国家公務員法改正(検察庁法)(1)

この法律案のポイントは、国家公務員の定年の段階的な引き上げと役職定年制の導入が大きな柱だと思います。(内閣官房HP http://www.cas.go.jp/jp/houan/200313/siryou1.pdf)

ただ引っかかるのはひっそりと「検察官、防衛省の事務官等についても、同様にに定年の引上げ等を行う。」と書かれていること。そして施行日は令和4年4月1日。とされていること。

検察官は検察官法で国家公務員とは別にその身分などが定められていますので同じく改正されるのでしょう。

超がつく高齢化社会を迎え、年金の受給年齢が引き上げられる中、定年の引き上げをすることで年金がもらえるようになるまで働こうという趣旨なんだろうけども、そもそもこの国は年金制度が破綻しているのに「働き方改革」という言葉でごまかしているように思いますがその話は今回の目的ではありません。

年金制度が破綻しようが何しようがそれが社会の流れなのでなんとかしないといけないのでしょうから、国家公務員でも定年を延長して多様な働き方を進めるのは良いことです。ただ、役職定年と同時に俸給カットされる高級官僚の方々が後輩の部下となることに耐えられるのかどうかは知りません。

さて、検察官については、東京高検検事長の定年延長の閣議決定を正当化する為だとして、ネット上のデモとも考えられるほどに大きな反響が生じています。検察官の定年延長もあってしかるべしと思いますので、それ自体には異論はありませんが、①なぜこのコロナ禍の時期に。②強行採決までして法案を通す必要があるのか。この2点について非常に理解に苦しむところです。

まず、東京高検検事長の定年延長を摩訶不思議な論法で通しきったことで、関係ないとは言いつつも、同じ匂いのするこの法案に対する政府への信頼感はまったくありません。それどころかウラがあるんじゃないかと訝しむくらいです。一般法と特別法の関係や口頭決裁などおよそ法務省がとち狂ったのではないかと思うほどです。特に口頭決裁の件については開いた口が塞がりませんでした。こんなんアリかと。

行政機関において文書とはその機関の意思表示であり、未来への資産でもあります。その意思決定は書面で「決裁」をすることでその機関としての意思を決定し、その過程を残すのが決裁文書です。公文書に記載している文書番号はその意思決定をきちんと行って将来に対して残しているんですよという証左なのです。そしてその方法は各機関の規定などによって定められています。まぁ、国家的緊急な課題に対しては超法規的措置として口頭決裁というのもアリなんかなと思いますが、検察官の定年延長の何処に緊急な課題があろうかと。そこの詳細な説明がありません。内閣では閣議が開くことができない時ですら持ち回り閣議として各閣僚の了解を取るというのにです。もう少し突っ込んで言えば公文書の取り扱いに関しては森本問題などでその必要性が取り沙汰され、さまざまな問題が噴出したのにも関わらず同じようなスタンスで臨んでいることは少し国民をナメ過ぎなのかと思います。なので最初から信頼ができておりません。(いずれ文書事務については考えてみたいと思います。)

そして、先ほどの2点。なぜ今なのか。なぜ急ぐのかについて調べても出てきませんし、考えもつきません。考えつくのはこの内閣ではこれまでこのような事が去った後に「真摯に説明していく」と毎回言うこと。そしてその真摯な説明を行っていないこと。これにより信頼ができていないのです。

今回の国家公務員法改正についても、同じように強行採決した後に「混乱を生じさせた責任を痛感している。国民に対し真摯に説明していく。」とこれまで同じことが繰り返されるのでしょうか。そして同じことを繰り返す政治家を選んでいるのは我々国民であることはなんとも皮肉なことです・・・。

権力を持っているものはその権力の行使には道徳心をもってあたらねばなりません。それをしないと権力の乱用となってしまいます。

この国難といわれる世の中だからこそ、丁寧な政治を心がけて欲しいと思います。

#国家公務員法改正


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