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選挙をやって「カネ」を余らせ、その残金の行方が分からない……??

以前の仕事がその後に「おおお」と役立つ。そんなこと、よくありますよね?

フロントラインプレスが手掛けた「選挙運動費用の余剰金」徹底調査のその一つです。対象は全国会議員。2019年初夏、調査報道グループとして立ち上がったばかりのころ、メンバーたちでこの途方もない調査に乗り出しました!

その成果が ↓ これです。



「選挙にはカネがかかる」とよく言われます。そりゃ、カネもかかるでしょう。ところが、選挙後に候補者(当選しても落選しても)が選挙管理委員会に届け出る「選挙運動費用収支報告書」を見ていると、どうも、みんなカネを余らせているわけです。数十万円とか、数百万円とか。1000万円超の人もあちこちにいます。

しかも、その残金(剰余金)がどう処理されたか、さっぱり分かりません。ほとんどのケースで行方不明なのです。政党所属の国会議員はふつう、自身が代表を務める政党支部を持っていて、毎年、党本部から政党交付金(公金)をもらっています(共産党などの例外を除く)。で、選挙になると、政党支部のお金を選対本部に繰り入れるなどして、選挙資金を用意します。

お金に色はついていないとはいえ(考えてみると、この言葉も都合よく使われている気が…)、選挙資金は公金的性質を持っているわけです。しかも選挙になると、ポスターやビラの印刷費などは選管が業者に支払ってくれます(公費負担)。

そうやって候補は選挙を戦うわけですが、余剰金が出た場合、その行方が分からないとは、これはいったい……? 公的性格を帯びた残金はどこへ?

この実態を解きほぐそうとしたのが、2019年初夏のフロントラインプレスだったわけです。国会議員は衆参合わせてすごい数、選挙運動費用収支報告書や政治資金収支報告書、都道府県の公報、官報、関連資料……たぶん、めくった書類は1万ページを超えたでしょう。メンバー10人ほど連日のようにエイヤ、エイヤの作業。こういう作業は数字のチェック、チェック、ダブル・チェック、ダブル・チェックの連続です。それこそが調査報道の(地道な)プロセスであり、それこそが超重要なんです!

その日の仕事を終えた後、近くの中華屋さんに行き、みんなで食った餃子がうまかったなぁ。

データは東洋経済オンラインにいた荻原和樹さん(いまはスマートニュースに在籍)の手で、見事なビジュアルサイトになりました。検索機能も超便利。こんなスグレモノ、めったにありません!誰がいくら選挙費用を余らせたか、そのうち、いくらが行方不明になっているか。そうしたファクトが詰まっています。(一連の取材はスローニュース社の支援を受けました)

全体として感じたのは「選挙にはカネがかかる」というのは、いったいどういうことか、ということ。だって、相当数の議員が選挙費用を余らせているわけです。「政治にカネがかかる」と「選挙にカネがかかる」は同義ではありません。河井克行・元法相の選選挙買収事件を見てもわかるように、「選挙にはカネがかかる」は「選挙のウラではカネがかかる」の意味なのかもしれません。とにかく、「なんとなく常識と思われていること」を疑うことは、調査報道の出発点だと、このときも感じました。

フロントラインプレスは昨日から新しいサイト上で、このビジュアルデータを元にして、この問題を3回連続で報じました。


みなさんもぜひ、このビジュアル・データを使ってください。このサイトの存在を「これもかっ」というくらい広めてください! 衆院選が公示になった今だからこそ、役立ちます。2年前の仕事、本当の出番は今、やってきました!

あちこちで拡散を。どうぞよろしくお願いします。

選挙運動費用「余剰金」詳細データはこちらです ↓


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