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「freee Advisor Day 2024 東京」公式レポート~士業に関わるすべての人が、ともに可能性を探索できる一日~

freeeは2024年6月19日、会計業界で働く人を対象としたイベント「freee Advisor Day 2024 東京(以下、fAD)」を東京都新宿区のベルサール新宿住友ホールで開催しました。福岡と大阪に続き、東京で3会場目となったfADは、3会場合わせて1,244名の来場者を数え、大盛況のうちに幕を下ろしました。この記事では、東京会場の模様をレポートします。

利用事業所数50万を突破 freeeが解決する、事業所における「3つの分断」とは

士業に関わるすべての人がともに可能性を探索する一日――。このコンセプトを掲げたfADは、freeeのCEOである佐々木大輔のセッションで幕を開けました。

佐々木は「freeeが考える会計事務所とスモールビジネスの未来」と題したセッションの冒頭で、freeeを立ち上げた経緯について説明しました。

「ベンチャー企業のCFOとして経理と労務を担当し、数多くのExcelを駆使して業務を回す現場を見て、これらを1つのソフトウェアで代替できるのではないかと考えました。その後に移ったGoogleで、中小企業向けマーケティングを経験し、中小企業に新しいテクノロジーが広がる重要性を強く感じました。こうした経験がfreeeの設立につながっています」(佐々木)

さらに佐々木は、freeeの掲げるビジョン「だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォーム」を紹介したうえで、「統合」というキーワードを提示します。

「あらゆる業務、コミュニケーション、データをつなげる(統合する)――。このコンセプトの下、freeeは会計から始まり、人事労務や販売管理までを1つのプラットフォームとして提供しているのです」(佐々木)

freeeは、中小企業の希望に合った税理士を紹介する「freee税理士検索」などのサービスを提供し、税理士や会計事務所とのパートナーシップを築いてここまで来ました。

またそれ以外にも、勤怠管理や給与計算、給与明細を統合した「freee人事労務」、会計事務所の申告業務を効率化する「freee申告」といったソフトの開発・提供にも取り組んできました。さらに販売管理の領域にも進出し、特にBtoBビジネスを展開する企業にとっては、すべてのリソースをfreeeで管理できるようになっています。

「ソフトウェアベンダーとして今後注意すべきこと、またソフトウェアを利用する事業所の皆様が気をつけるべき事柄は、3つの分断を起こさないことに集約されます。3つの分断とは、①業務の分断、②コミュニケーションの分断、③データの分断を指します。

例えば会計事務所の業務において、証憑を集め、仕訳をし、決算書を作成するプロセスがあります。この時、別々のツールを使ったり、一部に紙を使ったりするケースは少なくありません。こうした分断があると、後から「どうしてこうなったのか」を辿ることが困難になります。

コミュニケーションやデータについても同様です。私たちはこの10年間、さまざまな領域にソフトウェアを提供する中で、分断を起こさないための準備を整えてきました。そのための秘訣を『統合flow』と呼んでいます。分断を起こさないための開発を最も効率的に、最も高い品質で進められるようになっているのです」(佐々木)

加速するfreeeのプロダクト開発ロードマップ

続いて登壇したfreeeの根木公平(常務執行役員 パートナープロダクトCEO)は、「限定公開!直近のプロダクト進化と事務所業務の未来」をテーマに掲げ、「具体的にプロダクトがどのように進化していくのか、それにより事務所の業務がどのように変わっていくのかという未来についてお伝えします」と説明。会場の期待感を高めました。

根木はまず、この1年間におけるプロダクトの進化について紹介した後、次の3つに焦点を絞って説明しました。

①法改正
②紙の証憑
③freee申告

根木は①法改正について、「インボイス制度に十分に対応すると、その業務負担がかなり大きくなり、実際には適格番号があるか否かに関わらず、みなし処理に頼らざるを得ない状況になるというのが私の感覚です。税務調査がどこまで深入りするのかについて未だ不透明な部分もあります。ただ、freeeの機能をフル活用することで、インボイス制度開始前よりも業務負荷を軽減できる可能性があります」と述べました。

また②紙の証憑については、「顧問先が自ら請求書をデジタル化すれば、事務所側の管理負担が大幅に軽減されます」と述べたうえで、次のように補足します。

「ただ、顧問先に毎回スキャナーを使ってもらうのはハードルが高いので、スマートフォンを利用して顧問先がスムーズに撮影できる機能にも力を入れています。例えば、iPhoneには自動撮影機能があり、Android版のスマートフォンでは商品をまとめて撮影して分割保存できる機能があります」(根木)

さらに根木は次のように続けました。

「これにより、スマートフォンでも複合機のような役割を果たすことが可能になります。まずは協力的な顧問先にこのような手法を積極的に導入していただくことで、事務所側の負担を軽減するだけでなく、顧問先自身も紙の管理を廃止できる利点があることを理解していただけるでしょう。このようなサポートを付加価値サービスとして提供している会計事務所も増えてきています」(根木)

最後の③freee申告については、このプロダクトが紆余曲折を経て成長してきた背景を語りました。

「freee申告は、リリース時にはさまざまなお叱りの声をいただきました。リリースから7年が経ち、徐々に利用が広がり、現在では法人税申告件数が累計で4万件を超えています」(根木)

そして「freee申告は、A-SaaS(※)の開発チームを迎え入れる形で機能を強化し、法人税外形標準課税に対応したほか、他の税目に関しても100近くの帳票数に対応させるなど、開発を加速させています」と説明。

最後に、根木はプロダクトの今後1、2年での開発の方向性を示すVTRを流すとともに、①初期習熟(freee特有)、②資料回収・記帳、③チェック・顧問先確認、④決算・申告、という4つの開発テーマについて課題を解決していくとの決意を述べ、セッションを締めくくりました。

※2022年9月にfreeeへグループジョインしたMikatus(ミカタス)社の会計ソフト。

"先行く"会計事務所のセッションと話題の技術を体験できるサブステージ

fADではfreee内部のスピーカーだけでなく、会計業界に従事する幅広いスピーカーが登壇し、業界内の課題や業界動向などについて意見を交わしました。

この他、今回のfADではサブステージも設けられ、参加パートナーとしてScanSnap、スポット社労士くん、ユアキャリア、bixid、AirREGI、LINE WORKS、SoLabo、ZoooU(登壇順)がセッションを担当。各プロダクトやサービスについて紹介しました。

福岡、大阪、東京の3会場で計1,244名の参加者を数えたfAD。freeeの中長期的ビジョンと短期(1、2年)でのプロダクト開発におけるロードマップが示され、多くの来場者にとってfreeeに対する期待を上回る内容となったようです。最後に、freeeのミッションであり、CEOの佐々木が繰り返し口にしたフレーズでこのレポートを締めくくりたいと思います。

スモールビジネスを、世界の主役に。

それでは、来年もまた会場でお会いしましょう!


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