爆上戦隊ブンブンジャー 1st LAP (第1話~第9話) 妄想考察 その1

1st LAPに見る大也の闇

本作第1話で初登場したときから、ブンレッドこと範道大也は、冷静沈着で余裕のある大人キャラという造形だと、筆者は思っていました。
例えて言うなら、過去作「秘密戦隊ゴレンジャー」におけるアカレンジャーこと海城剛がそんな感じのキャラだったと思います。

※とか言いつつ筆者はゴレンジャーを部分的に視聴しているだけのニワカなので、視聴範囲とネット記事を元に想像で書いている部分もあります。

ところが、敵の新キャラ「マッドレックス」が姿を現したあたりから風向きが変わってきました。

そして第8話から第9話で、ブンブンジャー(とその装備一式)は、もともとブンドリオ・ブンデラス(ブンブン)と一緒にビッグバングランプリに出走するためのものだったことが明らかになります。

なんだかんだあって、雨降って地固まる感じで5人がまとまってイイハナシダナーみたいな雰囲気になっていましたが、その展開の中で筆者は、大也に深い闇を感じました。

本記事では、いつも通り筆者の妄想てんこ盛りで、そのあたりを考察していこうと思います。

玄蕃「BBG。ビッグバングランプリ。全宇宙で開かれている車のレースだ。」
錠「ちょっと待ってください。ブンブンジャーは、地球を狙う悪と闘うヒーローなんですよね。
ブンブンカーは、悪を討つ正義のメカでしょ。」
射士郎「ブンブンカーはビッグバングランプリに出場するために作られた。
今は対ハシリヤンに転用してるだけだ。」
細武調「武器では無いと言うことですか。
つまりブンブンジャーは範道大也の道楽。
そしてここにいる全員、その道楽に振り回されているだけということになりますね。」

爆上戦隊ブンブンジャー バクアゲ8

劇中第1話より前からの知り合いである射士郎と玄蕃は事情を知っていたようですが、新入りの未来と錠(と調)は、ビッグバングランプリのことを知りませんでした。
一触即発の空気の中、ハシリヤン出現の報を受け、ブンブンジャーは出撃します。

マッドレックス「堪んねぇぜ、この手応え。
ブーンレッド、俺と組まねェか?
俺には分かる。お前も、自分を滾らせる相手を探してるんだろ。
見ろよ、檻ン中のマヌケ面。
あんな奴らとつるんでるより、俺と宇宙を走り回る方が楽しいぜぇ。」

爆上戦隊ブンブンジャー バクアゲ8

敵であるマッドレックスは「中間管理職」と揶揄されていますが、現実の中間管理職よりずっと人を見る目がありました。
「自分を滾らせる相手を探してるんだろ」は、今の大也には情熱とか感情が欠落していると指摘しているのです。
なんやかんやあって、ブンブンジャーの内輪モメは第9話に持ち越されます。

そして第9話から続きが始まって、

錠「俺、大也さんのことわかんないですよ。あの人、何考えてるんですか。」

爆上戦隊ブンブンジャー バクアゲ9

とか、

未来「あーもう!大也にとって私たちって何?
大也は何でグランプリなんかに命かけてんの?
命がけの夢って何?」

爆上戦隊ブンブンジャー バクアゲ9

あたりで、新入り2人の不満が爆発しています。
盛り上がってまいりました笑
更に続けて、ISA(国際宇宙対策機構)により、ブンブンジャーは解散を告げられます。

ここに至り、これまで本件に口を挟まず静観していたブンドリオ・ブンデラスが自分の意思を表明しました。

ブンブン「夢見たっていいじゃないか。」
大也の夢って、元々は俺の夢なんだ。」

爆上戦隊ブンブンジャー バクアゲ9

ブンブンは、自分がビッグバングランプリのレーサーであり、事故によりライセンスを取り上げられて走れなくなったこと、自棄になって宇宙をさまよって地球に到着し、大也と出会ったことを語ります。

墜落して炎上している宇宙船と、這い出してきたブンブン。
(おそらく)偶然居合わせた大也との遭遇。

この時、ブンブンを見つめる大也は、引いた画角で一瞬驚いたような顔を見せますが、その後の寄った画角では、空虚とか絶望とか諦めとか、ものすごーくネガティブな表情をしているのです。

修理され目が覚めたブンブンは大也と会話します。

ブンブン「俺、大也に話したんだ。俺に起きたこと。
ビッグバングランプリのこと。俺の夢、ぜんぶ。そしたらさ…」
回想大也「その夢、惚れた。俺がその夢を届ける。
俺が走って、君がメカニック。
君をもう一度、ビッグバングランプリの舞台に届けてやる。
約束だ。」

爆上戦隊ブンブンジャー バクアゲ9

初めて遭遇してまだそれほど時間もたっておらず、おそらく会話に至っては1時間も経過していない謎の宇宙機械生命体に対し、これほどの情熱をかけるのは異常です。
(まあもちろん「フィクションだし、ご都合主義でいいと思うよ。」と受け入れる選択肢はあると思いますけど。)

筆者はこの時の大也に、どうしようもない闇を感じました。

関係性が少し違いますが、たとえば「自分が叶わなかった理想を子どもに押しつける親」のように、「他者が何者かになろうとすることをサポートする」という行為は、そこだけ聞くといい話に思えるかもしれないのですが、実態は親のエゴであり、親から子に対する依存に他なりません。
依存ですから、本人(親)の主体性はありません。

大也もこの時、自分が叶えられなかった理想をブンブンと重ねることで、絶望から抜け出そうとしていたのです。
ブンブンも自分の夢をかなえるために大也を利用する(というと言葉が悪いですが)ことができるため、共依存関係の完成です。

※まああんまり具体的な妄想をするとおもしろくないのですが、ブンブンの墜落現場に居あわせたときの車や衣装を見るに、もともと車に関する何らかの夢があって、それが叶わなくなり絶望していた。
もっといえば、一緒に(地球上の)レースを目指していたメカニックである親友を失ったとか、そんな話かもしれません。

回想ブンブン「でも…何で?」
回想大也「俺、届け屋だからな。」

爆上戦隊ブンブンジャー バクアゲ9

レースシーンから遠ざかり、絶望していた大也が唯一すがることができたのが「届け屋」。
もう自分の夢が叶うことは無い。そしてその原因は自分(大也)が作った。
せめてもの贖罪として、大也は「他人の夢をサポートする」届け屋を選んだ。そこには、大也本人の夢は存在していないのです。

ここまで妄想した後で改めて範道大也というキャラクターを見直してみると、本記事冒頭で書いた

本作第1話で初登場したときから、ブンレッドこと範道大也は、冷静沈着で余裕のある大人キャラという造形だと、筆者は思っていました。

という評価は反転し、大也はただ感情が欠落しているだけの人なのでは…と思えてきます。
「爆上げ」というフレーズも、「絶望する以前の自分であれば、きっとこういう場面でテンション上がってるんだろうな」という確認であると同時に、周囲の人への鼓舞なのです。

昭和の戦隊は「強い大人がヒーローで、勧善懲悪」な展開だったのに対し、(正確にどこからとかは分析していませんが)いつからか戦隊番組は「ヒーローの成長物語」を描くようになっています。(そのこと自体の是非についてここでは語りません。)
であれば、大也も最初から完成された「強い大人」ではなく、いろいろ足りてない(どころか決定的に欠けている部分がある)、成長の余地をたくさん残したキャラクターと考えて良いと思うのです。

とりあえずあと5時間くらいで始まる第10話、第2シーズン(2nd LAP)以降で、大也の過去、そして射士郎や玄蕃との関係性など、キャラ掘り下げ回に期待したいと思います。
(また日曜の深夜~早朝に記事書いてる…。)

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