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連載【癌で死ぬか死刑が先か・4】短き青春

 ※ お読みになる方へ : 事件の詳細が書かれており、不快な思いをされる場合がございます。ご注意ください。

母親の住むマンションに戻れば、もうそこには、俺の部屋も無くなっていた。客間で寝起きして、鳶職(とびしょく)のバイトをしながらツレと遊んで居た。

 浜松と言えば、祭りではGWの3日間に在る、浜松祭りが有名だ。
祭りの時は、地元の人間なら血が騒ぐし、男なら尚更だ。
気の荒い連中は特にイケイケになるし、浜松祭りイコール喧嘩は付き物で、祭りは昼間は遠州浜で町内の凧と別の町の凧との喧嘩凧が有名。
夕方から町々の車(だし)が出て、町内の子供達や大人も参加する。
この車は、喧嘩とは無縁だ。
もう一つの大人や中学生以上の練り歩きに参加するのが、浜松人の醍醐味だ。中学生だろうが、酒を飲んでも、祭りイコール、ブレーコって奴で、オマワリさんもこの時だけは見て見ぬ振りをしてくれてた。

 ただ町内を練り歩くだけじゃなく、浜松中の町が街に向かって練り歩き、別の町の練り歩きに打つかると、そこからラッパが鳴り、町内と町内の人達が一斉に廻り出して渦に成り、そこから、体と体の押し合い(渦の中心に向う)中心に近い人ほど揉みくちゃにされやすく、肩だ、足を踏んだだとか、顔に手が当たった、だとかで、喧嘩が始まる。
 
 もちろん、ここでの喧嘩は町内の人ではなく別の町内の人との喧嘩に成り、押されてるうちに、町内の同じ法被を着ている者が加熱に出る。
浜松祭りの夜の部の大人参加形は中学生もバチバチにやり合っていた。
この町内会は、ヤクザの組事務所の在る町内は特に要注意で、組長やら若い衆やらが一杯居て、あそこの町内だけは気を付けようと話が事前に廻ってくる。
とにかく、怪我人が多く、街中での、町内と町内のぶつかり合いは禁止され、街中じゃなくても年々と禁止されていき、練り歩きは、町内だけになってしまった。それでも、町内だけの、ラッパの合図で町内同士がやり出す。今度は町内同士の喧嘩が始まる。
とにかく、浜松の人は、浜松祭りには、血が上がるのじゃ。

 祭りも終り、まだ呑み足りない貧乏人の俺達は酒を深かす。
その時に俺は、母親の男が飲んでいる、酒の場所を知っていて、女とか先輩達6人ぐらいで、マンションに向った。
男の酒を皆で呑んで、わいわいしていた所に、母の男が帰って来て、いきなり、「お前ら不法侵入だー!!」と言われ、本当にオマワリに電話しだした。
俺はこの男の偉そうな態度が前々から気に入らなかった!
俺はてめえーの女の息子やぞ!その俺に不法侵入だ、、!?
勝手に酒を飲んだのは悪かったが、不法侵入とまで言われ仲間の面子を潰され、このままでは許さんとの思いでその男と殴り合いの喧嘩をしだした。

 オマワリも来たが、ただの親子喧嘩と思ったらしく帰っていた。
祭りの日のオマワリさんは、忙しく、又、祭りの日には寛容なのだ。
で、母親が帰って来て、俺に何の理由も訊かず、「勘当」と言われ、
俺は、上等だー!!と言って、マンションから出た。
流石に周りの人らも、俺に悪いと思ったのか、謝ってきた。
俺は別に気にする事じゃないよ。いつもの事って言っていた。

 それにしても、、、何だ、あの男と言い、家の母親は!!
てめえーは、妻に内緒で俺の母と不倫してて、偉そうに、でかい面しやがって、てめえーのハーレムの為には不倫した女の息子さえ、当たり前に家から追い出す!(怒) 俺の実家と呼べる場所はないのか!!
俺はまだ、16歳で、未成年だぞ、コラ!!母親も何だ!
男の肩を持って、我が子に、勘当とか言いやがってークソ女が…
てめえーは昔から男の顔色ばかり、うかがって男の女の前に俺は先ずてめえーの子供じゃねーのか⁉ もう大人なんて信じれん!

 こうして俺は、ツレの家で、少しお世話になり、ツレから仕事を紹介してもらい、電気工事の会社で働きだす。
この時は俺と一緒について来た2人のツレも一緒に働く事に成り、3人で寮で生活し、仕事はそれなりに真面目に働いたが、ツレは、割とすんなり、他の大人の社員と仲良くしていて、それ成りに可愛がられてたが…
俺はと言うと、クールとかよく仲間や女からいわれるが、実は、大人に対しては特に人見知りやったし、何を話していいか分からなかったし、正直、大人は嫌いだった。
だからなのかは判らないが、大人の社員は、俺を冷めた目で見ていたんじゃないかと思う。可愛気の無いガキと思っていたのかも、、、
現場でもよく、仲間外れされる時があって、だんだんと孤立していた感はいなめない。社長さんや奥さんはいい人なんだけど、、、
結局、俺は辞めちゃった。それも、きちんとじゃなく、逃げちゃったー。
俺って本当に逃げてばっかり、、、

 で、母から勘当されたけど、親の家に帰ったんやけど、クソババーは俺が勘当の原因を作った男の子供を生んでやがった!!まじ信じれん。
認知もしてないらしい。よく母はこんなクソと付き合っていられる神経を疑わらずおれない。
俺が不倫とかチャラチャラ誰ともヤル、ヤリマンとか体を売っている女とかを汚ならしいと嫌悪感を抱かしたのも母親のだらしなさからだ。
生活の為に仕方なく働いている、ソープ、デリヘル、ソープランドetcの人らでも、やっぱり、申し訳ないが、俺はそう思っちゃう。
だから俺は一度も行った事が無い…いや正確には一度、会社の上司がしつこくて、俺は車で待ってますよーって言っても、じゃーお前が行かないなら俺も行かないとか子供のように不貞腐れる。
で、俺が何で綺麗で可愛い奥さんが居るのに、こんな所に行くのですか?と訊けば、子供を産んでから、妻をそう言う目で見れなくなった…とか俺には意味判らん事言うし…(因みに、この上司の奥さん俺のタイプ(笑)
もう、面倒臭いし、分かりましたよー行けばいいんでしょう!と言って一緒に行って金を出してくれる訳でもないのに、いちいち、どうせ来たなら、このプランにしとけよ、とか勝手な事ばかり言いやがるし、嫌々だが、そのプランにして、個室には入ったがシャワーだけ浴びて、ビールを頼んでその女の人と喋っただけ。

 その女の人からは珍しがられたが、俺の信条は“SEXとはタダでやるもの”としか考えてない。
金はかかるが、まだ、キャバクラのおねーちゃんを口説いて何日で落とせるのか? その方が面白いし。
一度、口説いて、付き合ったキャバ嬢に電話すると、よく子供の声が聞こえるので、子供居るの?と訊けば、知り合いの子供を預かっている。とか言うので、1・2度はう~んって疑わなかったけど、これがちょくちょく続くと、流石の俺でも何か怪しく思える。
その女とキャバクラが休みの日に飯を食べに行く約束したんやけど、その日になって、急に女が、「ペット居るんだけど連れていっていい?」と言い出すので、「え!?ペットって犬?」とか訊くと、とにかくペットとしか言わない、、、
俺はよく判らんけど、「まあーいいよ!連れてきなぁー」と言って待ち合せたら、1~2歳の子供じゃないですか(笑)
薄々気付いてたけど、自分の子供を「ペット」と呼ぶこの女は何を考えてんのか??人生色々だなーってつくづく思った。

 この頃の仕事では、年齢の割にそこそこの給料を稼いでいた。まあ、今で言うブラック企業だが、やればやる程、金を稼げた。
とは言え、年収6百万円~7百万円の間しか、この仕事で稼げなかったが、稼ぐ人は一千万円以上はゴロゴロ居た。
まあ、ゴロゴロは言い過ぎか…10人ぐらい前後かな。
だけど、この仕事は完全歩合給。務めて行く内に、会社の本社ビルを立てたりして、歩合給が下げられていく内に、上司と喧嘩して辞めてしまった。
これも、キチンと辞めてないので逃げたと同然だが、俺の一番の社会の常識を知らなかったのが、失業保険の制度を知らなかった事(苦笑)。
この失業保険さえ知っていれば、その後の人生に苦労はしてなかった。

 行く先もなく逃げたので、知り合いのキャバ嬢に夜の仕事を紹介してもらったのやけど、住む場所が無い…
給料(バイト)の半分の5千円を、毎日毎日日銭で貰い、安いスーパー銭湯で、風呂に入り、チェックOUTまで寝た。
残りの金なんて、1,500円も無い!
午前中の確か10時ごろには出ないとダメだったので、それまでに出て、夜の仕事が始まるのが午後の8時から、その間を、時間を潰さないといけないし、飯も食べないとアカン。もちろん、その間の食事は一食。
コンビニでカップラーメンにお湯を入れて、おにぎり2コとお茶が、俺の毎日の食事。
2~3週間したら、店長が、店終わった後、ここで寝ていいと言ってくれ、それからは、店で焼そばを作ったりして、大変に助かった。
3ヶ月目には安いアパートを借りて暮し、己の力で、犯罪とは無縁の生活をしていた。
それも、これも、若さと体が丈夫だった事が一日一日を、生きる為に頑張っていた。
この仕事の前じゃ週に2、3回もキャバクラで飲み歩いて、アフターして、金には困った生活はしていなかった俺なのに、てめぇーで辞めて逃げたんだから仕方無いが、このギャップの違いには、身に染みた…

Vol.5に続く

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