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忘れられないお医者さん

こんにちは、Frankです。

今日はお医者さんの心配りに感動したお話をさせていただきます。

あれは確か家の娘が幼稚園児のときだったと思います。ある晩、高熱を出し呼吸も困難な状態になったので、私は深夜娘を車に乗せ、最寄りの救命救急センター(ER)に連れていきました。

救急車来院ではなく独歩来院のかたちをとったのは、私自身が居ても立っても居られずハンドルを握ったのと、娘が救急車を見てショックを受けるのではと心配したからに他ありません。

状況によっては病院の受け入れ先をも考慮し、救急車の方が安心だという考え方もあるでしょうが、何故か私はそのとき、自分で連れて行くことを選択したのでした。

診察してくれたのは三十半ば過ぎのお医者さん。優しい口調で娘に語り掛け、瞳孔や咽喉の奥を診たり聴診器をあてたりしました。

暫くして、先生がこう言いました。 「お父さん、心配ないですよ。只、念のため、明日、当病院の小児科でもう一度診てもらってください」

私は彼の言葉を聞いて安心したと同時に、注射を打たれたわけでもないのに娘の血色が良くなっていることに驚きました。

翌日、娘を病院に連れていくと、小児科の先生が一枚のメモ用紙を見ながら娘に語り掛けました。 「〇〇ちゃんですね。一晩、よく頑張ったね」

気になった私は「先生、そのメモ用紙は?」と尋ねると、目の前の女医さんがこう答えてくれました。

「きのうの晩、救命救急センターに行かれましたよね。その先生が、今日の診察のために残してくれたメモです」

女医さん曰く、そのメモには私がERに入ってきた時間や状況、娘の症状などが事細かに書かれあり、末尾に翌日診察する先生に「宜しくお願いします」とまで記してあると。

女医さんはニコニコしながらこう言葉を足してくれました。 「お父さん。(救命救急センターで診てくれた)先生は優しくて、みんなから好かれている、超人気の先生なんです」

診察後、薬をもらい、娘の手を引きながら病院の出口へ向かっていたところ、背後から「お父さん!」という声が聞こえました。昨晩のERの先生でした。

「〇〇ちゃん、元気になって良かったね」「お父さん、ご心配なく」

私は「メモ用紙のご配慮に感謝します」と先生にお礼を言ったところ「お父さん、医者として当たり前のことです」という返事が返ってきました。

私は目頭が熱くなると同時に、先生に深々と頭を下げました。

――医者として当たり前。

でもこの当たり前が中々できないのがこの世の中。

こんな素敵な先生と出会えたこの思い出は、今も私の心の中で宝物として輝き続けています。

【出典】実践医薬の達人:https://frankyoshida.com/experts-at-medicine/?p=445

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