見出し画像

6.散文詩 ≪孫の笑み≫

#幸せエッセイ
もうすぐ一歳になる志穂に会いに行った、
正確には、
娘の用事の間、孫のおもりをするためにバアバが呼ばれて、
ついでにジイジもついていっただけなのだが。
 
志穂はやっとつかまり立ちをするくらいになった、
ほんの半年前には、ジイジの顔を見ると半泣きになった、
今は、慣れたのか、ジイジの顔を見ても泣かない、
 
ジイジは嬉しくてしようがない、
抱っこをしようと両手を差し出した、
 
志穂は、見るでもなく、見ないでもなく、じっとなすがままにされていた。
そして、そのあと、
顔をジイジの正面に向けて、
ジーッと、ジイジを見た、
一秒、二秒、
そして、
ニコッとした。
 
ジイジは飛び上がらんばっかりに嬉しくなった、
抱きしめる手に思わず力が入った。
 
自分ではポーカーフェイスのつもりだったが、
内心は嬉しくてしょうがなかった。
 
そして、しばらくすると、志穂は、
目についたおもちゃを取りたくて、腕の中でウズウズしていた、
そっと、床に置いてやった。
トコトコと、這って行った。
 
そして、ジイジを振り返り、
また、ニコッとした。
イヤ、事実はこっちを見ただけかもしれなかった、
えもいわれぬ空気がジイジの心に入り込んだ。
 
孫の、たったこれだけの挙動で、
ひとときではあれ、
別世界の空気で満たされるとは、
この年になるまで無かった、
ような。
 
帰り際、
志穂に、バイバイと手を振った、
意味が分からなかったようだが、
真似をして、
バイバイと(言わないが)
手を振ってくれた。
興奮の一日だった。
 
幸せ詩集 『やさしい人』 著:中村とうご より
 
 
**************************
 
 
幸せは、日常のそこここにあるのかもしれない、
自分では気づかない小さなイベントの中に、
時には心躍る、得体のしれない素晴らしい、
贈り物が散らばっているような気がする。
 
人は、それを見落としている、
気にしていないだけかもしれない。
 
でもまぁ、そんなことはさておき、
 
孫は、どうしてこんなに可愛いのだろう、
この地球上に、
こんなに可愛くて、愛おしいものが、
ほかにあるだろうか、
小さな孫に感謝。
折角の二度と無い人生、仲良く楽しく幸せに生きましょう(H/P 書窓けやき通り)
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?