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キャッシュレス決済が普及しない本当の理由を考えてみた

私は以前、電子マネーについて、下記の記事を書きました。

クレジットカードや電子マネーによる、キャッシュレス決済が進むにつれて、人件費の削減や販売機会の損失を減らせるなどの効果が期待出来ます。

しかし、少しずつキャッシュレス決済が普及しているとは言えども、実際には都内でも未だに現金のみのお店は多々あります。

それは、平成も終わろうとしていた4月の出来事でした。私は全国チェーンの喫茶店のカフェ・ド・クリエでコーヒーを飲もうと店内に入りました。

コーヒーを注文し、店員に利用出来る電子マネーやクレジットカードを確認しました。すると、回答はまさかの現金のみでした。

そもそも、何故現金のみなのか?

意外と知らない人もいますが、クレジットカードや電子マネーを利用すると、加盟店(クレジットカード会社や電子マネーを管理する会社と提携しているお店)手数料というモノがお店側に発生します。

加盟店手数料について、クレジットカードを例にすると、コンビニでは販売額の1%程度、小売店では3~4%程度、飲食店では5%~など、お店の種類によって手数料の額は異なります。これは、現金回収リスクが高いお店程、手数料が高く設定されています。

コンビニでは基本的には少額決済が多く、クレジットカード会社の現金回収リスクが低いので、加盟店手数料が低く設定されておりますが、飲食店、特にお酒を提供するようなお店の場合、お酒に酔った客が勢いで支払い能力以上の決済をしてしまった場合、クレジットカード会社が現金を回収出来ないリスクがあるため、加盟店手数料が高く設定される場合が多いです。

加盟店手数料が高くなるということは、ギリギリの低価格で商品を提供することが難しくなるという弊害が生まれます。小さな個人経営の食堂などが、クレジットカード決済を導入出来ない理由の大半はコレだと思います。

そして、そもそも、何故そんなにギリギリの価格で勝負しなければならないのか? という疑問に行き着きました。

それは、日本国民の年収中央値が昔に比べて大幅に下がっているためです。私は、消費者側、販売者側それぞれの意識が負のスパイラルを生んでいると考えています。

消費者の意識

消費者側の意識はとてもシンプルです。給料が少ないということは、なるべく1円でも安いモノを買おうという意識が働きます。

給料が少ない ⇒ 安いモノしか買えない ⇒ なるべく安いモノ探す

という風になります。

販売者(生産者)の意識

販売者も同じように、安いモノしか売れなくなると自然と価格を下げなければならないです。また、販売者の場合は原材料の高騰などの影響も受けるので、利益が出るギリギリの価格で勝負しなければなりません。

本来であれば、原材料の価値が上がるのであれば、商品の価格も上げたいところですが、大半の消費者の懐が寂しいため、安いモノを買いたいという意識が働いてしまい、加盟店手数料を支払う余裕が無く、低価格で提供せざるを得ないのです。

モノが売れない負のループ

現在、日本は人口が減り続けています。また、高齢化社会がやってこようとしています。そして、日本の全国民の個人金融資産の7割弱は65歳以上の高齢者が保有しているといわれています。

参考)総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)平成29年(2017年)http://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/h29_gai.pdf

そして、モノを買いたい・必要と思う消費者の大半は現役の世代なのですが、先立つモノが無いがため、消費に至らないという現象が生じていると思われます。

そもそも人口が減ったり、景気が悪くなっているのは何故か? 私はこうではないかと推測しています。

給料が少ない ⇒ 結婚が難しい or 子育ては難しい ⇒ 人口が減る ⇒ 消費者が減る ⇒ モノが売れない ⇒ 給料が払えない ⇒ 給料が少ない

という負のループが続いているため、いつまで経っても個人消費も増えないのです。

お金が先か、子供が先か。

キャッシュレス決済が普及しないとどうなるのか

話は戻り、キャッシュレス決済が普及しなかった未来のことを考えてみます。

日本の人口は減り、消費者の中心となる若者が殆どいなくなります。

そうなると、国外だけではなく、海外からの旅行者に目を向ける必要が出てきます。

海外では、国によってはキャッシュレス決済が当たり前となっていることが多いです。中国、韓国は早い段階から国を中心にキャッシュレス決済に取り組んできました。アメリカはクレジットカードの発祥の地ということもあり、キャッシュレス決済が常識レベルで根付いています。

しかし、日本では現金しか使えないお店が数多くあります。特に地方の観光地だと使えないことが大半です。

となると、外国人観光客も地域になかなかお金を落としてくれないという事態になりかねません。客がいない商売ほど、無意味な商売はありません。

一人ひとりの所得を増やさない限り、キャッシュレス決済の実現は難しいと思うのが、私の考えです。


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