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Francis“Bolero”について語ります。M12「デラウェア」

高校生の頃、当時チャクラを好きになったのをきっかけにしてVoの小川美潮さんも参加するWa-Ha-haというsax坂田明さん、piano千野秀一さん、perc仙波清彦さんらが中心となって結成されたかなりユニークな音楽を奏でるユニットに興味を持ちライブにも通っていました。

※ちなみにこの日のegg-man会場にもオリはいます

ある日、深夜のFM番組に仙波さんがゲスト出演していてご自身のお気に入りの曲をかける際、「このアルバム、もちろん中身も素晴らしいのですが、何よりこのジャケットが凄い!子供が道を持ってるなんて他にありますか!?道(ミチ)ですよ!」とえらく力説していた。そしてその後に流れた楽曲のなんと素晴らしいこと。今まで聞いたことのないような旋律とハーモニー。美しい声。こんな素敵な音楽を奏でながらも子供が道を持っているジャケット?果たしてそれは具体的にいったいどんなジャケなんだろうと思い巡らせながら、まだまだネットの無い時代、それを確認する術もなくただ想像を繰り広げるだけの日々を過ごしていました。
年月を経て大学生の頃には輸入盤でヨーロッパやラテンのアーティストもやや探しやすくなってきて、たまたまブラジルのアーティストを物色していたところ「あっ!これだ!本当に道を持ってる!」と心の中で驚愕しながらも数年越しで手に入れたのがミルトン・ナシメント「アニマ」でした。

これをきっかけにブラジルの音楽にどんどん傾倒していきます。

一方で元DNA、ラウンジ・リザーズのアート・リンゼイのソロアルバムに魅了され、彼が新たに組んだユニット“Ambitious Lovers”にも感銘を受け

その流れでアートがプロデュースしているカエターノ・ヴェローソに夢中になっていくのです。


そしてカエターノの旧作を聴きあさればあさるほど、デヴィッド・バーンが初期のトーキング・ヘッズでやりたかったアンサンブルの一部のルーツがここにあったりすることを察知し、その後バーン自身がブラジルのアーティストをリリースするレーベルを作るに至る必然性をもって私が志向していたものが同一線上に並んでいったのです。
特に彼のレーベルからリリースされたこのトム・ゼーの楽曲などは、当時のどんなオルタナティブな西洋の音楽よりもはるかにオルタナティブな独自性に溢れ、衝撃をうけました。

そもそもFrancisは以前にも書いたようにStereoloveの出現をきっかけにボーダーレスに始めたプロジェクトでしたが、唯一自分が影響受けたものの中でもブラジル音楽から受けた影響をストレートに表現したものはまだありませんでした。なので、活動を再開するにあたり当時から書き溜めていたこの楽曲こそ一番具現化させたかったというのもあり、2014年にライブを再開させるタイミングからすぐに音源を制作しライブパフォーマンスしていました。

これは自分にとっても自信のある楽曲であるとはいえ、作品化するにあたりとりあえず作ったトラックよりもさらにゴージャスにアレンジするにはどうしたらいいのか。そんな願望を拭いきれず、今回のアルバムを制作するタイミングでふと思い出したのが、コレクターズのストリングスアレンジや、ベーシストとして参加した篠原ともえさんのアルバムのプロデューサーとしてもお世話になった長谷川智樹さんのこと。その後もドレスコースのアレンジなどでも活躍されているのは存じ上げてましたが、近年Facebookで再会はしてはいたものの数十年お会いする機会はありませんでした。
そんな中、せめてアドバイスだけでもいただけたらとお忙しい中わざわざ時間を作っていただき喫茶店で久々の再会。積もる話もありながら、前もってお送りしていたこの楽曲にとてもシンパシーを感じてくださり、ぜひとも今回のレコーディングに協力したいといっていただけた時は感激で胸がいっぱいに。ただ残念ながら自分の究極の願望としてイメージしていた全編生楽器でというわけには予算的にもさすがにいかず、基本的には自分が打ち込んだアレンジをリアレンジする方向で作業を進めていただくことになりました。とはいえ、せめてウッドベースだけでも生でと、以前から顔馴染みながら個人的にとてもリスペクトしているキリンジなどでも活躍中の千ヶ崎学くんにお願いしました。もちろんプレイはバッチリ!そして最終的に長谷川さんから届いたアレンジを聴かせていただいた瞬間にガッツポーズをしたオリでした。

蛇足になりますが、80年代にピッキーピクニックのレコーディングでサウンドプロデューサーを務めてくださった、当時戸川純さんのヤプーズなどで活躍してた吉川洋一郎さんが所属していたイメージボックスという事務所に同時期長谷川さんも所属していて、その事務所に行くとホンモノのフェアライトがあったりして、宅録小僧は心臓がバクバクすれほどときめいていたというのもなかなかいい思い出。
近年Francisとして対バンさせていただいたサエキけんぞうさん率いるジョリッツでドラムを叩く泉水さんと、当時ヤプーズで一緒だった吉川さんの話などが出来たのも非常に因果を感じてやまない今日この頃であります。

こんな経緯で素晴らしいカタチで「デラウェア」が完成しました。

Francis“Bolero” 引き続き絶賛発売中です。

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