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互いに補い合いながら

今日は空が揺れているのを感じます。

こんな空は、
あまり見たことがありませんね。
太陽も左へ右へと振り子のようにゆらゆらと。

ついに頭がおかしくなったのか、、、。

いやいや、実は、
久しぶりにハンモックに揺られながら
空を眺めていただけなんです。
(ご安心を、、、、笑)

木陰で揺られながら本を読んだり、
Ipadでネットサーフィンしたり
自由きままな時間を過ごしていました。


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浜辺で海を眺めるのもいいですが、
こうしてハンモックに揺られながら海を眺めていると
自分の欠けているものが満たされていくような。
そんな穏やかな気持ちにもなります。

そう感じるのも、
幼い頃に母の腕に抱かれて揺られた時の記憶や、
大切な人とこうして大きなハンモックに包まれて
時を過ごしたことを思い出していたからかもしれません。

人は一人では生きてはゆけない。

自分と他人。
師弟や家族、友人。
色々なつながりの中で互いに何かを補いあながらこそ
歩んでいける。


そんなことを考えていました。


自分ばかりに目を向けてはいないだろうか。
近くの存在を大切にできているだろうか。

誰だって自分のことは大切だけれど、
それ以上に他人の存在や相手の魅力というものを考えてみるとも
大切なことだと思うんです。

今回は、お互いの存在を尊重し、
無きものを補い支え合ってきた、ある夫妻のお話。

まだお互いに出会う前、
夫婦になる以前のお話からさせていただきます。


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世界大戦が終わりを迎え、
人々がようやく落ち着きを取り戻していた、
そんな時代のアメリカでのお話です。

二人が夫婦になる何年も前、
男性は、ものを形にすることが好きな職人気質で、
高校に通いながら設計事務所で製図を引くことを学び、
数多くの建築に触れ、憧れを抱きながら、
自分で世の中のものを形作りたいという思いを膨らませていました。
やがて自分で家具のデザインを手がけるようになります。

また、違う場所ではある女性が、
アートに魅了されて、美への探究心を深めていく日々を送っていました。
好奇心旺盛な彼女は画家に弟子入りしては抽象画を学んだり、
時に舞踏家から前衛舞踏のレッスンも受けていました。
そうして創造性豊かな感性を養いながら、
自身もまた一人の表現者としての道を歩んでいました。

その男性と女性は別々の道を歩んでいましたが、
運命というのは不思議なものです。

ふとしたきっかけで、
その二人の道が重なり合うことになるんですね。

ある時、美術館での展示の仕事を通じて
その二人は同僚として働くことに。

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幾日も、一緒に時を過ごしながら、
二人はお互いの魅力に惹かれ、
やがて結婚することになります。

そして、
夫婦としてデザイン活動をしていくことになり
二つの道が一つに重なってゆくんです。

当時は世界恐慌を経て、
世界大戦の名残が色濃く残っていた時代です。
灰色の日常が少しづつ彩りを取り戻しはじめ、
大衆も豊かな生活を求めていました。

そんな中で産業に必要とされていたのは
「大量生産」という考え方だったんですね。
一日でも早く、少しでも多くの人々に、
ものを行き渡らせることが求められていました。

そんな中で、その夫婦は考えます。

「ただ安くて大量に生産すればいいわけではない」
「そこにデザイン性や機能性までもを加えて人々に行き渡らせたい」

そんな考えを持ちながら二人はデザインと向き合っていました。
そして、当時「木製」が家具の主流であった時代の中で、
新しい素材であったプラスチックや合板を用いるアイデアを思いつきます。

コストや生産性だけでなく、どこまでも自由なデザインを表現できる
素材や技術に出会い、二人はその素材を最大限に活かした表現を追求していくことになるんです。

夫は持ち前の緻密な設計力と大胆な造形力を活かしながら、
妻はアートで養った自由な発想を活かして、
家具のテキスタイルや宣伝のためのグラフィックまで幅広く担います。

二人の能力がひとつとなり、
やがて二人が目指してきた「機能的で、美しく、大量生産」可能な
デザインを実現させてゆきます。

すると、これらの製品は瞬く間に人々の話題となり、
世の中に広まっていきます。

家庭だけではなく、数多くのオフィスや公共施設にまで、
その鮮やかで自由な形をした数々の家具が、
戦後の無彩色の世界を鮮やかにしていくのでした。

この夫婦こそ、
後に「モダンデザインの巨匠」とも言われることになる
チャールズ&レイ・イームズ夫妻です。

二人は、その後も既成概念にとらわれることなく、
自由な発想とデザインへの思いによって、
世界に数々の名デザインを広げてゆくことになります。

それぞれの魅力を補い合いながら
世の中に新しい価値を伝えていった二人。

その後の世界は、二人のデザインで彩り溢れ、
やがてアメリカは「アメリカンドリーム」を追い求める人々によって
明るい時代が作り上げられていくことになるのです。


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僕は学生時代に
この二人の考え方に多くを学びました。

一般的には、イームズ夫妻といえば
「イームズチェア」と言われるように
椅子だけが語られがちなんですね。

ですが、実は椅子だけではなくて、
戦後の住宅の大量生産に報いるために
「イームズハウス」なる機能的な住宅もデザインしていたし、
二人はデザインというものを広い範囲で捉えていたんです。

僕も学生時代にはバイトで貯めたお金で、
イームズのデザインしたロッキングチェアを買い求め、
いつまでも揺られながら読書をしていたものです。
そのせいか、今でもこうしてハンモックに揺られると
当時を思い出すんです。

また、意外と知られていませんが、
イームズ夫妻は映像作品もつくっていて、
実は当時IBMの出資を受けながら
映像作品「Powers of Ten」という作品も発表しています。

何気ない日常から徐々に宇宙へと映像がスケールアップしていくというシンプルな映像なのですが、この映像を見ていると、
イームズ夫妻の持つスケール感にただただ圧倒されてしまう。
(参考にどうぞURL)

この映像に表現されているように、
ミクロとマクロという二つの視点があったからこそ
彼らは世の中を深く洞察し、数々のデザインを生み出すことができたのでhないかととも思うんですね。

この夫婦にとって互いの存在は、
それぞれの視点を補うために
無くてはならない存在だったのだと思うんです。


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みなさんの身近にいる人のことを
少しだけ考えてみてください。

もしも身近にいる存在が
自分と正反対の人でも、
たとえ嫌だと思えるような存在でも。

それは自分にはない大切な何かを
持っている人なのかもしれません。

だれかと手を取り合って
互いに補い合って何かに向かってみる。

学校、部活、勉強、仕事、家庭。

色々なところでまだ見ぬ新しい自分を
発見することにもなるかもしれませんね。


時にはそんな気持ちの余裕を持ちながら。



ゆったりとした時間を過ごしたいものですね。



遥か孤島から感謝を込めて。



いつもありがとうございます。














最後までお読みいただきありがとうございます。毎日時間を積み重ねながら、この場所から多くの人の毎日に影響を与えるものを発信できたらと。みなさんの良き日々を願って。