Vol78. 自分をひとつ上のステータスに昇華・正当化させてくれる "道具"

進化が止まらない!フォースウェーブコーヒーって何だ!?
という挑発的なタイトルの記事があり、さすがにそれはないだろうと思いながらも見てしまった。悔しい。
https://mainichi.jp/sunday/articles/20180205/org/00m/100/044000d

ファーストウェーブ→コーヒーの生産・流通・加工技術が確立され、安価な大量生産のコーヒーが世界中に普及した時代。

セカンドウェーブ→1990年代に、「スターバックスコーヒー」をはじめ、香ばしさと苦みを強く出した深煎りコーヒーをミルクやクリームとともに味わう“シアトル系コーヒー”が支持されるようになり、カフェラテやエスプレッソなど、多様な飲み方が広まった時代。

サードウェーブ→2010年代に、中煎り・浅煎りで、果実のような香りや酸味など、豆本来の持ち味を引き出す志向が強まった時代。

フォースウェーブ→特定の豆や飲み方などを指すわけではない。選択肢が無数に増えた中で、企業や店が提供する味やスタイルをただ“選ぶ”のでなく、人それぞれの尺度で「こういうコーヒーが飲みたい」と主体的に追求していく時代。

だそう。
そういった中で、バリスタが提供する価値は、「お客様がどんなコーヒーを飲みたいか、時には顔色や態度から見いだしていかなければいけないことも。こうした文化がある場所、つまりマスターと客の間にコミュニケーションのある、昔ながらの喫茶店が、今後重要な役割を果たすかもしれません」だそう。

また、それに合う形で、上質な一杯を自宅で楽しむための“コーヒー家電”も進化を遂げている。
焙煎機『ザ・ロースト』(パナソニック)は、ユーザーに頒布される生豆に対応し、プロ焙煎士による焙煎プログラムがスマホに送られるので、ベストな焙煎ができる。
他にも、60度から96度まで1度単位で湯温を調節できる電気湯沸かし器『V60温度調整付きパワーケトル・ヴォーノ』(ハリオ)といった製品もある。

そんな商品を使って、自分だけの一杯を淹(い)れるとは、いれ方や工程などのパーソナライズ化(個人ノウハウ化)と同意なのではと感じた。

さらに、記事には、自分だけの一杯を淹(い)れるとはの例として以下があった。
(1)新鮮な豆を使う 豆にも鮮度がある。普段は冷凍し、使う分だけ取り出す。
(2)豆を計量する 味のブレを抑えるため、毎回計量する。丸山珈琲では1杯分を17グラムの豆で淹れている。
(3)湯は2度に分けて注ぐ 挽いた豆に湯が触れると炭酸ガスが出て湯と混ざりにくくなる。初めに少し注いでガスを抜き、その後残りを注ぐ。湯は基本的に、中・浅煎りは沸騰したものでいいが、深煎りは90度前後で淹れると苦みを抑えられる。
(4)抽出時間は正確に (2)と同様。丸山珈琲ではフレンチプレス(右ページ下の写真手前の器具)での抽出時間を4分と設定している。

いれ方の"遊び"が味という成果物の質に影響を与えていく。そしてそんな遊び心や"上質"で理想のコーヒーを追い求める気持ちを邪魔しないどころか、むしろそれが自分をひとつ上のステータスに昇華・正当化させてくれる "道具" が求められているのだろうか。

自分も含めた一般消費者の根源的な欲求は、クラウドファンディングで支援が集まるプロジェクトの傾向と相違ないなぁとも感じた。

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