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Francis “Bolero”について語ります。M3「マチルダ」

スタイリッシュに攻撃的だったり疾走感があったり、でもふざけてたりダンサブルだったりする楽曲が多いFrancisですが、ここはひとつミドルテンポでポップなやつを作りたいと試行錯誤する中、音と戯れているとなんとなく心地のいいシンセ音と出会ったのでリフをあれこれ試してみて、これがカッコいい!と落ち着いたループのフレーズがこの曲のイントロ。自分の中ではゲイリー・ニューマンがもうちょいハイブリットでビッグバンドのフィルターを通したようなイメージ。

作りながら漠然と「マチルダ」という見ず知らずの女性の名前が浮かび、外国の女性とはおつきあいした経験はないものの、せっかくならFrancis的未練たっぷりの情けない男の唄にしたら面白いんじゃないかと全体のイメージをふくらませてみる。ただ終始情けないのもいささかユーモアに欠けるということで、リピートするサビではピエール・バルーにオマージュを捧げ、ポルトガル語の“SARAVAH”(あなたに神の祝福がありますように)を用いて、どうにも解決しない自分の心と向き合い、もう過去のことになってしまった彼女への恋心と未練を肯定することで供養しようとしてみたらどうかと。そこでそんなパーソナルな祝祭感を表現するため、1stアルバムの94年頃からずっとしたためていたアコギでメランコリックに歌うような優しいメロディーを、あえてコリー・デイや彼女のいたDr. Buzzard's Savannah Bandのようなハッピーでゴージャスな雰囲気のアレンジに変えてみることに無謀にもチャレンジ。

※これなんとダイナ・ショアとショーン・コネリーが司会の番組!!!!

結果、ドラムとベース、ブラスセクションの音像のバランスにほぼ1年以上かかるほど困難を極めたミックス作業になってしまったのだけど、最終的になかなか面白いアンサンブルになったのではないかとは思っています。今回マスタリングをお願いした佐藤清喜さんにも相談したりと色々大変な作業でしたね。

そしてせっかくなら煩悩を昇華させようと覚悟を決めている主人公と、まさにその当事者であるマチルダがデュエットしたらブラックユーモアになるんじゃないかと思い、最近ライブでもお手伝いしてもらっているLilyに参加してもらいました。

さて、Aメロと全く世界の違うサビを上手くつなげるにはどうしたらいいのか?ここはポップで軽妙にしたかったので、例えて言うならベタですがドゥービー・ブラザーズのこの大ヒット曲のような軽快さをイメージし、Bメロを追加して作曲。自分でもなかなか上手い具合のバランスで全体をまとめることに成功できたと思ってオリます。

とにかくこのアルバムの中で一番完成までに時間のかかった楽曲で、極めて難産。でもそれ故にとても愛着のある一曲に仕上がりました。

これ書いてる間に調べてたまたま知ったのだけど、アップしたサバンナバンド以外の3曲、みんな揃いも揃って1979年の曲!オリ、14歳!
これはけして偶然ではないな。

Francisニューアルバム“Bolero”
絶賛発売中!!!


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