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篠澤広・長谷川白紙「光景」、アイドルIPのソロ曲として至高の曲

学園アイドルマスターという新作ゲームで9日連続MV公開が行われていた。私は蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブのオタクであり、アイドルマスターのことはよく知らないのだが、電音部と告白実行委員会のオタクではあるので毎日追いかけていたところ、6日目の「光景」があまりに衝撃的だったためひたすらループ再生していた。多分5日で30時間くらいは見ている。

独自の世界観を持つコンポーザーの起用やブラジル音楽界の重鎮によるオケ編曲など、アイドルIPの曲という枠を飛び越えて話題になっているところだが、これがアイドルIPの曲である以上はその文脈から語っておいてもいいのではないか。


アイドルIPのアイドルの最初のソロ曲というのは特別だ。そもそも最初で最後のソロ曲となることも多々ある。複数出たところで多数のオタクが好きなのは最初の曲であることも多い。

往々にしてその役割は世界に対する自己紹介である。私はこういう人間、アイドルだと名乗りを上げるための楽曲。これはリアルアイドルの曲とは若干違う役割であり、キャラソン特有のものだろう。

そして作詞・作曲・編曲の長谷川白紙は篠澤広と向き合い、対話し、理解したうえで、正しくその目的のために作り上げたのがこの曲ではないだろうか。なんでこんな普通のことを書いているかと言うと、そもそもコンポーザーの過去作が基本的に人間向きでないからである。そのことがこの曲の特異さを際立たせ、解像度の高さがそのあたりを物語っている。


ボーカルで篠澤広が見てきた光景とその心情を、徐々に早く強くなる(おそらく打ち込みの)パーカッションでこれまでの退屈とアイドルとの出会いと「いちばんわたしに向いてなさそう」なことに挑戦する胸の高鳴りを。

オーケストラはおそらくこの目的とはあまり関係が無い。何ならうちの子の門出を派手に祝うぜ!くらいのノリで入ってるんじゃないかと疑っている。ただしこの曲が人間に向いている最大の理由がここにあるので欠かすことはできない要素である。最初はなかったとかだとだいぶ面白いがさすがにそんなことはないはず。

この曲のオケは低音楽器が存在しておらず、低音はほぼ全てがパーカッションであるあたりに強い意志を感じる。最後の方ではうるさいくらいに鳴り響くパーカッションに篠澤広の生命の鼓動を感じられないだろうか?


結果として生まれたのは篠澤広がどういうアイドルなのかを4分31秒で理解させてくれる完璧な自己紹介曲だった。己の道は己で選ぶ、ビジュアルに反して冬優子やめぐちゃんと同系統の不屈の熱血ファイター、それが篠澤広である。公式の自己紹介ページとこの曲しかインプットしてないけど多分そう。よろしくお願いします。



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