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便覧編纂後記1 - epigraph

制作というか編纂?した十二国記非公式の『常世朝廷便覧』に関しては、とにかくできる限りわかりやすく、というのと図解をなるべく入れる、というのを心がけたくらいで、多く語ることはないのですが、先日本書を手にしていただいた方からご感想の中で、本の最初の方に挿入している漢詩も良いですね、と言ってくださって嬉しかったので、それに関してちょっとだけ・・・。

エピグラフ - epigraph

時折、本の始めに挿入されている引用文や詩を見かけていたのですがそれを何というか、実際自分が入れるまで知りませんでした。

「エピグラフ(epigraph)」というそうです。本文に直接関係しないので特に入れる必要もないのですが、個人的に入れたかった本の要素のひとつです。個人的な印象では洋書なんかにはこれが挿入されている事が多い気がするのですが、題辞や題句とも呼ばれるらしく、本文などの前に入れられる、短い引用文だったり句のことです。

常世朝廷便覧は私の二次創作というよりは、本当に素晴らしい原作を構成している世界観や項目を「編纂」したもので、私自身は黒衣に徹するつもりでなるべく意見や感想などは排除したものに努めたつもりです(プチ考察・疑問が多少入ってしまっていますが・・・💧)。

ですが、唯一?この便覧を通して個人的に強く願ったり自分が思っていたのは、便覧を読む・見て頂くことで、少しでも原作を再読する機会が増え、原点回帰ではないですが、原作を再び読まれることで、また知らない世界や理解が広がることに繋がっていただければな、ということでした。

「読書」とはその行為を行う人によって意味や意義は変わってくるとは思うのですが、少なくとも私が十二国記シリーズを「読む」ことで色んな視点や考えに気付かされたり、自分自身や周りのことを内省するきっかけになったので、それをさりげない形で示したいな、と考えて近い考えのエピグラフとして挿入しました。

実は特別版と通常版でエピグラフを変えており・・・。
2版でも変えようかと思っていたのですが、すっかり失念していて通常版初版と同じ内容になっています。

通常版 - 山行示同志

通常版に挿入させて頂いた漢詩は以下のものです。草場 佩川(くさば はいせん)という江戸後期の儒学者のものらしいです。

山行示同志
草場 佩川

路入羊腸滑石苔
風従鞋底掃雲廻
登山恰似書生業
一歩歩高光景開

参照:http://www.kangin.or.jp/learning/text/japanese/k_A2_035.html

読書は勉強ではないですが、十二国記や他の本を読むことによって、自分の視界が開ける思いをすることも個人的には少なくないので、この詩がいいな、と思いました。登山と十二国記を読むこともある種似ていると思うので。

特別版 - Francis Bacon

特別版に挿入した方は、もうちょっと個人的な思想が反映されているかもしれません。そういったこともあって、通常版は変更したのもあるのですが。16世紀ごろのイギリスの哲学・神学者フランシス・ベーコンの言葉です。

Read not to contradict and confute; nor to believe and take for granted; nor to find talk and discourse; but to weigh and consider.

Francis Bacon, The Essays 『随筆集』

読書は、論争のためではなく、そのまま信じ込むためでもなく、講演の話題探しでもない。それは、熟考のためのものなのだ。

先にも述べましたが、「読書」は人それぞれに目的や意義が変わってくるので、こうだ、と押し付けたりする気は全くないのですが、私にとって読書は内省させられる事が多く、特に十二国記は自分自身を省みる機会を与えてくれるものだったので、この引用文を使用させて頂きました。

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余談になりますが『魔性の子』にも王維の漢詩がありますが、それがエピグラフにあたるのか・・・・。あれはかなり本文に関連している気もするのでエピグラフ以上の位置づけにも思えますね。

常世朝廷便覧ではエピグラフに紙面を割くなら、コストダウンをはかれ・・・というお声が聞こえない気がしないでもないですが、そこは製作者特権ということでお許しを・・・🙇🏻‍♀️💦。


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