私は絶アイ好きだよって話
「絶対アイドルやめないで やめて」というnoteがバズっていた。
読んでみたけど、自分と解釈が全く違ったので面白いなと思い私の解釈も言語化してみようと思う。
この曲オタクの精神状態次第で捉え方が全く違くなりそう。
『絶対アイドル辞めないで』
以下は全て(私はそう感じる)(私個人の解釈は)という注釈が付いているものとして読んで欲しい。
まず前提として、歌っているのが女性アイドルであることから私はこれを卒業という終わりがどこかに必ずある女性アイドルについての歌として受け止めている。
終わりは明日なのか、何年も先なのかオタクには分からない。いつか君がアイドルではなくなることを私は理解しいるけれど、どうか今この瞬間だけはアイドルを辞めないでと願ってしまう。そんな刹那的な煌めきを描いた曲だと感じている。
卒業という言葉が使われることもあり、学生のモラトリアム的な焦燥感がそこにはある。
友達と過ごす毎日は楽しくて、でも頭の片隅には卒業したら同じ関係で入れるのかとか、進路とか、学校で過ごす以外の自分とかがある。それから目を逸らしながら過ごす青春は、眩しくていつまでも続けばいいのにと思う。
私はそんなに楽しい感じの青春を過ごしてはいないんだけれど、その分創作物の中にあるそういった"青春"が尊くて愛しくて大好きだ。
私はそれらと同じような憧憬をアイドルに抱いている。
だから「絶対アイドル辞めないで」と思ってしまう。
言わないけど。終わりがあることを理解してるから言えるわけがない。それはアイドルたちにとって苦しい言葉になってしまうだろうから。
そんなオタクの元に現れたのが『絶対アイドル辞めないで』だ。
見透かされてる、と思った。
「絶対アイドル辞めないで」と思ってることも、でも終わりがある事は理解してることも、だから言えない言葉なんだってことも、全部全部踏まえた上でアイドルが歌ってる。
"星は街じゃ輝かないの"
鋭利な歌詞だと思った。
身に覚えがある。アイドルじゃなくなったアイドルは、きっとそこでもキラキラ輝いて素敵なんだけど、なんか違うなと離れていくファンもいる。一般人になったら、もうファンはその子を見つけられない。
輝かなくなるわけじゃない。オタクには見つけられなくなるんだと思う。輝きの種類が変わるのかもしれない。
とにかく、"アイドルオタク"にとっての輝きではなくなる。アイドルとオタクより、一般人とアイドルオタクの方が遠い。遠すぎる星は見えない。
"これは報われないおとぎ話"
この願いを叶えられないことを彼女たちは知っている。
"魔法よどうか解けないままで"
ファン視点の「絶対アイドル辞めないで」とアイドルが歌うことで(絶対アイドル辞めないよ)と言ってもらったかのような気持ちにさせてくれる。
この曲は優しくて甘くて切ない魔法だ。
私はこの曲をメリバ(もしくはバッドエンド)確定の物語の序章的な楽しみ方をしている。
ステージにいるアイドルが輝くほど、好きになるほど、今が幸せであるほど結末は苦しい。苦しむことが分かっていればいるほど、アイドルが輝いて愛おしく見える。
アイドル側も叶えることの出来ない願いだと自覚しながら歌っているであろう構図が尚更しんどさが増して良い。
ちなみに私が本当に「絶対アイドル辞めないで」と思っているかと聞かれると全然そんなことは無い。
辞めるまでにやって欲しいことは無限に出てくるし、1秒でも長くアイドルをしてくれたらファンとしては嬉しい限りだが、本人が納得する形でご自身のアイドルとしての物語に幕を引けたら最高だと思ってる。オタクは彼女たち或いは彼らのアイドルとしての物語を彩る舞台装置で良い。諦めるとか、止むを得なく辞めるとかじゃなく、最高だった!って思いながらエンドロールを流してくれたらいいなー。
この楽曲自体が、かなり残酷な歌詞だなというのは私も感じる。
ただ、この曲を作品として成立させるにはこのぐらいエゴイスティックで残酷じゃないといけないように思える。私は楽曲を創作物として楽しんでいるし、現実とは別のその楽曲内にある世界観として消化した上で、現実と重ね合わせて苦しむみたいな味わい方もする。
そういう構成の曲だから、ハッピーエンドじゃないとしんどくなっちゃう人や、アイドルたちの言葉としてこの曲を受け止めた人が苦しいのも分かる。しっかり感情移入したり、現実に寄せ過ぎて受け取るとめっちゃしんどい曲だと思う。
聞いた人にいろんな感情を産む力のある、鋭利で残酷で完成度の高い楽曲だと思ってます。
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