5年間恋をしていない女子の話

最後の失恋は自分の体や心の一部を失ったような痛みだった。

社会に出てから初めて付き合った人で、付き合い始めてすぐにお互いものすごい勢いで惹かれ合ったのは、若さと住んでいた場所が日本じゃなかったせいもあったのかもしれない。

いろんな経験を一緒にした。初めての経験もたくさんあった。そのおかげで絆も深まった。友達や家族に言えないようなこともお互いたくさん共有し合った。

その時の私は、お互いがお互いにとって完璧な相手なんだと、信じて疑わなかった。

結婚は遅くてもいいというのは10代の頃から漠然とあったけど、この人とは時がきたら結婚して子供を産んで家族になるんだろうな、という気はしていた。具体的な話をしていたわけではないけれど、なんとなく相手もそう思っていたようが気がする。

そのせいもあって、時間が経つに連れて相手に求めることが多くなった。それが、重荷になっていたことは間違いない。でも、当時の私はそんなことにも気付けなくて、なんでわかってくれないんだろう?と不満ばかりだった。

本当によく喧嘩をするカップルだった。周りから見ても「あ、喧嘩中だな」「あ、仲直りしたんだな」というのがあからさまにわかるような、めんどくさいカップルだった。(職場恋愛だったから余計に)

喧嘩がヒートアップしすぎて別れ話になることもしょっちゅうあった。ちょっと喧嘩したくらいですぐに別れようって大袈裟に騒ぐカップルはださいと思っていたけど、私たちはまさにそれだった。

実際に別れることもあった。でもやっぱり、お互い強く惹かれ合うものがあって、結局しばらくしてヨリを戻すことになった。それが最後の別れまでに数回あった。別れたりヨリを戻したりを繰り返すカップルもださいと思っていたけど、ジャスティンとセレーナを自分たちと重ねて励みにした。

最後の別れの直前は、遠距離恋愛みたいな感じになっていて、私は引っ越したばかりの慣れない環境でストレスもあったり、時差もあったりして、結局離れていても喧嘩ばかりだった。

最終的に、別れを切り出されたのは私だった。国境を挟んでいたので、電話越しだった。その日は仕事が休みで、家の近くの道端で立ちながら会話したのをいまだに覚えている。

相手の最初の一言は「距離を置きたい」だった。もちろんショックだったし、予想もしていなかった。それに、すでに遠距離なのにこれ以上どうやって距離を置くんだよ!?という苛立ちもあった。

「私は白黒はっきりつけないと嫌な性格だから、グレーゾーンには耐えられない。別れるか別れないか、今ここではっきりして!」と言ったら「じゃあ、別れる」と意外にもあっさりと答えが返ってきたのは、これまた予想外だった。

最後にヨリを戻す時に『もしまた別れることになっても、もうヨリを戻すのはやめよう。これで最後にしよう。』と予め約束していたのと、私は元彼と友達になれないタイプの人間なので『別れた後は他人ね』と宣言していた。

だから、突然の別れ話に焦った私は「前にも話した通り、これで本当に最後だし、別れたらもう他人だけど、それでいい?」と、もしかしたら考え直してくれるかもしれないという最後の望みをかけて聞いてみたが「うん、わかってる」というのがファイナルアンサーだった。

おそらく一生に一度あるかないかの大恋愛ってやつだった。

別れてからは、新しく出会った人とデートをしたりしてみたけど、もちろんうまくいかなかった。まだ次の恋愛にいくまでの準備ができてないんだ。傷が癒えるのを待とう。

それから2年ほどが経って、自然とまた恋愛がしたいと思う気持ちが芽生えた。だけどそんなうまいこと新しい出会いは転がっていなかった。だから、まずは自分を売り込むことから始めた。

友達や同僚に彼氏募集中アピールをして、うまいこと紹介してもらえないか期待した。何度か共通の友人を交えて、男女の飲み会をセッティングしてもらったりもしたが、恋愛に発展するような出会いはなかった。

次に流行りのマッチングアプリにも手を出した。最初のよそよそしい他人行儀な挨拶のやりとりが苦手だった。だけど、その中で一人だけ気が合いそうな人が見つかった。ここまで話が弾むならそろそろ実際に会ってみてもいいんじゃないか?と思っていた。

なかなか向こうからのお誘いはなかったので、思い切ってこちらから誘ってみた。(誘う側というのは相手が友達でも苦手)すると、その日は仕事の都合で時間が合わないと言われてしまった。別の日にちを提案してくれることはなかった。

だから、数日経ってまた私から誘ってみた。そしたら、再びNOだった。リスケをする気もなさそうだ。実際に会いたい気持ちがないなら、だらだらとLINEだけ続けていてもなんの意味もないだろう。そう思って、返信するのをためた。

気付けば最後の恋愛から5年も経っていたなんて。これを書くまで気付かなかった。いや、本当は薄々とは気付いていた。

だけど、別に恋愛をしなくても私は自分の人生に満足しているので、今は出会いを求めることもなくなった。

そんな私がこれから恋愛について思うことを文章にしていこうと思ってnoteをはじめてみた。

恋愛をしていない、なんなら恋愛を放棄した私の恋愛の話、共感してくれる人がいればいいなと、小さな期待を胸に抱いて…

フリーダ・アイリス


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