ホテルビュッフェと幼児~逆ギレ見聞録

 久しぶりに、9月の平日に休みが取れたので、妻と札幌市内の某ホテルでランチすることにした。以前から、年に何度か利用していたところだ。

 新型コロナウイルスの影響で、今年はビュッフェ方式のところを軒並み避けていた。実は、今回行ったところは、そのビュッフェ方式のところだった。普段から、激混みにならないところだし、子どもはあまり行かない店だし、再開した様子はどんなだろうか、と確認してみたかったのもあった。よって、その日が、2020年で初めてのビュッフェランチとなった。

 さて、予約していた時間通りに会場に着くと、先客がそれなりにいた。少し目立っていたのが、小さい子ども連れの4人の女性グループだった。これが後で問題となるとは、その時思いもしなかった。

 ビュッフェ自体は、おいしくいただくことができた。(以前より品数が少なくなっているようなのはともかくとして・・・)

 先ほど取り上げた、小さい子どもがいる女性グループと、私どもの席はかなり離れていた。それは良かったと思う。

 私自身は、席で子どもが多少騒ぐとも、あまり気にすることはない。子どもだから、仕方ない、とも思うほうだ。しかし・・・

 そのグループの小さい女の子は、たぶん1~3才ぐらいだったと思われる。その子が、お母さん(と思ったが、実は違うことは後でわかった。)と一緒に、ビュッフェのところに来て、大きな声で騒いでいた。もちろん、マスクなんてつけていない。そもそも、盛り付ける訳でもない。

 たぶん、去年までなら、「仕方ないなぁ・・・」で済ませていたところであろう。しかし、今年はもう違う。幼児だから大丈夫、で済ませられない。

 あるニュースによると、「幼児は他の年齢の10~100倍のウイルスを排出している」(日経グッデイ2020年8月12日 大西淳子=医学ジャーナリスト)とのこと。幼児だって実は要注意なのだ。

 そのホテルのビュッフェでのルールは、「ビュッフェ内では、マスクと使い捨て手袋着用」となっていた。ホテルの接客担当の方が、店に入ってすぐ、そう説明しているし、ビュッフェの前でも張り紙がしてあった。

 その子が何度も来ては、ウロウロして、ビュッフェ内で騒いでいるので、私の妻がついに、ホテル従業員へ訴えた。「幼児がマスクもせずビュッフェでウロウロするのは良くないのでは?」すると、ホテル従業員はすぐさま、その保護者(※後で違うとわかるが、その時点では、保護者だと思っていた)に伝えた。すぐさま、その親子(何度も言うが、実は違った)は反論した。「5歳以下はマスク着けなくていいはずですよ。」とはいえ、一旦彼らは自分たちの席に戻った。その席から、結構大きな声が聞こえた。「小さい子もマスク着けろだってさ~」

 私は、小さい子がふらふら立ち歩きたくなるのもわかるが、一方では、まともな親、というより大人なら、このご時世、マスクもなしで大声をあげるのはよくないし、ましてや食品のところで、そういうのを許すのはおかしいということは常識問題だと思っていた。しかし、そう考えない親もいることに今回気づかされた。

 もし、その親子が、グループではなく、親一人幼子一人だけ、というなら、もう少し事情が違っていたかもしれない。しかし、大の大人が合わせて4人もいたのだし、誰かに子どもを預かってもらればよかったのではないかと考える。

 先へ進めよう。これで終わりかな、と思っていたところだったが、まだ続きがあった。ホテル従業員の方が私どものテーブルに来て、対応を説明してくれた。その後、その従業員の方は、注意を受けたテーブルの方へも行き、何か説明していたようだった。

 すると、先ほどビュッフェを子どもとうろついていたのではない女性が、その子を抱えて、「じゃあ、出ていけってことですね!」と従業員に捨て台詞を吐いて、店から出て行った。

 そのグループの残された3人は、しばらくそのテーブルで食べていたが、10分ぐらいしてから、店を出て、グループとして、別室に通されたようであった。従業員の方が、ビュッフェからいろいろ皿に盛りつけて、別室に運んでいたのを見た。

 私どもがガマンしていれば、もしかすると良かったのかもしれない。しかし、ガマンした結果、もし感染したとして、その親子やホテルは責任を取ってくれるのか。たぶんというか、まずありえない。結局、自己防衛するしかないのだ。

 しかし、その親子が逆ギレするような状況を作ってしまったことは、せっかくの楽しい会食をとても苦いものにしてしまった。ある程度は既に食べていたが、すごく不快な気持ちに私どもまでなってしまい、それ以上食べる気にはなれなかった。外食でこんな不快な気持ちになるのはかなり久しぶりだ。 

 店を出てからも、「本当はどうすればよかったのか・・・」と私どもはお互い、色々話し合った。少なくとも、私は、妻が事実を指摘し、従業員の方に注意してもらったのは、正しいことだと考える。これは変わりない。

 そもそも論として、「このご時世にビュッフェなんて行くなよ。」というのもあるが、これは今考えない。

 大まかに言えば、私どもができたのは、「ガマンする、見て見ぬふりをする」と、「注意してもらう」このどちらかしかない。

 一方、注意を受けて逆ギレした親子のグループにも、いくつか選択肢があったはずである。

1:子どもにマスクか、口を覆うものをつけさせる。(たぶんこれは無理か無意味だったかもしれない。)

2:子どもを4人のうち誰かが預かり、ビュッフェのところには行かせない。(これが現実的にベターな解決策)

3:開き直る。幼児にマスクは無用論を展開する。

4:そもそもビュッフェに幼児を連れていかない。(ここまでは私どもも考えていない。)

 私どもは、小さい子どもが邪魔だとか、そんなことは微塵も思っていない。ただ、ルールとマナーを守ってほしい、お互いに不愉快な思いをしたくない、衛生上リスクを避けたい、ただそれだけだった。

 私としては、その逆ギレして出て行った母親よりも、そのお友達(?もしかすると姉妹か親戚かもしれないが・・・)グループの方に腹が立った。周りの大人が諫めないでどうするの?!結局、注意した私どもが悪者扱いされた感じになってしまったのは、とても残念だった。しばらく不快な感情に悩まされた。だからこそ、今、その感情の整理と浄化のために、この文章を書いている。いずれにせよ、しばらくはビュッフェ方式の店には行かないようにしたい。

 「お客様は神様です」という言葉、私は大嫌いだ。カネを払ったのだから、何をしてもいい、という傲慢さは、嫌悪すべきものだ。お互い、気持ちよく過ごすために、マナーやルールは存在する。

 

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