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【よう実考察】2人の謎の人物と第三の組織『海外説』を考察!!!

 こんにちわ!よう実考察をやってます、フロッグです!

 今回は、2年生編6巻にて登場した
・「佐藤に声をかけた生徒」⇒(以降「謎の人物A」)
・「綾小路に警告を与えた生徒」⇒(以降「謎の人物B」)

の2つの『謎の人物』が何者なのかの考察を交えながら、私が推している説、第三の組織『海外からの刺客説』を解説していこうと思います。

 今回は様々な伏線や場面を紐付けながらの考察なので、順を追って考察していきます。
 それでは、考察パートに行っていきましょう!

Part1.綾小路に警告を与えた「謎の人物B」は何者?

 最初はこの話題から。2年生編6巻終盤で、体育祭を欠席した綾小路に「謎の人物B」が警告を与えに来ました。時間としてはちょうど昼休憩中のようです。
 ではこの人物が誰なのか、今から考えていきます。

 まずは「謎の人物B」の状況証拠と特徴をまとめてみました。

【謎の人物の特徴】
①一人称が『俺』である。

②綾小路に対し「敵でも味方でもない」と中立的立場を示す。

③坂柳理事長の派遣した護衛をスルーし寮に侵入できる。

④綾小路の影響で「何かが」被害を被っていることを理由に警告。

⑤月城やWRの情報を持つ。

⑥綾小路に電話をかけたものと同じ人物である。

⑦坂柳が5~10年前に接触した覚えのある雰囲気を感じる。

 ざっとですが、上記のような特徴が挙げられます。

 の通り、一人称が『俺』である事からこの人物は『男性』である事は確定で良さそうです。また、『俺』という一人称を使う人間に絞って問題なさそう。
 
 ただし学年までは断定出来ません。とはいえ、綾小路・坂柳両名が「声を聞いたことがない」生徒ですので、可能性としては1年生が最も高いと考えます。

 より、高育側の坂柳理事長が派遣した護衛を「力ずく」ではなく「スルー」で通り抜けていることから、高育側の人間、
つまり『坂柳理事長orその上位存在の関係者』であると言えます。

また⑤⑦より、『WR関係の情報を持ちながらも、WRの外で坂柳が接触したことがある人物』である事が分かります。衣笠先生がわざわざ、

「坂柳が小さい頃対面したのなら、ホワイトルーム生の可能性は限りなく低くなる」

と言わせている点
からも、WR生である可能性は除外できます。
 この点でも、高育側の人間であることが疑われますね。


 WR関係ではないのなら「謎の人物B」は一体誰なのかですが、候補がいくつか挙げられます。
 候補となるのは「高橋修」「石神京」「新キャラ」の3パターン。

 この中で「新キャラ」の場合は、その正体が誰なのかという部分は予想することが出来ないので、今回は割愛します。


【パターン①:高橋修】

 次に高橋修ですが、現状彼が「謎の人物B」だとしても筋は通ります。ですが、2-2巻で高橋が初登場した時、こういった描写が書かれています。

高橋⇒「学力こそC+と低めの人物だが、誰とでも親しくなることに長けており、話し合いの場に呼ばれることの多い人物だ。他クラス他学年に多くの友人を持つ。」

 この事から、高橋修は他学年にも顔が広い人物である事が分かります。
当然、このような人物は坂柳の耳に入っていてもおかしくないでしょう。
 むしろ2-1巻でのペア試験で坂柳は、学力以外にも多芸に秀でた人物の勧誘を行っていました。坂柳との直接交渉の場に赴いていても何らおかしくないです。
 その過程で、Aクラス且つコミュニケーション能力が高い高橋修と繋がりができていても不思議ではありません。

 そうなると「謎の人物B」が高橋修だった場合、坂柳が声を聞いて気づかない訳がありません。表に出てこない石神京と比べて、高橋修は坂柳と面識がある可能性が高いと考えます。

 また、少しメタ的な目線になりますが、
「謎の人物B=高橋」としてしまうと、石神京の「高育に来訪していた」ことに説明がつかなくなってしまいます。
 もちろん、石神×高橋の2人共が同じ立場という可能性も捨てられませんが、現状の情報だけだと断言できないので、高橋が「謎の人物B」である可能性は低いかなと考えます。

 

【パターン②:石神京】

 結論から言ってしまうと、私は『石神京=謎の人物B』であると考えています。

 まずは、前回石神京についてのnoteを書いた時の「石神京の特徴」と分析を拝借して簡単に見てみましょう。

【特徴】
1⃣一人称は『俺』。面倒ごとが嫌いで表には出てこず、自身も目立つ方ではないと発言。

2️⃣高身長で須藤より少し低い程度で顔はイケメン、体つきは鍛えている風ではなく普通の体つき。

3️⃣成績優秀(学力は坂柳と同等)で情に厚く実行力のある人間。字もペン習字習得者レベルでキレイ。

4️⃣クラスの仲間からは全幅の信頼を得ている。

5️⃣「敵」と認定した相手には容赦なく牙をむくが、「味方」とも「敵」とも認定しなかった相手には「無関心」。

6️⃣星乃宮先生曰く、新1年生入学前の段階で一度学校で見かけている。

7️⃣入学時期やWRの仕組み上WR生とは考えにくい。

8️⃣綾小路父との関係が疑われる神崎隆二と同じ環境にいたと推測される。
 下記URLから、石神についての詳しい考察を書いているので、詳しく見たい方はぜひ!
https://note.com/frogyouzitu/n/n1f47cd7a4692

 上記のように、石神に関してはそこそこ多い情報が出ています。
 これらを先程の「謎の人物B」の特徴と照らし合わせて行きます。

 まず1⃣から、石神は友好関係が極端に浅いことが考えられます。
 先程あげた通り、話し合いの場には高橋修が赴いていることが多いため、同じ1年生のリーダー格でさえ詳しい人物像は知らないと思われます。

 このように、ほとんど表舞台に姿を表さない石神を綾小路や坂柳が把握していないとしても不思議ではありません

 また①より、謎の人物Bの一人称は『俺』であり、これは石神が堀北と会話をした際の一人称と同じです。この点でも共通点が見られます。

 

 次に3⃣6⃣7⃣8⃣より、石神がまず一般生徒であることは考えられません
ですが、高育への入学タイミングやWRの仕組み、綾小路の記憶に残っていないなどの点から『石神=WR生』の可能性も低いと考えます。(詳しくは上記URLより)

 この点でも、
・「WR生ではないが、一般生徒ではない石神」
・「WRの情報を持つがWR生ではない謎の人物B」の特徴が類似していることが分かります。


 更に、5⃣「味方とも敵とも認定しなかった者には『無関心』」という言い回しですが、謎の人物Bの②「綾小路に対し『敵でも味方でもない』と中立的立場を示す」という表現と類似しています。

 ですが上記の二つを加味すると、
「なぜ石神は綾小路に対して『無関心』なのにわざわざ警告しに来ているのか」
という疑問が生まれます。

 この回答として、私は
『綾小路が高育に在籍すること自体には興味はない』『綾小路が在籍した影響で、部外者が学校の秩序を乱した』ため、張本人である綾小路に警告を与えに来たのだと考えました。

 簡単に解説すると、
 石神自身は坂柳理事長と同じように、綾小路の在籍にはなんの不満も持っておらず、むしろ高育の教育を受けようとする綾小路自身には害がないと考えています。
 しかし綾小路が高育に在籍することで、WRからの刺客や月城の就任、坂柳理事長の失脚など高育側にとって悪影響を及ぼしてしまっています。

 そのため「悪影響」の張本人に対し、石神がこれ以上影響が出ることを避けるために警告を与えたのではないか、というのが私の推測です。

 謎の人物Bが綾小路に「中立のくせに肩を持ってくれるんだな」と尋ねた時、
「おまえの存在が悪影響を及ぼしている。これ以上を防ぎたいだけだ」
 という返しをしていることからも、
綾小路自身⇒無関心
綾小路を狙う部外者⇒敵

という分類をしていると考えました。


 【Part1.結論】

上記の根拠から、私は
『謎の人物B=石神京』であると結論付けました。

 では、謎の人物Bこと石神京はどのような立場の人間なのかを、次のパートで考えてみます。


Part2.石神京の立場

 Part1で述べたように、『謎の人物B=石神京』であると考えましたが、彼が何者なのか。

 私の結論から言ってしまうと、
『石神京は高育のバックにいる大物から派遣された生徒』であると考えます。

 そもそも、「高育のバックにいる大物」とはなんぞや?という話ですが、この「バックに大物がいる」根拠は主に3つあります。


【①綾小路パパの護衛が不在 】

まず1つ目が、1-7巻にて綾小路パパが高育に来訪した時の描写です。
 この時綾小路パパは、いつもは必ず付けているはずの護衛が付いておらず、単身乗り込んできた形になりました。
 この出来事を、綾小路は『この学校(高育)のバックにいる大物が、護衛の存在を許さなかった』と推測しました。

 一時は国を取りかけ、失墜した後の現在でも相当な権力を持つ綾小路パパですが、その権力者に対して抑止力を持つほどの大物が高育の後ろ盾になっている事が分かる場面です。



【②綾小路に掛かってきた謎の電話】

 2つ目の根拠は、1-9巻にて綾小路に謎の電話が掛かってきた事です。
 この電話の主は、最新巻で「謎の人物B」と同じ人物、つまり石神京だと判明しました。つまり1-9巻時点でも石神は、綾小路に対して「警告」を出そうとしていたことが考えられます。
 実際、綾小路はこの電話の事を「父親の策略が動き出した合図」であると受け取っていますね。

 そして綾小路は、この出来事に対してこう分析しています。

綾小路:「ただ奇妙なのは、何故このような形でこちらに悟らせることをしたのか。
 もしもオレの退学を目論んでいるのなら、もっと不意打ちに近い形をとるべきだ。
 わざわざ潰すぞと、脅すようなもの。
 何らかの、あの男の力の及ばないことでもあったのか……」

  上記のように石神京は綾小路へと電話をした訳ですが、この警告から石神がWR側の人間ではないにも関わらず、この時点で既にWR側の介入がある事を知っていることになります
 WR側でないのなら、介入された側である「高育側」の人間であると考えるのが自然です。

 綾小路が想定しているように、「あの男(綾小路パパ)の力の及ばないこと」という点でも、高育に政府の大物が後ろ盾として存在していることが伺えます。
 

 またタイミング的にも、坂柳理事長がギリギリ在籍している段階での出来事でもある為、恐らくは坂柳理事長の失脚が決まった時に「バックの大物」が石神の派遣を決め、彼に情報を流したのでは無いかと考えます。


【③高度育成高等学校の立ち位置】 

 そもそも、「高育」とは何のために創られた施設か覚えていますか?

 この回答となるのが、2-1巻に書かれています。

2-1巻「少子高齢化、環境問題、国力の低下。衰退していく日本社会。それらを根本から立て直すため、政府は人材育成に強く取り組み始めた。そして、その政策の1つとして誕生した高校が存在する。」

 上記に書かれている通り、「高度育成高等学校」とは『政府の政策の一つとして』誕生しています。

  政策の一つということは、当然政府は他にも事業を行っていると考えられます。高育はあくまでその事業の一部であり、坂柳理事長や先代であるその祖父は政府から高育を任せられた責任者であるといえます。
 つまり実際に人材育成の政策を行っているのは坂柳理事長とは別の、政府の人間ということになります。

 そんな高育に綾小路パパは手を出し、坂柳理事長の失脚や月城の派遣、WR生の不正な入学手続きを行った訳です。
 当然、高育のバックにいる政府の大物はこれに対し対策を打っていると考えられます。
 

  対策のうち、まず一つは『坂柳理事長の公務復帰』です。彼の不正疑惑を晴らすため行動を起こしたのがこの大物でしょう。  
 月城自身「坂柳理事長の疑惑が晴れるのは時間の問題」だと述べている点からも、対抗策が動いていたと考えられます。

 そしてもう一つが、『既に不正入学で入り込んだ不純物の排除』でしょう。月城が理事長の地位に就いた時点で、WR生の受け入れが容易になりましたが、高育側もWRが紛れ込んでくることは予想できるでしょう。
 恐らく坂柳理事長の失脚が決まった時点で、石神を高育に派遣することを決め高育への願書を作成したのだと考えます。(そもそも簡単に入学させることも可能かもしれないけど)
 ちょうど「謎の電話」の時期や石神が学校に一度来訪している点とも重なります。派遣に際して、坂柳理事長がまだ居るうちに(9巻謎の電話の時点)石神と会合したのではないでしょうか。


 上記の三つの根拠から、『高育には後ろ盾に政府の大物がいる』と考えられます。
 そして、石神京は『高育に入り込んだ不純物を取り除くため』に政府の大物が派遣したと考察します。

 

【神崎隆二と石神京の関係】

画像2

 しかし、石神京という人物を考察するうえで乗り越えなければいけない壁が『神崎隆二』の存在です。
こいつ邪魔なんだよなぁw

 神崎は綾小路パパの名言を知っていながら、高育側の人間が疑われる石神京のことを詳しく知るという謎キャラです。
 そこで、この状況を説明するべく私が考えたのが、「共通の上位存在」がいる可能性です。まずは下の画像をご覧ください。 

画像1

 この画像のように、綾小路パパの「力を持っていながら〜」発言は、実は誰かの受け売りだったという予想です。
 つまり、「政府の大物」と「綾小路パパ」に教育論を教えた師匠のような人物が存在し、彼らにあの言葉を教えたのでは無いかと考えました。

 根本的には、政府の政策も綾小路パパの目的も『日本の発展』という点においては同じ目標を掲げています。
 その理由も、それぞれのトップが同じ人物に教育論を教えられたのなら納得です。

 神崎は、政府の大物が展開する政策の一つ(中学校などで)を既に受けており、その過程で名言を聞いたのだと考えます。また石神のことを詳しく知る理由も、同じ政策を受けていたと考えると筋が通ります。


【Part2.結論】

 以上のことから、
石神京⇒『高育に入り込んだ不純物を排除すべく、政府の大物に派遣された高育側の人間』であると結論づけます。

 

そんな石神ですが、ひとつ気になる発言をしています。

石神:「月城を排除して、後はホワイトルーム生を排除すれば平穏が戻ってくる。そんな勘違いをしているんじゃないかと思って助言に来た。」

 このように石神は、WR生のほかにも何者かが綾小路を狙っていることを示唆しています。


 そしてこの人物が誰なのかですが、私はこの示唆された人物こそが『椿桜子』ではないかと考えています。
 では、何故そう思うのか、次のパートで考察していきます。



Part3.椿桜子のこれまでの行動

 これまで、私含め多くの考察者たちが『椿桜子』が何者であるかを予想してきました。しかしいまだに明確な答えが出ないまま、謎の立ち位置を保ってきたキャラでもあります。

 まずは、そんな彼女のこれまでの行動や特徴をまとめ、分析していきましょう。

【椿桜子の特徴】
①本気で「綾小路の退学」を狙っているようには見えない。

②綾小路の実力を把握している?

③「深層心理」に踏み込み、何かを探っている。

④時間的に猶予がある。

⑤綾小路を「観察」するような行動が多い。

⑥小宮事件のひどい怪我を見ても動揺がない。

⑦WR側の八神・天沢を把握していない?

⑦コンビニでの「常識知らず」な描写

①本気で「綾小路の退学」を狙っているようには見えない。

 無人島試験で椿が展開した「綾小路包囲網作戦」ですが、この作戦は『八神が手を加えなくても失敗する』ような陳腐な作戦だったと描写がありました。
 しかし、当の本人は失敗したことに対して落胆している様子もなく、深追いもせず直ぐに手を引いています。

 このことから、椿はこの作戦を『失敗する前提』で行っていたとも考えられます。
 更に、この時椿は、タブレット越しに細かく指示を送ることで、綾小路がどう考えて行動しているかという「行動原理」を観察しています。椿自身、「無人島試験でポイントを貯めてきたのはすべてこの日のため」という心理描写があることから、
 『退学させる気は最初から無く、綾小路の行動原理を観察するための作戦だった』
と考えられます。


②綾小路の実力を把握している?

 2-2巻椿のSSにおいて、椿は綾小路の読みの的確さに「流石だ」と心の中で呟いています
 「流石だ」という言葉は、主に「自分の持つ情報と照らし合わせて評価している」時の表現です。何の情報も持ってないのに流石という言葉を使うのは不適切です。

 このことから、椿は『綾小路の実力を知っている』と考えられます。


③「深層心理」に踏み込み、何かを探っている。】

 こちらも上記のSSに書かれていたことですが、椿は綾小路の「深層心理」に踏み込み何かを知りたがっている描写があります。

これも①と同様、『綾小路を観察して彼の考え方を把握したい』と考えている描写だと思います。


④時間的に猶予がある。

椿:「まだ彼の深層心理に深くは踏み込まない。慌てなくても時間はあるのだから、ゆっくりと確実に。そして———」

 こちらもSSからの描写。時期は新一年生たちが夏休み明けまでの時間制限付き「綾小路退学試験」に動いている中の描写です。

 時間制限がある試験に参加しながら、「時間はあるからゆっくり」という発言をしている点から、まず目的は「綾小路退学試験」ではないことが分かります。

 更に、八神や天沢らWR生は一応『迅速に対処しろ』との命令が出ていました(尚全員無視の模様)。
仮に椿がWRや月城に従順に従う刺客なら、時間があるような考えはしないのではと思いました。
 もちろん八神らとは別の指示が下っている可能性もありますが。

 ・綾小路退学試験が目的ではないのに綾小路を探っている⇒一般生徒ではない
 ・WR生の出された指示とは矛盾する⇒WR生ではない?

このことから、『第三の組織から派遣された刺客』ではないかと考えます。


⑤綾小路を「観察」するような行動が多い。

 椿は2-1巻から今までのすべてで『観察』以上のことはしていません。直接手を出すわけでもなく、一向に観察しか行っていない感じですね。

 そこで私は、そもそも椿が受けた指示が『綾小路の観察』ではないかと疑いました。綾小路清隆という人間を全て丸裸にすることを目的に送り込まれた生徒ではないかと考えます。椿自身も言っているように、「椿は洞察力が優れている」点から、観察目的で派遣されたのではないでしょうか。


⑥小宮事件のひどい怪我を見ても動揺がない。

 このことから、暴力に対しての耐性がある事が伺えます。暴力という手段を使うことが許容されるような環境にいたのだろうと想定できますね。


⑦WR側の八神・天沢を把握していない?

 無人島試験では、八神と椿がお互いに探り合いをする場面がいくつかありました。椿がWR生であるなら情報を持っていてもおかしくないですし、両方がWR生であれば「両方とも相手がWR生であると勘づく」のではと思いました。ついでに椿側も櫛田の情報を持っていない描写があります。

 また、八神や天沢は少なくとも全生徒の素性を把握しているはず。それにもかかわらず椿が何者か探る場面があったり、椿に対する評価を誤って測っていたりします。
 つまり、八神の渡された情報と実際の椿が違っている可能性があるということです。

 こんなことができるのは、同じWR生or同等の権力を持つ何者かの二択でしょう。


⑦コンビニでの「常識知らず」な描写

WR生の刺客は、仮に何期生であれ『学生』になりきれるようなカリキュラムを受けています。そうでないと、そもそも綾小路が気づいてしまう可能性が高いからです。

 そんなWR生が、「コンビニの礼儀ってこんな感じだよね?」みたいな曖昧な考えを持つかといわれると微妙に感じます。個人的には、文化の違いに戸惑ったような描写に見えました。


 というように、上記8項目が椿桜子の主な特徴です。まず「一般生徒」の可能性は排除してもいいでしょう。

あとは「WR6期生」か「第三の組織」かですが、正直どちらも否定材料と呼べるものはありません。
 そこで今回は、私が予想する一つ『椿桜子は海外からの刺客』説を解説していこうと思います。



Part4.『海外説』解説!椿桜子は海外からの刺客?

 はい、やっと本題ですw

 そもそも何故「第三の組織」を推すのかですが、決定的だったのは上記でも書いた石神京の警告です。

 警告では、「月城やWR生を退けただけでは平穏は戻らない」と言っています。この「WR生を退けても」平穏が戻らないのなら、例え5期生であろうと6期生であろうと石神の言う「WR生」には該当すると考えられます。

 というのも、石神がなぜWR関連の情報を知っているのか、そしてなぜあのタイミングでの警告だったのかが一つの理由になります。

 

【石神の情報源】

石神がどこでWR生の情報を知ったかですが、恐らく坂柳理事長orその上の存在であると考えられます。 ただし、この情報源は坂柳理事長が復帰しないと得られないものだと考えられます。

 つまり、月城が理事長である間は「WR生が不正に入学した」という痕跡を見つけることができなかったと考えられます。
 これまで石神が表に出てこなかった理由も、月城のいる間はうかつに動けなかったと考えると納得できます。

 結果的に、2学期が始まり坂柳理事長が職に復帰し、調査が終わったタイミングが体育祭前だとしてもおかしくありません。WR生の不正入学は何期生でも同じ手口のはずです。そのため石神に情報が渡る際は5期生でも6期生でも「WR生の痕跡」という共通の情報として渡されるでしょう。
 そしてその痕跡を探る過程で、「WR以外にも不正入学の形跡がある」ことがわかり、石神があのような警告をしたのではという予想です。

【時系列】
①坂柳理事長の失脚決定
②高育のバックにいる大物が石神の派遣を決める
③月城がWR生を不正入学、この時椿も別ルートで不正入学
④石神は月城が退くまで様子見
⑤坂柳理事長復帰後、徹底調査
⑥WR生の不正入学の痕跡と、それとは別の痕跡を発見
⑦石神に情報が渡り、綾小路に警告

ざっとこんな感じだろうと考えてます。調べていくうちに「WRとは別の痕跡」が見つかったため石神が警告したのだと考えられます。


 では、WR生以外で綾小路を狙っている刺客とはどのような立場なのか。
 ここで私は、『海外からの刺客』なのではないかと考えました。

 なぜ『海外説』なのかですが、理由が3つあります。

【ⅰ.高度育成高等学校の設立理由】

 part2でも触れましたが、高育は海外と比べた時衰退している日本社会を発展させるための人材育成を目的に作られています。

 この時点で既に、日本教育と海外教育を比較する書き方がある点から、物語上どこかで「日本の教育VS海外の教育」が実現すると考えます。


ⅱ.綾小路はアメリカに行ったことがある】

 綾小路は1-2巻の描写で、アメリカに旅行へ行ったことが分かっています。

綾小路:「旅行といえば、幼い頃両親とニューヨークに行ったことがあるが、それだけだ。1ミリも楽しくなかった。苦い思い出がフラッシュバックして、げんなりする」(1-2巻)

 上記のように、綾小路は綾小路パパと母に連れられアメリカに行っているようです。しかし、「一ミリも楽しくない」「苦い思い出」と言っていることから、観光目的での旅行だったとは言えなさそうです。

 更に、綾小路は生まれてからずっとWRの施設内にいたとされています。基本的に外部とは触れ合えない環境を作っているWRですが、この旅行ではそのルールを度外視して綾小路を連れ出していることになります。
 つまり、WRのルールより優先すべきことがあり、綾小路を連れ出す必要があったと考えられます。

 このことから、アメリカに旅行に行った目的を、私は『海外の教育機関を視察するため』だと考えます。

 綾小路パパは「アメリカ教育を視察すること」と「WRという絵空事の施設から出た成功例を見せつける」ために綾小路を連れ、アメリカへと旅行したのではと考えます。

 

【ⅲ.綾小路清隆の希少性】

 上記のⅱでも触れましたが、綾小路清隆は「WRの最高傑作」です。
 月城も言っていたように、WRという過酷な環境で唯一の成功例である彼は貴重な実験例でしょう。

 綾小路パパとアメリカに行ったのも、教育やWR関係だろうと考えられるため、当然アメリカ施設側は「WR」という施設や「成功例の綾小路清隆」は把握しているでしょう。

 成功するなどとは思えなかった、絵空事のような施設のWRから出た成功例。アメリカ施設側は綾小路清隆がどのような人間なのか・どのような性能なのかを測りたいと考えるでしょう。

 そんな中で「綾小路清隆のWR脱走」が起きます。綾小路が1年間高育で過ごしている間にアメリカが脱走の事実を知ったなら、綾小路の視察を目的とした人間が送られてくるのではないかと考えます。

 そう考えた時、椿桜子のこれまでの行動である『綾小路の観察』と合致します。
 また『時間がある』という描写も、時間をかけて綾小路の性格や考え方、深層心理を暴くことが目的であるのではと考えます。


【Part4.結論】

 以上の理由から、私は
『椿桜子はアメリカの機関から派遣された人間』であると考えます。

 最後は、この事を踏まえて「佐藤摩耶に声をかけた謎の人物Aは誰?」というのを考えていきます。



Part5.佐藤に声をかけた「謎の人物A」の正体と目的

 上記の話の流れから分かるとは思いますが、私は佐藤に声をかけた「謎の任物A」についても『椿桜子』であると考えます

 まずは、この「謎の人物A」とのやり取りをもとに状況証拠を見ていきましょう。

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【謎の人物Aの接触時の状況】
①佐藤が見覚えのない人物

②敬語をきちんと使用している

③佐藤に対し「先輩」呼びなことから一年生である

④この章のみ、一人称が伏せられており全て「一年生」で描写が統一。また性別も判断できない。

⑤佐藤が綾小路に対し好意を抱いていることを把握している

⑥この時の出来事が「女子トイレ前」での会話である

⑦女性である佐藤に対し、耳元まで距離を詰めてささやいたり、「二人っきりで」自室に呼ぶ行為をする。


⑧挿絵の影は男っぽいが、頭の部分はフードをかぶっているようにも見える

 【①佐藤が見覚えのない人物】
 二年生編に突入してから、佐藤が接触していないメインキャラは
「天沢一夏」「椿桜子」「宇都宮陸」「石神京」「高橋修」もしくは新キャラです。
一年生に限っていますが、③から一年生であると考えられます。

 今回も、新キャラの場合は予想不可なので割愛で。
あまり印象にないかもしれませんが、八神拓也については2-1巻で櫛田に接触してきた際に、佐藤は櫛田と一緒にいることから八神を見かけたことがあります。
 更に、その時櫛田に「知り合いなの?」と尋ねていることからも印象に残っているでしょう。

 七瀬翼に関しても、2-4.5巻の宝探しゲームの際にしっかり七瀬と会話しているため除外できます。
 このことから、衣笠先生の凡ミスでなければ八神や七瀬は除外できると思います。


【②敬語をきちんと使用している】
 
上記の残ったメンバーの中で、敬語をきちんと使っている印象があるのは石神くらいでしょうか。この点だけで言えば、①で除外した2名の方が該当しそうです。

 ですが敬語というものは、キチンと言葉使いさえ理解していれば誰でも使えます。現に私たちでも、バイトや就活での面接では丁寧に話すように、普段は敬語を使わなくても大切な時には使用する場面は多いです。

 このような点から、敬語を使っていること自体で判断はできないのかなと感じました。


【③佐藤に対し「先輩」呼びなことから一年生である】
 
佐藤に対して敬語で話していることや、「先輩」と呼んでいることから接触してきた人物は「一年生」で確定でしょう。


【④この章のみ、一人称が伏せられており全て「一年生」で描写が統一。また性別も判断できない。】
 この章の前後は、普通に「俺」「あたし」などの一人称を使用しています。しかし、佐藤との会話でだけ一人称が意図的に伏せられていることが感じられますね
 このことから、衣笠先生はこの正体を性別で特定できないようにしていると考えます。

 また、最も疑われそうな八神ですが、彼は会話の節々で「僕」という一人称を使うことが特に多いです。(自己主張が強め?)
 この点からも、八神である可能性は少し低いかなと思いました。


【⑤佐藤が綾小路に対し好意を抱いていることを把握している】
 このことから、最初から情報を知っていたor在籍中に把握したのどちらかになります。
 WR生なら最初から知っていてもおかしくないですね。ですが、佐藤が綾小路に好意を示しているという情報は、2年生編に入ってからだけでもいくつか描写されています。

 まず1巻の軽井沢との会話ですね。一応回りには誰もいなかったみたいですが情報源の一つではあります。ついでにこの日は、綾小路が椿と接触した日なので、椿も外出しています。

 次に4.5巻では、宝探しゲームで綾小路と一緒に行動していたり、軽井沢とカフェで綾小路ののろけ話をしていたりと、謎の人物に情報をつかまれていてもおかしくない状況でもあります。


【⑥この時の出来事が「女子トイレ前」での会話である】
 この章の始まりに、しっかりと「女子トイレ前で座り込む」という描写が入っていること自体に何らかの意図を感じますね。

 そもそも、どこで座り込もうがあまり関係ないため、普通は座り込んだ場所の描写はないのが普通だと思いました。
 つまり、衣笠先生はこの描写を入れることで「女子トイレ前で話す相手」の性別について考えられるようにしたのではないかと思います。


【⑦女性である佐藤に対し、耳元まで距離を詰めてささやいたり、「二人っきりで」自室に呼ぶ行為をする】
 このような行動を普通に行えたり、女子トイレ前での出来事を考えると、やはり謎の人物は「女性」である方が違和感はありません。

 また、佐藤自身の拒否反応としても、異性に迫られたときの反応にしては薄いなと感じます。

 そうなると、残る候補は女性である「天沢一夏」「椿桜子」の二択になります。


⑧挿絵の影は男っぽいが、頭の部分はフードをかぶっているようにも見える
 この時の挿絵を見てみると、挿絵に映った影は意外と大きく、またポケットに手を入れているようにも見えます。

 この点から、影的には「男っぽい」感じです。ですが、影というものは大きくなるものでもありますし、『佐藤に迫る図』という描写的には影を大きくするのもおかしくないかなと。

 また、頭の部分を見てみると、首の影は見えず肩と頭がつながっているようにも見えます。
 この部分から、相手は「フードを被っていた」のではないかと個人的には考えます。

 フード付きの服を着ているのは「椿桜子」のみ。ついでに、2巻口絵ではポケットに手も入れてます。

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【Part5.結論】
以上のことから、最も当てはまる項目の多く第三勢力の疑いのある

『椿桜子』が「謎の人物A」であると結論付けます。

 またその目的についても、
『綾小路の最愛の人間を、その親友が貶めようとしたときどのように対処するか』
を観察するためであると思います。

Part6.全体のまとめ

 ここまで長らく見ていたいただきありがとうございました!

 最後に、簡単に結論をまとめていきたいと思います。


・Part1.結論➡『綾小路に警告した謎の人物=石神京』である。

・Part2.結論➡
『石神京=高育に入り込んだ不純物を排除すべく、政府の大物に派遣された高育側の人間』である。

・Part3.結論➡『椿桜子はWR6期生or第三の組織から派遣された人間』である。

・Part4.結論➡
『椿桜子はアメリカの機関から派遣された人間』である。

・Part5.結論➡『椿桜子=佐藤に声をかけた人物』であり、その目的は『綾小路を引き続き観察するため』である。


 上記のように私はこの先、
『綾小路や石神の所属する高育サイド』
       VS
『綾小路パパ・八神の所属するWRサイド』
       VS
『椿の所属するアメリカの機関サイド』

 綾小路をめぐる、この三つ巴の戦いが高育という隔離された敷地の中で繰り広げられるのではないかと考えています。

 何気に、衣笠先生の作品は「三つ巴」や「三つの機関」が出てくることも多いとか。よう実においてもこのような形になるのかもしれませんね!

 ということで、今回の考察は以上になります。非常に長くなってしまいましたが、読んでくれてありがとうございます!
 次巻あたりで椿などの情報も欲しいところですね~。

 では、また次の考察でお会いしましょう!
 また見てね~!             
              by フロッグ@よう実

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