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Francis “Bolero”について語ります。M2「反撥」

トニー・マンスフィールド。我々はよく彼を「トニマン」なんて呼んだりしますが、そのトニマンはひと時代のブームを作ったと言っても過言じゃないほどのヒットメーカーでした。アズテック・カメラの“walk out to winter”の過剰なまでのアレンジ。イントロのシンセで「あぁ、トニマンだ!」と納得してしまうほどの説得力

あのキャプテン・センシブル、ソロアルバムのプロデュースではミュージカル「南太平洋」の「ハッピー・トーク」を見事にチープなシンセサウンドで蘇らせ、我が敬愛してやまないトット・テイラーが主宰するコンパクト・オーガニゼイションの看板スター、オールディーズスタイルな歌姫マリ・ウィルソンをモダンアレンジにして全英で大ヒットさせ、

その後もネイキッド・アイズなど次から次へとヒットチューンを連発させたプロデューサーとして有名なのですが、そんなトニマンがやっていたバンド「ニュー・ミュージック」。

あの時代だからなのか、ジャケットの帯コメントを糸井重里が書いていたような記憶もある80年リリースの1stアルバム “From A to B”のインパクトは、当時高校生だった私にもズッキュンときて大好きになった。シンセの使い方からメロディの切なさ、そして同時期活躍してたバグルスと同じくハイトーンなボーカルがさらにグッとくる。そんなニュー・ミュージックのような疾走感のあるサウンドをシンセリフで作ってみようと、気持ちのいいサウンドと和音を探し続け見つけたのがこのイントロのフレーズ。ここにプリンスのロックナンバーにあるような特有のブラックミュージック的なテイストを加味。そしてサビにはアウトキャスト(と言うと日本のGSバンドを思い出す方もいるかもしれませんがw、ここでは米アトランタのヒップホップユニットの方)の“Hey Ya!”のように、

ラッパーが70年代ヒッピー的なセンスで作ったようなムードを持たせて開放的な雰囲気に仕上げたのがこの「反撥」。
必然的にエンディングにはプリンスよろしくトリッキーなギターソロでということで閃き、すぐに松江潤くんにオファー。二つ返事で了解してくれてすぐにご機嫌なソロを2テイクも送ってくれた。どっちも捨てがたいのでいいところを繋いで作ってしまいましたのがこのソロ。そしてトラックを骨太にブラッシュアップすべく、尊敬するサウンドエンジニア、イリシット・ツボイくんにミックスをお願いしたらばまさに求めていたのはこの感じ、きめ細やかな処理によりシンプルながら最高なサウンドに仕上げてくれました。   

「反撥」といえばカトリーヌ・ドヌーブ主演のロマン・ポランスキー監督によるサイコホラー映画(1965年)だが、この曲に関してはそれと関係があるような、けして無くもないような、、

求める愛と受け止める愛、そして何故だか反撥を繰り返してしまう心は、けして誰の目にも見えないのにまぎれもなくその存在が見え隠れする。

なんとこの「反撥」、7inchシングルとして12/22にリリースが決定しました!

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Title:反撥 / 可愛い玩具
Label:Unchantable Records
定価:1,800円+税
発売日:2021年12月22日(水)

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