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パルデア帝国最強のポケモン

カイリュー。それは、SVにおける正真正銘、史上最強のポケモンである。ハバタクカミ、パオジアンの記事をこれまで書いてきたが、こいつは次元が違いすぎるという事を初めに述べておく。今回も型や対策などを考えていくが、相当数が多くなることをご容赦いただきたい。



カイリューとは

まずはポケモン紹介。

全国図鑑No.149
ドラゴンポケモン
ドラゴン・ひこうタイプ
高さ2.2m 重さ210㎏
特性:精神力、マルチスケイル(隠れ特性)

初代の赤緑からの古参であり、メディア露出も多いポケモン。大器晩成型の600族であり、昔から一定の強さを示してきた。SVでは戦闘システムと嚙み合い、使用率2位以上を常にキープしている。

種族値

H91 A134 B95 C100 D100 S80 計600
600族だけあってバランスの良い配分である。Aが高いのでCが無駄なのでは?と思われるが、そうでもない。どの種族値も活かせるステータスなので、どんな型でも運用できる強さがある。

タイプ受けだが、氷4倍が致命的で、岩・フェアリー・ドラゴンが2倍。ステロダメージで削られるのも痛い所。
だが、特性によってこいつは見かけ以上の強さを引き出している。通常特性の精神力も、怯まず絶対行動が約束されていて役立ちはするが、それ以上に『マルチスケイル』が強い。というか強すぎる。マルチスケイルの効果は、「HP満タン時、受けるダメージを1/2にする」というもの。これにより、4倍ダメージであろうと耐えきるという荒業が可能となり、種族値以上の耐久力を発揮できる。こいつがSVで化けた理由は、テラスタルによる影響が大きく、これまで4倍弱点である氷技をぶつければ何とかなっていたが、テラスタルによってそれが不可能となったためだ。テラスタルは、単タイプになるため、4倍弱点が無くなる利点を持つ。マルチスケイル+2倍弱点のみが合わさる事で、行動保証がこれまで以上に確保されたのである。

カイリューに限らず、初代ポケモンの技範囲は広すぎの一言。あらゆるタイプの技を習得し、イメージと全然合わない技も使えてしまう。
現在の主力技は、神速・地震・竜の舞・羽休め・スケイルショット・電磁波・テラバースト・アイアンヘッド・アンコール・逆鱗・エアスラッシュ辺りである。これだけでも相当多く、ここから4ウェポンを見抜くのは不可能。テラスタル・努力値・性格も技によって変わってくるため、選出段階で型を読み切るのは無理ゲーの類となる。
また、ほんち・アクジェ・アイススピナー・冷凍ビーム・流星群を入れたカイリューもおり、特殊型もケアする必要が出てくる。


型紹介

ここまでで見てもらえば分かるだろうが、カイリューの型にテンプレは無い。そこで、ここでは対策した方が良い型をメインに紹介する。遭遇率が高く、最も使われている型を対策しておくだけでも、勝ちやすくなると思うからだ。

龍舞無双型

持ち物色々:龍舞・@3 テラスは技による

まずは龍舞してからのスイープをする型。残りの3つは構築ごとに違うため割愛。テラスもどの技を強化するか、誰を相手取りたいかで変わる。この型は、マルスケによる耐久を活かし、1ターン目で確実に積み、2ターン目以降になぎ倒していく動きをする。努力値はHASをベースに割いており、耐久面は少し薄めである。対処は様々だが、「高速アタッカーで速攻」「HB型のポケモンで受ける」が一般的。まず、カイリューのSは80族で最速でも145と特段早くはない。更に、龍舞無双は性格補正をAにして火力を優先しているため、準速の132と低く考えて良い。そのため、Sブーストのカミやテツノツツミを出されると、積んでも攻撃できず後ろに引くか致命傷を負うかの選択を迫られる。神速で無双しようとしても、カミには効かないし、ツツミでも1耐えされたりするので、こいつらには不利と言える。

持ち物は多様であり、ブーツ・クリアチャーム・ダイス・食べ残しetc。1ターン目での判別はできないので、対面したら相手の技テキストや持ち物発動の場面は見逃さないように。


鉢巻ぶっぱ型

こだわりハチマキ:神速・地震・逆鱗・テラバor他の技 ノーマルor飛行テラス

続いて超火力の鉢巻型。龍舞と異なり、1ターン目からぶっぱしていく猪突猛進スタイルを取る。初期から存在しているが、多様化が進んだ今、再び猛威を奮っている。この型は、持ち物・テラス・技が分かりやすい部類であり、分かれば対策は簡単な方。しかし、真の強みは「1撃目の崩し性能」であり、気付いたとしても後手でカバーしきれないのが厄介。本来苦手な対面であっても、相手の読み違いが起きると簡単に倒せてしまう(龍舞読み挑発をしたら、地震でワンパンとか)。当初は4つ目をけたぐりにしていた(ドドゲザン意識)が、数を減らしたため、範囲を広げる飛行テラバが増えた。


電磁波封じチャーム型

クリアチャーム:羽休め・龍舞・ワイブレ・アンコールor地震 電気or地面テラス

次はハバカミの電磁波や甘える対策として開発された型。クリアチャームという持ち物を使い、テラスで麻痺もケアするタイプである。これの強みは、「積み封じをカモり、一方的に能力上昇をする」事である。龍舞無双の対策として、甘えるなどの能力下降をさせる技で積ませない事だが、チャームを使えばその状況が実現しなくなる。クリアチャームは、『相手の技や特性で能力ランクが下がらない』というものである。ランドの威嚇も効かないので、交代による受けもできなくなる。
一時期流行っていたのは、ワイブレによる物理アタッカー封じである。ハバカミに意識を割いた分、他の対策が甘くなる事を考慮し、ワイブレで対象を無理やり広げたのだ。これを見ると、「最強やん!」と思うだろう。しかし、弱点は攻撃され続ける事であり、起点封じに強い代わりに高火力アタッカーとの打ち合いには弱いのだ。特に、アタッカーガチグマが苦手であり、マルスケ剥がしからのブラッドムーンであっさり沈む。こうなる理由だが、カイリューは「耐久を底上げする積み技を持たない」のである。攻撃面は龍舞で上げられるが、耐久面は相手の攻撃を封じる以外に手はない。この点は、カイリュー対策をする上で重要な要素である。


要塞物理受け型

ゴツゴツメットor食べ残し:羽休め・アンコール・電磁波・エアスラッシュor炎の渦 フェアリーテラス

カイリューの型はアタッカーだけではない。物理アタッカーへの嫌がらせに特化したHB型もいる。基本後出しで繰り出し、ゴツメダメージを与えたり、突っ張ってきた相手に麻痺を撒いたりする。最も害悪かつ面倒な型であり、まひるみ戦術による運ゲー突破は、食らうと不快指数Max。しかも、アタッカーと対策が全然違うので、相手にしていてこちらの選出が腐る事もある。こいつの厄介なのはまひるみだけでなく、アンコによる起点封じもできるところだ。「積んで無理やり倒そう」という策すら封じられ、アンコロックをしてから裏のポケモンで有利対面を作られる、という絵面が簡単に出来上がってしまう。はっきり言うが、これは絶滅しろ。
対策だが、電気・地面タイプを後出ししておくに限る。特にランドロスは有効策であり、龍舞型であってもチャームでなければ有利択となるので、カイリュー対策の筆頭ともいえるだろう。相手が積み直しても、「岩石封じや撃ち落とすで次ターンで羽休めを強制させて逆に嵌める(相手の有効打を打たせない)」、「引いてくるのを読んで後攻とんぼ返りで有利択を押し通す」といった流れを作れるので、困ったらランドロスを入れよう。
ハバカミやウーラオスなどが麻痺ったらそれだけで超不利になるので、くれぐれもそのような事故が起きないようにしてもらいたい。


両刀型

弱点保険など:冷凍ビーム・流星群・@2 テラス色々

冒頭と意味合いが変わるが一応これも。ここまで来ると最早意味不明な型であり、半分事故と割り切るべき型になる。コンセプトは、マルスケで耐えて保険発動➡攻撃2倍にして反撃、突破である。カイリュー=物理アタッカーという固定観念を破壊し、物理受けを粉砕する完全なる奇襲型であり、こいつにやられて勝ち筋を潰された人も多いだろう。
ただ、このようなマイナーなタイプまで対策しようと思うとキリがないし、「メジャーなものなら勝てた」というならそれで良いと思う。
大事なのは、「環境で最も使われている型への対策が取れているか」を常に確認する事。先ほどの理屈なら、充分な対策が取れていると捉えて問題ない。しかし、更に上を目指すなら、「事故った後のアフターケア」ができる立ち回りをアドリブで組めると良い。奇襲型はピンメタに近いため、普段は通用しないシンプルな動きで突破できたりする。奇襲負けを事故と割り切ってもありだが、諦めずに突破口を探す事をやって損はない。勝負は簡単に捨ててはならないが、反省会は短めで良いという結論だ。


対策になるポケモンは?

結局誰が対策になるのか?は対戦勢の気になる部分だろう。まず結論から言うと、「いない」。正確には、「全ての型に対応できるやつはいない」という事であり、型に応じた対策は考案されている。

霊獣ランドロス

最もスタンダードな対策であり、適当にぶん投げておいて損はないポケモンである。特性の威嚇が優秀であり、物理型の火力を削いでくれるので、龍舞や鉢巻型に対して使える。カイリュー以外にも勝っていって対戦に勝つためには、いかに有利対面を作れるか・有利な選択肢を通せるかが大事。所謂サイクル戦に持ち込み、対面重視の相手の戦術を崩していけるのはランドの強みだ。

暁ガチグマ

物理受けにすればこいつも有効。元々HBは高い部類であり、カウンターとして使うブラッドムーンや欠伸が強力。カイリューは交代技を持たないので、場持ちを短くすればこちらの有利に持ち込めるのだ。欠伸で流して交代を促し、裏の相手にブラッドムーンを打ち一気に崩していくといった動きだけでも勝率がグッと上がる。
欠伸を最初に打てば、アンコールも対策できるので搦手にも有効。

ハバタクカミ

受けるだけが対策ではない。ハバカミみたいにアタッカーで沈める動きも強い。ハバカミの強さは、素のタイプで神速を透かせる点にある。先制神速でなぎ倒す動きが一つの通し方なのだが、そこへのメタとして貼れる。これだけでも採用して良い理由となる。また、素の相性で有利なので、強制的にテラスを切らせたり後ろに引かせる事も可能。カミが反撃されたとしても、裏で詰める考え方があれば、簡単にカイリュー軸に勝てるのだ。スケイルショットも効かないので、S上昇も防げる。起点封じかつ撲滅担当として最も優秀なポケモンだ。

テツノツツミ

こいつも強い。Sはハバカミ以上であり、アンコールも使える。
例として、龍舞に後出し➡神速読みゴーストテラス&身代わり➡アンコールでロックする(交代させても身代わりを残して攻撃できる)という流れを作れる。露骨すぎて読まれもするが、神速を打たせないだけでも効果はある。「テラスタルをさせる」ポケモンを使うのも、型が多いカイリュー対策の一つだろう。

パオジアン

最後はこいつ。前回紹介したが、パオの氷柱による圧力も対策になる。ツツミと同じくカイリューにテラスをさせるポケモンなので、強くて当然である。

なお、ヘイラッシャやディンルーといったポケモンは、エアスラ型や渦アンコに遭うと嵌め殺されるため割愛。どんなパターンでも対応が間に合うポケモンでないと、上位まで登るのは難しい。なお、Hに割いていない、かつテラス無しならブリジュラスの眼鏡特化流星群でマルスケごと貫通して落とせる。


使う場合は?

今度は逆に、使う時の意識も紹介したい。ここでは、「努力値」「技」「テラス」の優先度を伝えていく。

努力値

一番メジャーなのは龍舞型であり、それ以外でも鉢巻が強い。S17現在、いかさまダイス・こだわりハチマキが上位2強である。種族値的にも物理寄りなので、まずは普通の物理アタッカーから始めてみよう。そのため、Aが最優先事項となる。次が難しいのだが、上から動けると制圧力が増すのでSを優先したい。極振りにする必要は無く、1舞で誰まで抜けるかを計算して調整できると、耐久にも回せて場持ちが良くなるだろう。HBやCSのような変態型は、慣れて来たらで構わない。

外せないのは神速。優先度2から放つノーマル技であり、これを軸にノーマルテラスで押す戦術だけでも充分。ふいうちやアクジェも関係ないので、相手の先制技すら気にせず攻撃できる。次に地震。元タイプは鋼タイプに弱いので、そこへの打点になる。神速とセットで入れて、広く対応しよう。残りだが、誰と組ませたいかで構成を変えると良い。羽休めや龍舞が多いが、それが正解とは言えない。PT構築の肝となるポケモンであるため、どんな役割を努めて欲しいかを良く考えてカスタマイズしよう。積みアタッカー、受け、ゴリ押しなど担当を明確にする事。

テラス

親の顔より見た絵

困ったらノーマルで。神速の火力上昇になり、弱点も格闘のみになる。PVにも出るくらいの知名度だが、現在でも安定しており現役だ。ノーマルに飽きたら、流行りの鋼もおすすめ。アイへ+スケイルショットのダイス型は、嵌れば勝ちを拾いやすいし、苦手なフェアリー相手への抵抗にもなる。ハバカミ相手のメタ・・・と言いたいが、襷が一定数いるので過信はしない事。


型に関係なく果たせる役割

カイリューというポケモンそのものが果たせる役割として、「地面の一貫を切る」「マルスケ込みで強引に受ける」の2点である。まず、元タイプの関係上、入れるだけで地面技の一貫を切れる。ランドやガチグマ相手に無償降臨して有効打を打ち込むという動きが簡単に出来たりするので、どんな型でも地面相手への後出しは強い。また、マルスケとタイプ半減を活かせば、無理やり体力を緑ゲージで持ちこたえる事も可能となり、主に水ラオスの水流連打後出しでの受けなどがある。一撃で落ちるという事がほとんど無いので、先発・後発どちらでも役目を果たせる。


最後に

長くなってしまったが、ここらで筆を置く事にする。環境を常に席捲する最強を、一度使ってみてほしい。対策に悩んでいる人は特にそうすべきであり、相手がどうやって対策を練っているのかを知る機会となる。強すぎてまともな対策ポケモンと当たらなかったという事もあるが、それはまだ開拓が進んでいない証拠であり、目には目を歯には歯を理論で戦うしかないだろう。伝説が5月からいよいよ襲来するが、カイリューは生き残れるのだろうか。

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