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Francisニューアルバム“Bolero”リリースを記念して皆さまからいただいた素敵なコメント後編です!

“怪盗紳士”現る!
いつも神出鬼没で、どこか謎めいた怪しい気配を感じたら、そこに彼、がいた、ということが何度もあったけど、彼の頭の中にはこんなめくるめく極彩色のマジカルで豪勢な異空間が広がっていたんですね。
世紀末が続いているようなスリルと刺激に溢れ、甘く危険で刹那な匂いが立ちこめるここは、どこ?
たぶん、桃源郷です。

Sano kyoko(Do The Monkey)



オリさん!本当に凄いの作りましたね!
神出鬼没、オリさんとは30年くらい前から都内の夜中のどこかしらで遭遇し続けてきた。ある夜、ふと目にしたFrancisのライブは衝撃だった。ベーシストとしても何度かセッションした事があったので、その時のオリさんとのギャップにクラクラしてしまった憶えがある。2度目に観たFrancisのライブ後にはファンになっていた。いやフリークか。つまりFrancisのあのクセがある魅力にやられてしまったのです。
オリさんの長い音楽活動の中で今が一番カッコイイのではないでしょうか?それって本当に凄いことです!リスペクト!

松田”チャーベ”岳二 (LEARNERS/Neil&Iraiza)



かつて、80年代に、ナゴムレコードでもソノシートをリリースした、あのピッキー・ピクニックの、あの飛鳥優司氏が、何十年だかの時を超えて、こんなダンディなテクノで目の前に現れた。
小里誠という名で。
途中の経歴とかは知らなかった。コレクターズのCDは沢山持ってるのになぁ。
とにかく今が大事。ブラボーなアルバムです。よろしくお願い。

ケラリーノ・サンドロヴィッチ



今この瞬間のポップスというのは、過去とこれからの間の中にあるモノなのかもしれない。
Francisの27年ぶりの新作を聴いてそう思ったりした。どこか懐かしく感じるようなフレーズやサウンドもあり、どこか歪でファニーな要素を含み、そしてそれが丁寧にポップスとしてまとめられている。膨大な時間の中、熟考を重ねた密度の濃い作品だと思う。

Koji Nakamura/ナカコー



この男女平等、恋愛回避時代にひとり、文化系男のエロティックロマンチズムを追求する男、フランシスこと小里誠がとうとうその本領発揮。ゴダール、セルジュ・ゲーンズブール、吉行淳之介、佐藤慶、ボブ・ウェルチの系譜が、テクノビートとアシッドな抒情に炸裂。言うなれば、スピードと太陽と月とアブサン系。もの凄くカッコいい。

湯山玲子



ギラギラしたアダルトじゃない!キラキラした中年デズニーランドにドン萌え!一曲目のD.A.F.節から最後までブツ飛ばされましたよ!もう!

中原昌也



イタロディスコなんかにある、ちょっと過剰に出てしまったエキス感。あれって意外とクセになるんです。
francisを聴いて、そういうものを感じました。
今までの一般的な感性からはこぼれ落ちていくような音楽が必要な時代でしょう。
薬か毒かと問われたら後者だとは思いますが、そちらにお金を払う世界こそが実はユートピアだったりして。

曽我部恵一



 むかし、じぶんのよく知っている女性のところに、深夜、というか、明け方近く、小里誠さんからファックスで手紙が届き、それが壮絶な内容だった、と聞かされたことがありました。「モウダメダ、ボクハ死ヌ」。どうやらその手紙はまったくべつな女性との恋愛に苦しんだものだったらしく、それをぼくのよく知る女性のもとに送ったのは、相談したかったのか、あるいは単なる誤送信だったのか、もちろんぼくには知る由もありませんが、とにかくそれまでレッド・カーテンやオリジナル・ラヴ、あるいはザ・コレクターズのメンバーとして認識していたセンスの良い紳士、というイメージとはべつの顔を持つ人なのか、と知ったのはそのときでした。
 そんな小里誠さん。『FRANCIS』、聴かせていただきました。ジャケット・デザインがパッと見で苦手だったのと、このひと月メチャメチャに忙しかったこともあって、ずっと聴けないままで、ところがその間、2度3度とコメントの催促をされて、うーん、困ったな、と思っていたのですが、ようやく聴いてみて腑に落ちました。コレはどうしても聴かせたい音楽だったのだな、と理解できました。素晴らしい。
 音楽を仕事にしている人の中には、つねに音楽の好みをアップデイトしなくてはいけない、と考えている人もいるようですが、10代の頃に聴いて「完全に打ちのめされてしまった」タイプの音楽を、いつまでもじぶんの中で大切にしている人もいて、そういう音楽家の方がカッコいい、という考え方もある訳で、オリくんは完全にそっちの人なんだな、と思いました。ロックンローラーにして永遠のティーネイジャー、なんですね。
 そのサウンドは、もう見事なまでにエイティーズ。ニュー・ウェイヴ要素。フレンチ要素。ドイッチェ要素。エレポップ要素。ディスコ要素。デイヴィッド・シルヴィアン要素。ボウイ要素。ニューロマ要素。サウンド・プロダクションはもう完璧。1980年代当時だったら、一流ミュージシャンしか出せなかった音と記号をふんだんに散りばめて、見事にチープ、かつ見事にゴージャスな音楽のレプリカを作っている。曲順と、メインのヴォーカルの音像処理に関してはいくつか、やや疑問を抱いてしまうところがあったのですが、逆にそれはコチラの理解度、エイティーズやセヴンティーズのロック音楽に対しての造詣の足りなさに起因する不満だったかもしれません。その中でベースライン、そしてベースプレイだけは全部がパーフェクトに聴こえたのがまたオカシくて。
 とはいえ、そういう音楽にオリくんほど深い知識と愛情を持ち合わせないぼくのような人間でも、このアルバムを大いに楽しむことができました。2曲めの「きみとフローリング」?「髪と不老林」?というフレーズを持つ曲から耳を奪われっ放し。「サロン・ミュージック」とか「浜田PARISさん」とか「ロバート・ウィリアムズ」とか、ここ30年以上も忘れていた単語をとつぜん思い出したり。
 とにかくオリくんという人の中にある「こういう音楽」を一度カタチにして外に出さないと次に進めなかったんだ、ということが分かり過ぎるくらい分かるアルバム。むかしじぶんがやっていたバンドで言いますと『カップルズ』と『ベリッシマ』と『女性上位時代』を合わせたような。そしてコレはムッシュかまやつさん、今野雄二さん、加藤和彦さん、川勝正幸さん、内田裕也さん、ECDさんなんかに届けるべきだった「遅すぎたアルバム」なのだと思いました。
 そしてこの『BOLERO』という作品は、まさしく真夜中に恋の苦悩を叫ぶレターを誤送信してしまうようなロマンティックな大莫迦野郎のイメージとぴったり重なり合うもので、見事というほかない名盤。ぜひとも届くべき人のもとに届いてほしい音楽でした。ありがとうございます。

小西康陽

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