妹が産まれたら変わると思ってた。

小学生の時のおはなし。
ある日テレビで見たのだろう。







「お父さんとお母さんどっちが好き?」
そんな質問を。
それで盛り上がる楽しい人達を。
そして気づいたんだろう。



「よーちゃん(ぼく)とまーちゃん(弟)
どっちが好き?」

8さいのぼくは、まっすぐな目をして聞いたよ。
母さんはにっこりしながら、
「よーちゃんもまーちゃんもどっちもすきだよ」と


文字にすると子供の頃のほっこりした思い出。
なつかしきあの日々。


だが、
8さいのよーちゃんは真剣そのものだった。
答えを聞いて楽しむものだと思ってたんだろう。
いつ聞けば?どのタイミングで聞けばこのたたかいに決着がつくんだろうと?、そう思ったんだろう。


もし僕が選ばれたら、へへーん!👑だったろう。
悪く言えばまだ弟が赤ちゃん(2さい)だったとはいえ、弟の事を考えてなかったんだろう。

今だからわかる!。


だが、
8さいのよーちゃんは真剣そのものだった。
弟が歳をとる度に聞いた。
ぼくが歳をとる時も聞いた。
こたえはいつだってひきわけだった。


そんな我が家の平成の名勝負が続く中
妹が生まれた。
9才になったよーちゃんは、
「いつ聞こうか?」とずっと考えていた。
妹はとってもかわいかった。
顔を見ようと横になると、弟がよじ登ってきた。
よじ登っては振り落とした。
それはそれでまーちゃんは喜んでた。







9才のよーちゃんは、このままだと負けると思った。
妹(0才)がかわいい。
でもハイハイもまだ出来ない子とたたかうのは、
大人気ないと思ったのか?しばらく聞くのをやめた。勝てる確率が限りなく近くなった時に聞くと。
勝ちたいからお兄ちゃんアピールに走った。
朝起きたら一人になって泣いてる妹をだっこして母の元へ連れった。階段を降りる時座りながら降りた。4足歩行ならコケないと思ったんだろう。

家族でお出かけする時たまに弟をおんぶした。
弟はにっこにこしてた。
お兄ちゃんアピールをした上で勝負に出る事にした
気づいたら妹は歩けるようになっていた。







聞くなら今しかない。





よーちゃん10才。真夏の大質問。



「母さん!
よーちゃん(10才のぼく)と
まーちゃん(4さいの弟)と
さおちゃん(1歳の妹)と
誰が好き?」

ちゃんと、どっち?ではなく、
誰?と言いかえた記憶。

母さんは幸せそうに即答した。
「よーちゃんもまーちゃんもさおちゃんもみ〜んな好きやで。」

よーちゃんは納得いかなかった。
妹に勝てるか?内心不安だった。
もし負けても次は勝つつもりでいた。
何をどうするつもりだったのか?
負けたら、とっくんするつもりでいた。
ぶっちゃけ弟には勝ったと思ってた。
お兄ちゃんだもん。

母親を喜ばすつもりはなかった。
ただこのたたかいに勝ちたかった。
本当の気持ちを知りたかった。


今だからわかる。普通は優越つけないと。
でも、
なんであの時答えてくれてなかったの?が
なんか頭に残ったまま33歳真冬の大無職。
であった。

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