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【フリーズラボ】 冷凍は時間を止める技術。では、その冷凍はおいしいのか?

みなさんこんにちは、フリーズラボ(freeze-LaBo)です。
フリーズラボは、千葉県にある、急速冷凍技術を用いた食と生活の実験室です。

前回、フリーズラボの運営会社、ISG(アイエスジー)の生い立ちとビジネスで追求してきた時間の短縮、多重化、加速というイノベーションへの気づき
についてご紹介しました。

今回は急速冷凍技術に着目した理由について、考えていきましょう。

時間を止める技術

これまで、燃料を行き渡らせることによって、時間の効率性を提供してきたISG。「時間を売っている」という気づきを得たISGの4代目、現在の代表取締役会長兼社長執行役員の石井誠一は、あるとき、液体冷凍の技術と出会うことになります。そのとき、

「時間をコントロールする技術だ」

と気づきました。

いままでのISGは、時間を加速するインフラである燃料を提供してきました。これによって、料理をするときに薪や炭で火起こしをしなくて済むようになり、また火力も自由に調整できるため、大きな時間の短縮をもたらしてくれました。

しかしこの冷凍技術は、時間の加速とは真逆で、「時間を止める技術」でした。

調理が時間に関係していることはもちろんですが、食材やできあがった料理も実に時間にシビアです。食材には「鮮度」というものがあり、味に直結します。一方料理もできあがってすぐでなければおいしくありませんし、放っておけば悪くなってしまいます。

冷凍は、そうした食べ物の時間を止める技術、と位置づけることができ、食材にしても料理にしても、冷凍によって、いつでも新鮮なおいしさを提供できるようになると考えました。

冷凍による食の問題解決

食に対する冷凍技術の活用は、実に様々な問題を解決する可能性を秘めています。

冷凍された料理は、温めるだけで手軽に楽しむ事ができ、飲食店にとって新たな機会の創出になります。特にコロナ禍で店舗での営業が難しくなった昨今、料理や味、来店でお客さんとつながっていた飲食店は、最大のコミュニケーション方法を失ってしまいました。冷凍された食での楽しみ方が拡がる可能性があります。

その飲食店での調理の効率化や食品ロスの低減にも効果を発揮します。国や自治体の方針が見通せず、また客足が見えない状況は、売上を極めて不安定にしています。しかし店舗を構えている以上、お店の家賃や光熱費などの固定費はかかり続けます。調理や仕込みをまとめて行って冷凍保存することができれば、空いた時間を有効活用することができます。

これは飲食店だけでなく、学校の給食室や学食などでも同様です。コロナで給食の提供がストップし、牛乳や野菜などの食材が大量に余る問題が発生しました。また大学の学食は、オンライン授業化で休業を余儀なくされ、設備が使われずに放置されている状況に追い込まれています。

こうした遊休調理施設と冷凍技術の組み合わせによって、新しい食のビジネス展開を実現することもできるかもしれません。

もう一つ、より健康的な食事や、日本や地域の食文化の持続性への貢献の可能性もあります。

現在食の流通はスーパーマーケットやコンビニエンスストアで非常に身近で充実しています。しかしその原材料を見ると、実に多くの化学調味料や保存料が含まれており、味の安定や腐らせないように流通させるために、健康的な食を毀損している実情が浮かび上がります。

また食文化の持続性は、近々の課題です。気候変動や周辺国の食文化の変化で、日本の食卓から「旬の定番」が消えつつあります。特に魚介類は顕著で、秋の味覚の代表格だったサンマも、もはや稀少な高級魚になってしまいました。

また食の自給率が叫ばれる一方で、農家は価格調整のために、せっかく作った野菜や形の悪い果物を潰して、調整をしています。にもかかわらず、果物などの地域の名産品を生かした料理やお菓子を、1年中販売する体制が整っているわけではありません。

こうした仮説を検証することも、フリーズラボの役割であり、だからこそ、飲食店の皆様とのコラボレーションが必要になるのです。

次なる問題

食に関する諸問題の解決の可能性について触れましたが、そもそもの大前提も忘れてはいけません。

その冷凍はおいしいのか?

という課題です。

冷凍食品と相性の良い料理も存在しています。例えば麺類、冷凍のうどんは、腰や食感などの再現で、日常的な料理をする上では申し分ないレベルになっていると感じます。

しかし生鮮品や素材の食感を生かした料理は、冷凍食品を解凍しても、がっかりすることは少なくありません。そこで、冷凍技術そのもののイノベーションと、冷凍を前提とした調理技術のイノベーションの双方が必要になります。

こうしたノウハウの蓄積には様々な料理での膨大な実験が必要となり、フリーズラボの挑戦でもあります。noteでは、そうした実験と発見、コラボレーションを通じたイノベーションの瞬間を、お伝えしていきたいと思います。


freeze-LaBoでは、飲食店や飲食チェーンの経営者の方々、不動産や投資家の方々にラボに来て頂き、様々な実験にご参加頂きたいと考えております。ウェブサイトで詳しくご案内しています。


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