出資が叶わなかった“あの馬”
私が出資しているサンデーレーシング、社台レースホースは6月に募集開始済みですが、今はまさにキャロットクラブの出資ドラフトの真っ最中ですね。一口馬主をやっていて最も楽しい瞬間です。
アルアインやシャフリヤールのおかげで、「山本昌は相馬眼がある」「馬選びが上手だ」と言っていただけることがあるのですが、活躍した馬だからニュースになっているわけで、当然ながら、全く見込み外れだったり、活躍できずに引退していった出資馬は山ほどいます。
先週の日曜日、小倉3Rの未勝利戦に出走して8着に終わり、残念ながら引退となってしまったピヌスアモリスも出資馬でした。
シャフリヤールでダービーを勝った直後のドラフトということもあり、この世代の狙いは牝馬。3頭に候補を絞った中でも、この馬は抜群のデキで、自信を持って出資を決めました。
POGの取材でノーザンファーム早来を訪れた際には、厩舎長の方が「うちのエースです!」と大きな声でキッパリ。(出資している)私への忖度のようには見えませんでしたし、実際に2歳6月のデビュー戦ではのちの皐月賞3着馬ファントムシーフの2着。続く勝利戦も2着で、初勝利は時間の問題だと思われました。それが6戦未勝利で引退ですから、つくづく競走馬というのは難しいものだと実感させられます。そして今まで、本当に運が良かったんだな、と。
いよいよ今週末で3歳未勝利戦は終了。全ての馬たちが悔いのない走りをしてくれることを願わずにはいられません。
さて、前回のコラムでは初出資馬チャビアールについてお話ししました。
今回はその翌年の出資ドラフトについて。2年目の6月、募集開始の段階から初めて参加するドラフトです。
届いたカタログを眺めていたところ、とある一頭で、ページをめくる手が止まりました。
漆黒の馬体、聡明な顔つき、柔軟性を感じる筋肉。
左の前肢以外はソックスを履いていて、これはディープインパクトと同じです。
テープが擦り切れるほど(といっても実際にはテープではありませんが)DVDを見直し動きを確認してみても、実に柔らかみがあって、惚れ惚れする歩様。
ピンとくるとはこのことか!
第一希望はこの馬に指名しよう。
そう思って、懇意にしているクラブ関係者の方に話したところ、
「昌さん、その馬は絶対に無理です」
と半ば呆れた表情で即答されてしまいました。
その馬の名前はナイトマジックの13。のちのフォイヤーベルク。
POGの取材で当時の厩舎長が「まるで別の生き物」と言ったとか言わないとかで話題になった、あの馬です。
チャビアールでスタートし、別の馬にも出資していたとはいえ、当時はまだ2年目の新人一口オーナー。
サンデーレーシングの第一希望は、過去4年間の出資実績(金額)で出資の可否が決まるので、高実績の方同士の大争奪戦となったこの馬が手に入るわけありませんよね(笑)。
ともあれ、一目惚れの恋が敢えなく散ってしまった以上、別の馬を選ばなければなりません。
ナイトマジックの13への出資は叶わずとも、せっかくならディープインパクト産駒に出資したい。
話を聞いてみると、高額のディープインパクト産駒は、往々にして第二希望まで残るというじゃありませんか。
この年の募集馬には9頭ものディープインパクト産駒が名を連ねていました。
余談ですが、そのうちの1頭がドバイマジェスティの13。アルアインやシャフリヤールの全姉ですね。
故障で募集中止になってしまったのですが、ジュベルアリと名付けられたこの馬は、のちにオープン馬のアルナシームを送り出しました。
募集動画を眺めつつの再検討。
悩んだ末に、私は、スラリとした流星が美しいディープインパクト産駒の牡馬を第一希望で入札しました。
それがゴールデンドックエーの13。競走馬名・リライアブルエースです。
(次回更新は9月12日となります)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?