことがあるので、そうなってしまった流れは残念だったにせよ、流れとしてはわからんでもなかった。

ツイッターは140文字という制限を守ることこそが、Facebookを含めた他社から守る最大のブランディングとして作用し、そして、自分たちができることの制約を積み上げていった。

その結果、Facebookには劣ってしまったが、成功したソーシャルメディアサービスの一つとして、Web2.0における成功企業のポジションを獲得したのは間違いない。資本市場下におけるスタートアップとして、経営陣のジャッジメントは間違ってはいなかったのだろう。

さて、イーロン・マスク氏が買収した新しいTwitterはどうなっていくのだろうか。

あくまでもローカルな目線ではあるが、Twitterが相変わらず、多くの人のクリエイティビティを刺激してるなと思ったのは、実はここ10年以内のTwitterである。InstagramやSnapchatが出てきたにも関わらず、多くのスマホネイティブ世代がツイッターを活用するようになったことを目の当たりにしたことに尽きる。

FacebookやInstagramでは個人間の繋がりが強すぎ、Twitterはそれよりは距離感が遠いつながりが作れる存在として、それこそ多くの個人レベルの商業用アカウントとしても使われるようなソーシャルメディアとして確立している。こんなにサブアカが有効活用されるソーシャルメディアはそんなになく、個人の多面性を表現できるメディアツールとして確立しているような気がする。少ないフォロワー数でも薄い関係の結合を作れるツールとしては、おそらく、最高のツールなのだと思う。

Twitter社がマネタイズできてないだけで、Twitterの恩恵を受けてお金が動いている経済はかなりあるはずだ。

なにげにGoogleビジネスプロフィールが実現してしまっているような、SMBという言葉で期待されるよりも更に小さなサイズの個人やスモールチームにおける信用評価を表現するツールとして改めてマネタイズすることができれば、従前から存在するマス的な広告ビジネスとは違う世界を獲得することはできるのかもしれない。

もちろんイーロン・マスク氏がもっと大きな視野で何を成し遂げるのかはわからないが、資本市場でもGAFAがもてはやされた時とは打って変わって、徐々に「次のスター探し」として、Web3が期待される時代に入りつつある。その中で、相変わらず強みやメリットを言語化しにくいソーシャルメディア代表として、また面白いシーンを見せてくれるといいなと思っている。言論空間としてDAOを構成することができて、その上前を跳ねるみたいな世界ぐらいは期待してもいいのだろうか。

この記事を書いた動機は、この騒動でmastodonに人が抜けてるような話を見かけて、2008年の頃のツイッター競合サービスが生まれた時に似てるなぁと思ったからという、ただそれだけの話でした。

未だ持って、みんながこのサービスの存続がやべぇって思ってるんだなと考えると、2008年の頃と変わってないなぁということに関心させられる。それだけ緩く広く心を掴んでいるという、このサービスは史上最高のサービスかもしれない。

ちなみに、どうせ認証マークにお金を払うなら、支払いトランザクションに対してNFTやらSBTを発行するなど、おもしろいフィーチャーにして欲しいけど、それ以前にTwitter Blueすら提供されていない日本のユーザーはどうなるんだろうという危機感の方が先にはある ;->


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