王様戦隊キングオージャー第40話「我は王で王子なり」妄想考察

どこから突っ込んでいいのかわからくなるくらい怒濤のトンデモ展開が繰り広げられた第40話でした。
安心して見ていられるのはドゥーガが出てくるあたりだけです。おそろしい。

ラクレスの王道

前回、第39話で、宇蟲五道化の一人、胡乱のゴーマを退け、空いた五道化の席に収まったラクレス。

ダグデド「んで、どうやって片付ける?」
ラクレス「王道を貫きます。」
「人間たちを憎み合わせ、最後は、邪悪の王ギラによって、地球は滅びる。」

王様戦隊キングオージャー第40話

バグナラク編だった第一部では、

民衆が支持するラクレス王 (でもギラ目線から見ると悪いヤツ)

に対抗するために、自らを「邪悪の王」と称することで、正当なる王ラクレスに戦いを挑むギラの悲壮感や覚悟が描かれていたのですが、ラクレスを退けてギラが王位について以降も、たびたびこの「邪悪の王」というフレーズは使用されており、場の空気が読めず滑り倒す痛い子のように見えていました。(シュゴッダムの王に即位した立場で「邪悪の王」などと自称してしまえば、シュゴッダム国こそが悪である、と宣言していることに他ならないでしょう。)
そして、そこそこ期間をあけて、今度はラクレスによって、「チキュー人類に仇なす悪いヤツ」として「邪悪の王(=ギラ)」というフレーズが、改めて意味を持つことになりました。

なお筆者は、本作が特撮ヒーロー番組であるが故に、ラクレスは最終的に主人公側の陣営に属する説を今でも支持しています。
従って、先の「王道を貫く」はラクレスからダグデドに対する精一杯のイヤミであり、同時に視聴者に対して「ラクレスはずっと王道(=チキュー人類のために動いている)と言い続けてきたやん」と言いたいがための仕込みなのだと思っています。

ミニティラとプリンス

またしてもバグナラクの雑兵サナギムがなぜかシュゴッダムに攻め入り、本作唯一の良心・ドゥーガが応戦するも苦戦しているところに、ミニティラが助っ人に現れました。

チキューについてきた描写はあったものの、その後さっぱり出番がなかったミニティラ。
キョウリュウジャー世界の「地球」でそこそこ活躍し、ヤンマがドヤ顔で複製品をギラに渡していたキングガブリカリバーも、その後ほとんど出番がなく、王たちも記憶喪失にかかっていたように、話題にも出ませんでした。
命の危険がある強力なモードを使う前に、安全ですごく強いキングガブリカリバーを使ってみても良かったんじゃないでしょうか。
(まあそれで弱いとキョウリュウ界隈の人に怒られちゃうわけですが。)

そしてミニティラが一発吠えると、宇宙空間を航行していたプレズオン(キョウリュウジャーたちの使用する宇宙船)が反応しました。

プレズオンは劇中では、キングとうっちーがダグデドを探すために搭乗して出かけていた設定になっていました。
先行して発売されていた雑誌に掲載されていたプリンスへのインタビュー記事によると

今はオレもプレズオンにのって宇宙を旅しているぜ!
キングオージャーがピンチのときは、オレがたすけにいく!

雑誌「てれびくん 2024年1月号」 119ページ

とのことでした。
「オレ『も』」とあるのは、他に同行者がいるようにも読めますし、「以前はキングたちが乗っていたプレズオンに今はオレも乗っている」という時系列の話に読めるような気もします。
(どっちにしても、キングもうっちーも劇中に出てこなかったんですけど。)

また公式webには

ガブティラの声を聞きつけ、今度はチキューにやって来ました!
プリンスが乗っていたのは「プレズオン」。『獣電戦隊キョウリュウジャー』に登場した獣電竜で、空蝉丸とダイゴが乗って行ったはずですが…なぜ!?
気になる点はさておき、二大レッドの揃い踏み!

https://www.toei.co.jp/tv/king-ohger/story/1233312_3346.html

との記載があります。
従って、この展開はガバなのではなく、現状詳しいことは分かりませんが、何らかの意味を持つはずです。

前回の必殺武器の使用で外傷を受けた描写は全くありませんでしたが、包帯でぐるぐる巻きにされ動けない王たちをよそに、なぜか(後半で明かされますが)ギラだけは立ち上がることができ、バグナラクに襲撃されているシュゴッダムへ向かいます。
まだ本調子ではなくサナギムに苦戦しているギラの前に、空からプレズオンとともにプリンスが降ってきました。

キョウリュウジャー回でさんざん棒読みだのオンドゥル語だの言われていたプリンスですが、その時に比べると、演技は少しだけ良くなっていたように思えます。
その代わりに、このシーンはアフレコだと思うのですが、マイクとの距離が近すぎて声が聞こえる距離感がおかしい気がしますし、リップノイズも乗っていたような気がします。

城前から民家の前に舞台が代わり、せっかくキングキョウリュウレッドとの迫力ある戦闘シーンなのですが、相手にしているのがザコ戦闘員であるサナギムなのがちょっともったいないですね。

一方、操られて目の色がおかしくなったシュゴッドたちがシュゴッダム国に攻撃を始めました。

ゴローゲ「バグナラクと一緒に他の国も攻めてきやがった。この世の終わりだー!」

王様戦隊キングオージャー第40話

アジテーションを含まない状況解説装置としては有能なゴローゲ。

ガブティラを核にするキングキョウリュウジンへの合体命令により、シュゴッドたちへの支配を強制解除します。
CGを駆使したキングキョウリュウジンの戦闘シーンはかっこいいのですが、相手にしているのがサナギム(略)。
あと第34話で「地球」からチキューに戻ってきた時もそうでしたが、CGのキングキョウリュウジンは背中に背負ったトンボの羽のディテールがほとんどなくて、つるつるですね。

ギラ「ありがとうプリンス、あっちの地球は大丈夫なのか?」
プリンス「うーん。まあ、なんとか。
だから師匠たちに任せて、ガブティラを探しに来たんだ。」

王様戦隊キングオージャー第40話

プリンスのキャラを思うと、いまいち歯切れの悪い返事にモヤモヤします。
キングオージャー作中に今後キョウリュウジャーが絡むことはないと思いますので、「地球」で何か事件が起きていて、キョウリュウジャーの単体作品で語られるフラグだとうれしいなあ、と思います。

プリンス「ギラさんは、ずっとやさしい邪悪の王でいてね。」

王様戦隊キングオージャー第40話

プリンスのセリフに、意味ありげな効果音が重なります。
「やさしくない邪悪の王」になる伏線でしょうか。もう話数そんなにないぞ。

そしてギラと握手を交わして、プレズオンに乗ってプリンスは「地球」へ帰って行きました。
クリスマス商戦向けのアピール、ぎりぎり間に合った感じでしょうか。(ご家庭によっては手遅れのような気もします。)
なんなら筆者はプレズオン(プレズオー)の立体物を再販して欲しいまである。

劇中で相対性理論とか時間の進み方が云々とかいろいろ出てきましたが、たぶんそのあたりをまともに考察しても無駄なので、筆者はスルーすることにしました。

明かされるギラの秘密

ギラがクワゴンのもとに現れたのと同時に、ダグデドとシュゴ仮面による放送が開始されます。

放送中にシュゴ仮面としての仮面を外し、ラクレスが正体を現しました。

ゴローゲ「ララララララクレスぅ!」

王様戦隊キングオージャー第40話

呼び捨てにしているあたり、ゴローゲにとってラクレスは悪人のままなのでしょう。
シュゴ仮面=ラクレスという事実と、ゴローゲがどう向き合うのかは気になる…いやどうでもいいですね。

そしてついにギラの秘密が明かされました。

ラクレス「ギラは、宇蟲王ダグデド様が産みだした生物だ。」
ダグデド「ンフッ、びっくりだろぉ。」

王様戦隊キングオージャー第40話

おそらく本作最大のびっくりドッキリシーンだと思います。

リアルタイムで視聴していた時には、ギラを絶望させるためのハッタリかもしれないと思っていましたが、公式さんがweb解説で書いてしまったので、事実として受け止めるべきでしょう。

ついに明かされたギラの「邪悪」の本当の意味。
ギラがシュゴッドを操れたのは、全昆虫生命体の創造主ダグデドが生み出したからです。
奇しくもギラは、全宇宙の敵ダグデドと同じ能力を持つ存在だったのです。

https://www.toei.co.jp/tv/king-ohger/story/1233312_3346.html

前回の筆者のnoteから引用しましょう。

敵由来の力を行使するヒーローだと、仮面ライダーになっちゃう。

https://note.com/fried_ikaring/n/n8b50a3722b50

まあ仮面ライダーガッチャードにも巨大ロボ出てきたし、おあいこでいいのか。知らんけど。

ラクレス
「シュゴッダムは、2000年にわたりダグデド様に仕え、チキューを統一する任を担ってきた。
その忠誠の証として賜ったのがギラだ。人類の敵を打ち倒す、道具として。」

王様戦隊キングオージャー第40話

道具は民だけじゃないのか。ギラも道具なのか。つまりギラは民。

ラクレス
「だが奴は、人類の敵バグナラクを滅ぼした後、人類をも裏切った。
王様戦隊を名乗る反逆者と共に、5王国の大半を支配した。
その真の目的は、人類の滅亡であると断言する。」

王様戦隊キングオージャー第40話

視聴者はあくまでもメタ視点として物語を見ているため、劇中の国民レベルからどう見えていたのかまでは断言できないのですが、ギラが人類の滅亡を目的にしているならバグナラクを滅ぼす必要は無いし、というかジェラミーがバグナラク国を設立したとかどこ行ったんだって話だし、キングオージャー(メカ)という圧倒的な破壊兵器を所有しているのだから、機を待つまでもなくさっさと滅ぼせば良い。
ゴローゲと愉快な仲間たちはアジテーションに乗りやすいけど、それ以外の国民(他国も含む)たちも同様にアホなのだろうか。

そしてもうひとつ、物語の根幹に関わる謎が開示されました。

ダグデド「俺様は全ての昆虫生命体の創造主。
創るのも操るのも殺すのも、なんでもござれ。」
ラクレス「その力を、ギラは受け継いでいる。」

王様戦隊キングオージャー第40話

筆者は本作中の最大のフィクション要素がこの「シュゴッドの存在(起源)」だと位置づけていました。
それが、けっこうあっさりと明かされたことに驚いています。
(あっさり、と言ってもまあ残り10話程度ではありますが。)

ギラについては、レインボージュルリラとクワゴンのシュゴッドソウルのくだりが全く描かれていないので、そのあたりが今後の展開の鍵になりそうです。
レインボージュルリラはチキューへの脅威に対抗するためにクワゴンのシュゴッドソウルの能力をギラに宿らせるためにラクレス(あるいは先代の王)が与えた、みたいな説が多かったのですが、今回の話を踏まえると、ギラを人間にするため、そしていざというときにダグデドの支配を無効にするための仕込みにした、みたいな話になるのかもしれません。

いずれにしても、ギラの正体とかダグデドとシュゴッドの関係のあたりは、今後もう少し掘り下げた描写があると思います。

ゴローゲ「いたぞ、裏切り者のバケモンだ。」

王様戦隊キングオージャー第40話

ダグデドのコピーがギラなら、ギラをバケモン呼ばわりすると、ダグデドもバケモンになるんだよなあ。だいじょうぶかゴローゲ。

ラクレス「奴に近づくな。不死身の、宇蟲王様の力を受け継いでいる。
人の形をした、邪悪なナニカだ。」

王様戦隊キングオージャー第40話

劇中人物のセリフなので確定はできませんが、宇蟲王とギラは不死身らしいです。
どの程度の不死身レベルなのかわかりませんが、死なないなら、永久にダグデドと戦わせておけばチキューは安泰なのでは。

ダグデドに体を操られたギラは、いつもの邪悪の王のセリフを口にし、キングオージャーを呼び、遠隔操作でシュゴッダム国に攻撃を始めました。

着ぐるみ版キングオージャーの背中のトンボの羽には、きっちりディテールが描かれています。

ラクレス「待っていろギラ、私が必ずお前を討ち滅ぼし、人類を救う!」
ダグデド「えーっ!?人類救っちゃうの?」
ラクレス「まさか。」

王様戦隊キングオージャー第40話

ラクレス様いい人説で言えば「人類を救う」が本音に見えるんですよねコレ。

真実を知ってへこむギラのもとへダグデドが現れます。

ダグデド「どんな気持ちぃ?」

王様戦隊キングオージャー第40話

リアルで(リアルじゃないけど)このセリフを聞く日がくるとは。
そしてまんまと煽られるギラ。

しかしシュゴッダムを攻撃していたキングオージャー(メカ)が動きを止めます。

リタ「ギラでないなら、誰だ。」
ヤンマ「決まってんだろ。あいつらだよ。」

王様戦隊キングオージャー第40話

どうやらシュゴッドたちの意思により、キングオージャー(メカ)が、ダグデドの支配に抵抗し、動きを止めたようです。

そんなシュゴッドたちの心に応え、王たちが立ち上がりました。

ジェラミー「おちおち寝てもいらんねぇなあ。」

王様戦隊キングオージャー第40話

ここは、ジェラミーがナレーションから劇中人物に変わる、第10話ラストのセリフの天丼ですね。

ギラもこれに応え、シュゴッドたちの名前を呼び始めます。

たぶんこれすごくいいシーンとして描きたかったと思うんですけど。
筆者の中ではシュゴッドの愛称呼びはかなり寒い滑りギャグ扱いだったので、このシーンで愛称呼びして、しかも聞いたことがない名前も多く、どうしてこうなった感でいっぱいでした。

ヤンマ「反逆者の王様戦隊、上等じゃねえか。」
(以下略)

王様戦隊キングオージャー第40話

すでに自国を取り戻しているヤンマたち4王と、ダグデドの創ったおもちゃであるギラと、なんだかよくわからない状態のジェラミーで構成される「王様戦隊」が、何に反逆しているのか、それぞれの立場に統一感がなくて、構図が非常にわかりにくい。

またオープニングテーマ曲「全力キング」では「反逆者たちの子どもよ」というフレーズが書かれており、ヤンマらが「反逆者」であれば「子ども」は誰なのか、など、まだもう一ひねりありそうな気がします。(が、ぶん投げて終わりそうな気もします。)

あとロボの顔面が人間になるフェイスオフはあまり他作品で見た覚えがない描写でしたが、これも歴代の戦隊で人間大のスーツ姿でやるのはかっこいいんですが、ロボでやると雑なコラージュギャグにしか見えなくて微妙でしたね…。

次回 第41話「宇宙を救う時」予告

ダグデド「五道化にふさわしい二つ名は、暴虐のラクレス。」

王様戦隊キングオージャー第40話

中二病のみんなが大好きな二つ名に意識を持って行かれて他の内容が全く入ってこねー。
てゆーかキングオージャー(メカ)と対峙してた赤と黒の怪人は何だろう。
そして王冠を使用してラクレスが始祖光来したキングオオクワガタオージャーが倒し爆発していたのは、ギラだと思わせておいてダグデドとか五道化とかないですかね。
そろそろラクレスが本性を現して宇宙を救ってほしい。
残り話数、だいたい10話!


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