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夏官組織図問題…

『白銀~』を読んでいて要人護衛官に関する記載があったので、そこの情報だけでまとめたのですが、後で朝陽さん(@asahi_azuma)の、「大僕の上官は、射士なのか司士なのか」…という呟き(https://twitter.com/asahi_azuma/status/1213585411601129472?s=21)で、はっとさせられ…。長くなってしまったので、以下に書き出してみました。

大僕の上官は?

大僕が十二国記通して比較的違う国で出てきているので、それら記載されている所を参照して検証してみたいと思います。

王の警護は夏官の中でも射人(しゃじん)、特に司右(しゆう)の職責だった。公においては司右の下官である虎賁氏(こほんし)が、私(わたくし)においては大僕(だいぼく)がそれを指揮する。
『黄昏の岸 暁の天』新潮社版439項

ここではっきりしているのは司右の下官が虎賁氏。で、大僕の所属はここからははっきりとしないけれど、大僕が虎賁氏に対応する役職であろうということ。

台輔の警護は州太衛(たいえい)が統括します。その下にあって公的な場での警護を束ねるのが射士(しゃし)、私的な場での警護を束ねるのが司士(しし)です。

「かつて私(泰麒)を警護してくれていたのは潭翠(たんすい)でした。潭翠は大僕で、その上には文官がいましたね、そう言えば。ただ、役職名は射士だったと思います」
『白銀の墟 玄の月』二巻310項
「潭翠の下には小臣(しょうしん)がいましたが」
『白銀の墟 玄の月』二巻311項

から、潭翠は大僕なので、大僕の下官は小臣。これも恐らく確定事項。

 射士、とつぶやき、六太はそれが州侯の身辺警護の長官であることを思い出した。王の警護の長官を射人(しゃじん)、州侯以下では射士と呼ぶ。射人射士の下にある実際に警備を行う官が大僕である。
『東の海神 西の滄海』W.H.版111項

泰麒の言と、この『東の~』記載から、大僕の上官は射士としてしまったのですが、これだと、『黄昏~』での大僕が私的な警護というのと矛盾してしまう…(射士は公で、大僕は私とあるので)。

そこで参考になるのが以下の箇所。

人員が不足している場合、表裏の警護をひとまとめにすることがある。司士に統合することもあれば、射士に統合することもあった。射士は表の警護だから、腕や人柄だけでなく容姿や風儀までも問われる。ゆえに射士を司士の上に置くこともあった。ともに警備の総責任者である太衛の部下で同格なのだが、同格であっても射士を上位と見做す傾向はあって、このため警護をひとまとめにするときには射士に統合することが多い。
『白銀の墟 玄の月』二巻314-5項

ここから、射士または司士どちらかを欠いて片方の役に統合される場合があることが分かる。恐らく、驍宗登極時の泰麒(瑞州侯)の警護担当や『東の~』の文州では司士が射士に統合された場合だったのでは…?逆に、泰麒が白圭宮に戻り州侯として権を持ち始めた際の警護に関しても、射士を置かず司士一本で行く…と司士の伏勝が言っている。

ここは推測なのだけれど、射士または司士は統合されても、それ以下の虎賁氏や大僕は統合されず、そのまま据え置きで統合された射士または司士が以下の役職官を掌握して管理していたのではないのか…?そのため、本来私的な警護を担当する大僕が、構造上公的な場の担当である射人射士の管理下になる形になっていたのでは?

特に私的な空間での警護は、時により相手によって配慮を要することが変わるから変則的に運用されるのが常だった。人員が少なければ司士射士に武官を立てて実際の警護を行うこともあるし、大僕のみで小臣がいない、ということもある。
『白銀の墟 玄の月』二巻315項

ということから、王・麒麟・州侯などの護衛はかなりイレギュラーな人事配置が可能のよう…。なので、大僕の上司は…?という疑問に関しては以下のような仮説が建てられる?

仮説王護衛組織図

王の警護と州侯の警護で微妙に呼び方が変わるので、余計ややこしいのかもしれませんが、基本的な構造を同じと考えると、以下のような感じになるのでしょうか…?(太衛は”州”太衛とあったので、国官でもあるものと仮定しています。)

護衛官

大僕は射人(射士)の正式な直属な部下ではなく、司士が射人に統合された時に直属の上司の司士がいないために、射人が大僕を統括していたのではないか…。そのために私的な場の護衛担当の大僕が公担当の射士の下にあったのでは…?

射人射士と司士両方いるはっきりとした場面が描かれていないのではっきりしていないが、この可能性が高そう…?小臣もない場合さえあると記載されているので、護衛官関連はかなり流動的のようだから、はっきりと組織図化するのがそもそも難しいのかも…?

おまけ(おおよその夏官(国官)組織図)

どれもはっきりしていませんが、それとなく自分で夏官組織図をちょっとまとめてみました。禁軍のそれぞれの位ですが、将軍以外ではグレーに書いてあります。それは以下のサイトを参考にしました(英語です)。十二国記の政治システムは古代中国の周時代あたりを恐らくもとにしており、以下のサイトのまとめがしっかりとした参考文献をもとに記載されていたので、あくまでも参考程度にそれぞれの位も記載してみました(なので、グレーの位は十二国記正式なものではありません。ご注意ください!)。

軍府の構成もまだ良くわかっていませんし、警護の官も私の推測なので間違っている可能性があるので、あくまでも参考程度に御覧ください。

夏官組織図

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