125ccのバイクで日本一周【121日目】 愛知県蒲郡市〜東京都
予報の通りこの日は不安定な天気。青空の中に暗い雲が混ざっております。念の為、雨支度を整え宿を出発する。目指すは日本三大稲荷の「豊川稲荷」。あの「霊狐塚」を生で拝みに行きますよ。ワタクシ個人的に「吒枳尼天」好きでして、結構楽しみにしておりましたのです。はい。
蒲郡市を出て三河湾を横目に、東へと走る事30分。立派な総門が見えて来る。こちら神社ではなく「妙嚴寺」という曹洞宗の寺院なんですな。知らなかった。そして思ってたよりもかなり大きい。
総門を抜けると早々に、除夜の鐘で有名な鐘楼堂と今川義元公が寄進した山門がお出迎え。もう楽しいぞ。
そして本殿の佇まいが実に良い。妻入二重屋根のこれくらいのバランスが好みだな。近づいて見ると結構なサイズ感がありナイスな迫力です。
お参りを済ませ、いよいよ奥之院へと向かう。千本幟が見えて来ると急に異世界感が溢れ、気持ちがグッと引き締まる。最初に感じたが境内がかなり広くて驚く。伽藍の数も多く、見応えだらけだ。
奥之院にご挨拶を済ませ、いよいよ「霊狐塚」に入る。着いた瞬間その迫力に圧倒される。凄いぞコレ。お狐さまが一斉にこっちを見てますよ。そして気づいたら周りに誰もいなくなってるよ。視線を変えて横を向いても、そこでもお狐さま一斉にこっちを見て来る。怖ええよ。鳥肌が止まらない。
本堂を過ぎた頃から感じてた異世界感がここで全て集結しました。そうか、これですか、これなんですね。東海屈指の霊場と呼ばれる意味が分かりましたよ。空気が違うもの。恐山に行った時の感じと似ていますね。謂わゆる「アノ世感」です。
いやいやいやいや、朝から貴重な体験をさせて頂きました。アリガトウゴザイマス。とにかくあちこちに挨拶してお礼をして、そそくさと境内を後にした。うん、今日は何だか涼しいぞ。
さて、しっかりと冷や汗を掻いた事だし、次は浜名湖でも行って鰻でも喰いますかね。アレ、そういや「稲荷寿司」喰いそびれたな。慌ててたもんな俺。いくらなんでもビビり過ぎだな俺。なんて思いながら走り、豊橋市から湖西市に入るとパラパラと小雨が降り始める。
天気を確認すると西から雨雲が迫ってきている模様。予定より大分早いな。そして、そのまま天気は荒れ続け、東海地方全体が大雨になるとのこと。オイオイオイオイ、予想降水量が半端ないぞ。勘弁してくれ「紀伊豪雨」の再来か?
何にしても、ゆっくりと鰻なんか喰ってる場合じゃないな。とにかく逃げろ俺。東へと走れ。
背後に迫り来る暗雲に怯えながら、浜松市、袋井市、掛川市と走り抜けるが、振り向くと悪魔のようなドス黒い雲。引き続き逃げる俺。菊川市、島田市、藤枝市と走り、気づいたら焼津市まで来ていた。アレ? 何時の間にか駿河湾。ってことは向こうは伊豆半島? 随分と走りましたね俺。
気づいたら暗雲も見えなくなっている。ざまあ見やがれとホッと一息休憩だ。流石に疲れたので、今日はこの辺りで一泊するかね。静岡市まで行けば宿も見つかるだろうとスマホを取り出し、とりあえず天気を確認。
はい、ちゃんと雨雲が追いかけて来ていますね…。
今日の夜から東海・関東地方共に大雨、回復するのは2日〜3日後だそうです。豊川市で見た予報がそのまんま東にずれただけじゃないですか。
このまま一泊しても、明日は雨。雨の箱根越えは積極的に勘弁だ。なら静岡で2泊するか? だが明後日の何時に雨が止むのかは分からない。確実なのは静岡3泊だな。3泊…。 静岡に3泊?
向こうに見えるは伊豆半島。 駿河湾、伊豆を抜ければ相模湾。
ええと、只今の時間は15時ですか。そうですか。
はい。と言うわけで、ワタクシ決心しました。
このまま走り、本日中に帰宅しますです。
残念ながら今回、静岡県はスルーとなりますが、まあ近いし普段からよく遊びに行ってるしね。うん、また来るよ。雨じゃない日に。
そうと決めたら即実行。女房に本日帰宅の連絡をしたらコンビニで軽く腹ごしらえをし、念の為にカッパに着替え本格的に再出発だ。ここからおよそ200km無心で走り続けるぜ。
箱根の山をなんとか乗り越え、神奈川県に入るともうスッカリ「旅感」は無くなり、見覚えのある道をただただ走ることになる。うん、全然ドキドキしないぜ。
走る車の数も徐々に増え、久しぶりに渋滞に巻きこまれた時、ああ、俺帰って来たんだなって思った。懐かしの排ガス臭。そして荷物が重いから渋滞はやたら疲れる。
コレまでの旅では夜は走らない事にしていたが、地元に戻ればそれは別。トップリと陽が暮れた頃、なんとか無事に自宅に到着した。いやいやいやいやメチャクチャ混んでたな。ヘトヘトでボロボロだ。
その時の様子を女房がコッソリ待ち伏せ録画していてくれた。
いやあ、終わった。無事ゴールと相成りましたよ。
俺の日本一周バイク旅、なんとか無事に終えることが出来ましたよ。
長かったような、短かったような。
とにかく色々な人に感謝でございます。
黙って送り出してくれた女房。
ずうっと心配してくれていた家族。
旅の間中、応援してくれた友人達。
ひたすら感謝です。
ありがとうございます。
有難う御座いました。
最後に、この旅の記録を読んでくれた全ての人に感謝を込めて。