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ゾイド考:レッドホーン

ゾイドの世界観、設定についてアレコレと考察する。

対小型ゾイド用戦闘機械獣

レッドホーンは最も完成度の高い大型ゾイドだ。
原型機(アーリーモデル)は地球人到来前から存在し、
それから70年近く経過しても尚一線級の兵器として活躍している。
当機は単純な性能ならあらゆる面でゴジュラスに及ばず、後発機に対しても戦力比較表で散々な評価を貰っている……が、実戦はカタログデータを比較する性能競争ではない。
レッドホーンは配備初期こそゼネバス帝国軍唯一の大型機として「対ゴジュラス」という特攻同然の悲愴な任務に投入され、多くが悲劇的な結末を迎えた。
だが、レッドホーンは敵小型ゾイドの駆逐こそが正しい運用といえる。
当時の共和国小型ゾイドは装甲、火力ともに極めて貧弱でレッドホーンに対抗する術を持たない。
ヘリック共和国の国力を頼りに数ばかり多い小型ゾイド部隊には天敵のごとき存在であり、レッドホーンは全身の火器で一方的に敵部隊を蹂躙する。
敵小型ゾイドの駆逐という最適な運用方法は西方大陸戦争以降も健在で、共和国軍は結局、ガイロス戦~ネオゼネバスとの終戦に至るまで対抗機種すら持てなかった。
小型機部隊がレッドホーンに遭遇したら、カノントータス等の砲兵部隊や希少なシールドライガー以上の機体が配備された高速部隊の救援が到着するまで延々と蹂躙される。
せいぜいガンスナイパーのライフルが、悠然と動き続けるレッドホーンの側面装甲からコアを撃ち抜くのを祈るしかないだろう。

高圧濃硫酸噴射砲

レッドホーンの代名詞とも言える象徴的武器である。
武器自体は帝国共通武器ランナーにセットされたものでデスザウラーやサーベルタイガーにも同一形状の武装が付属するが、高圧濃硫酸噴射砲として装備されるのはレッドホーン系列機とディメトロドンのみだ。
これは一部ムックのストーリー等で対人兵器として使用された例がある。
確かに顎下のマウント位置は歩兵に対して有効なポジションだが、費用対効果や環境汚染の観点から乱射するわけにもいかず、対人メインの武装ではない。
強酸性兵器は金属生命体であるゾイドに対してこそ有効な武装なのだ。
ゾイドは意思あるメカ生体だ。
特に共和国側ゾイドはコンピューターによる意識統制が弱く、野性の本能が強い。
そこに濃硫酸を吹きかければ、どうなるか?
小型ゾイドは我が身を焼かれる苦痛に悶絶し、ゴルドスのような温厚な大型機は戦意を失ってコンバットシステムがフリーズ=操縦不能に陥る。
辛うじて戦意を保っていても、焼けただれた関節や装甲は容易に再生できず行動を阻害する。
マトモに動けなくなったゾイドなど、レッドホーンの良い餌食だ。
こう書くと確かに有効な武装だが……普及率は低い。
濃硫酸という劇物を使用する都合、管理維持が難しい上、闘争心の強い肉食獣や恐竜型ゾイドに撃ち込んでも却って逆効果になってしまう。
共和国軍も無能ではないから、装甲の特殊加工やコンバットシステムのアップデート等で対応してくる。
残念ながら、高圧濃硫酸噴射砲は一部ゾイドにしか通用しない特殊兵器の域を出ない……ということだろう。

戦場の便利屋

レッドホーンは汎用性が極めて高い。
その普及率から改造機も多く、運用コストも低く安定した稼働率であらゆる任務に駆り出される。
輸送部隊の護衛、哨戒、地雷除去、訓練用仮想敵、大型ゾイド用装備のテストベッドetc……。
共和国軍にとっても喉から手が出るほど欲しい機体だ。
共和国軍に配備されたゾイドで、レッドホーンと同様の運用を出来る機種は存在しない。
ゴルドスは装甲が貧弱で小回りが効かず、なにより高価な電子戦用機材を突撃機に転用できない。
ディバイソンは前面に火力を集中しすぎて臨機応変な対応が出来ない。
特に対小型キメラ戦闘が増えたネオゼネバスとの戦いでは、レッドホーンのような機種が共和国軍に必要だった。
ガイロスとの同盟以降、共和国軍へのレッドホーンの供与が行われ、グリーンホーンもしくは青いカラーリングの「ブルーホーン」が戦場で目撃されるようになった……のかも知れない。

#ゾイド
#ZOIDS











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