見出し画像

忘れ得ぬマカヒキの復活勝利

昨日、いつものようにパチスロを打っているとSNSで藤岡康太Jの訃報が流れてきた。 先週の落馬の件を受けて個人的にも「万全とは言わない。とにかく帰ってきて欲しい」とポストした次の日の出来事だっただけに、ショックは計り知れないものがあった。
藤岡康太Jと言えば去年のマイルCSでムーアJからの代打騎乗を依頼されて見事優勝したばかり。このコラムでも何回か書いた個人的なジョッキー論として「G1を勝つこと」で世間から注目され「乗り替わりで勝つこと」で馬主からの信頼が上がり、間違いなく馬質が上がるこれからのジョッキーだった。
 
ナミュールの印象もかなり大きいだろうがそれ以上に個人的に覚えているのはマカヒキの京都大賞典。
マカヒキは2016年のダービー馬。その年の皐月賞(1着ディーマジェスティ)、日本ダービーは完全に3強で決着した年。最後の菊花賞は3強の一角サトノダイヤモンドが制した。マカヒキはダービーを勝った後に凱旋門賞に挑戦したのだが、遠征から帰って来てからピタッと勝てなくなった。久しぶりに凱旋門賞後のマカヒキのレースを見てみると、本当にズブいイメージ。最後の100mくらいでようやく伸び始める感じのレースが続いていた。
血統的にディープ×米国で早熟とか、凱旋門賞に行ってから馬が変わったとかいろいろ言われていたけれど、それでもマカヒキは出走し続けていた。ダービー勝ってるんだからこれ以上戦績汚さずに種牡馬入りしてもいいんじゃないか、と個人的に考えたりもしたけれど、オーナーが金子さんだったから(?)精神的に余裕があったのかもしれない。

そして2021年の京都大賞典。
自分の本命はステイフーリッシュ。海外遠征でG3、G2を勝利してシルバーコレクターを返上し本格化してきた可能性、斤量が大幅に減ることを考慮して5番人気ならと思ってだった。マカヒキは9番人気。自分はもちろん無印。正直な所、ちゃんと予想したかどうかさえ怪しい。
レースはベレヌスが逃げ、番手にダンビュライト、3番手に逃げから脚質転換でずっともがいていたキセキ。最初の1000mは61.6と重賞にしてはスローといってもいい感じ。自分の本命ステイフーリッシュも4番手につけ、これは前を捕まえるだけだな…と思ったけれど直線に入っても全く伸びず。直線で抜け出したのは1人気のアリストテレス。そこにキセキが食い下がる形でこの2頭で決まりか…と、誰しもが思っていた。実況もその2頭に名前を連呼していた。しかし、本当に残り100m、50mくらいで後ろからマカヒキが伸びてハナ差交わしてゴール。鞍上は藤岡康太Jだった。

これには本当にビックリしたというよりも感動した。ニエル賞から数えて18戦ぶりの勝利。諦めずに走らせたオーナー、調教師、厩舎スタッフ。そして最後まで諦めないマカヒキと最後まで全力で追う藤岡康太J。自分の馬券はハズれたけれど、そんなことを忘れるくらい「掛け値なし」にいいレースだった。レース映像を見られる環境にある人は是非マカヒキを中心にこのレースを見返してもらいたい。「ここから届くの?、前壁じゃん…」と、思わずにはいられないはず。藤岡康太Jが乗るとなぜか馬群、割ってくる馬が多かったんだよな…

これから幾つもの名勝負名レースを作ってくれる可能性のあるジョッキーが急逝してしまったのは非常に残念でならない。競馬は落馬、故障のリスクが0には決してならないスポーツ。全ての馬、全てのジョッキー、競馬にかかわっているすべての人にリスペクトの気持ちを忘れずにいたい。

最後に藤岡康太Jのご冥福をお祈りいたします。
今まで、長い間ありがとうございました。

【今週の推定設定6】
土曜阪神11R 7チャンネルトンネル(坂井J)

福永厩舎転入初戦。福永調教師曰く「操縦性高い」とのことで、坂井Jに乗り替わることで先行ポジションが取れそうで一発回答の予感。枠的にも逃げ馬を内に見ながらという競馬をしやすそうな枠を取れたので、脚を余すことは考えにくい。オッズ据え置きの9倍貰えれば設定6でしょう。

赤坂テンパイ
パチスロライター。勝負にこだわった店選び、立ち回りを披露する“ガチ系”。勝ち負けをズバッと言い切るトークが持ち味。「狭く深く」が信条で一度ハマったギャンブルはとことんやりつくす。著書に『赤テン 巻一』『勝負師の一打~赤坂テンパイの流儀~』(原案・取材協力)。
X(旧ツイッター) @genkiakasaka

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?