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本当はこわい友達の話

入院期間 随筆 アーカイブ 00

※ 漫画『20世紀少年』『21世紀少年』感想。
まだ読まれてない方はネタバレ有。閲覧注意。

入院する寸前、漫画『20世紀少年』から『21世紀少年』を取り憑かれたように必死に読んでいた。

僕は、今いる場所や時間が、信じられなかったのかも知れないし、何処かに帰りたかったのかも知れない。
とにかく世の中に存在する自分の居心地が良くなかった。体調も悪かった。精神も疲れ果てていた。

食べたり飲んだりばかりしていた。そしてとにかく自由を求めていた。

そんな中、漫画の中では、ちょうど良い感じに、ノスタルジックで、自分の故郷の友だちたちの中にいる環境に帰れているような気がした。それだけで、タイムトリップできたようで気持ちが良かった。

しかし、物語が進んで、刑事のヤマさんが亡くなる辺りから僕は疑心暗鬼になる。この物語に信じられるモノはあるのか?そもそも友だちってなんだ?自分の正義感ってなんだ?利益って皆ちがうのか?人類の構造は、善と悪なのか?混乱は読めば読むほど深くなっていった。もしかしたら自分に関わる人は皆んな敵なんじゃないか???

孤独になり寂しくなりつつ、でも1人になりたくて、ひとりで心底考えた。

僕は今、何故ここに居るのだろう?
未来って、運命ってあるんだろうか?

自分の人生って、誰の意思で回されて居るんだろう?
宇宙ってなんの目的で出来たんだろう?

考えれば考えるほど、謎は謎を呼び、一瞬、自分不信から、飛び火して人間不信になってしまっていた。

それでもこの漫画を必死の想いで書いて、繋いで、届けようとしてくれる作家さん、アシスタントさんや出版社の方々の想いは、きっと信じられる。
僕を救ってくれる筈だ。人間的な、温かい思いで、ここに届いているんだ。と、信じた。

漫画を読んでいる間は幸せだった。途中でも、結論を、おしまいを教えてくれ!と焦ったりもしたが、とにかくこの物語の中の変遷に全て意味があると信じ、凄く時間を費やした。

その間、漫画を読むのをやめて現実に帰ると、寂しくもなり、まあまあ、不安になる。最近2年の間に、自分に降りかかってきた望みもしない重なる不運を呪いはじめた。

してもしょうがない後悔。
過去の時が止まったままの状態の幻影。
後ろにしか流れない時間。
完全に、あの時に戻して!返して!って心で叫んでいる泥々の自分。

現実にあった出来事が、沢山フラッシュバックして、酒に流したつもりの嫌な思い出が、悪酔い時の酒の匂いと共に襲ってきた。悔しさと、悲しさが押し寄せる。自分にこんな手のつけられん感情があることを初めて知った。

日に日に弱っていった。
一言で言うと免疫が落ちた。
と、いうか。。。とにかく疲れた。

すぐ疲れて、希望が心底湧かなかった。
酒ばっかり欲しくなった。

酒以外は、漫画の時間が唯一心が動いた。
やばかった。何が正しくて、何が悪いのか?
自分で判断出来なくなってた。

きっと、身体も、身体の中も、
完全に善・悪を見失っていたと思う。
僕は完全に何かを失い、答えを外に求め続けていた。

やがて、漫画は完結してくれた。
ケンヂはきちんと自分の人生を振り返り、とことん向き合って、友だちの正体を優しい心で見抜いた。

僕は救われた。
ケンヂの正義感ではなく、
男性性に救われた。

皆んな友だちだよな。
という、信念に救われた。

優しさ。は、誤解されやすい。
軟弱者の処世術と言われることだってある。
真に優しくされたければ、誰かに優しくせねば。なんて、上っ面でやると、間違ってまやかしの友だちを増やす。

努力してなきゃならない。
人に劣ってはならない。
役に立ってないとならない。
尊敬されないとならない。
暴力的であってはいけない。
紳士的でなきゃならない。
助平なことは罪ですある。
人と仲良く出来ないとならない。
健康でなければ人として格好悪い。

自分にかけられた呪縛は、
誰からかけられたものか?わからない。
とにかくいつしか、

人間は弱くちゃいけない!
人間は強くなきゃいけない!
人間は友だちがいなきゃいけない!
と信じ込む。

友だちが居ない人生なんて!
孤独やだ!孤独怖い!
と、落ち込む。

果たして、そうだろうか?
孤独でも凄く楽しく自分らしく生きている人は沢山いる。人が人の人生にとやかく言うことなんて、とっても野暮なことだ。

人生は人それぞれ、きっと自分で決めてきた目標というかスタンスがあるのだ。

人間に「ともだち」が必要な理由は?

「ともだち」を信じるのではない。
自分を、自分がともだちを大事だと思う気持ちを信じるんだ。

2019.5.18 2回目の入院の最中に筆

最後までお付き合い下さりありがとうございます。また、どこか生身で会話出来たら面白いですね。良きご縁に感謝します!