20241019 Poker TDAルール2024年版変更点
ごあいさつ
Shuffle Up and Deal, れくです。
今回はポーカーTDAルール2022→2024年版における変更点の和訳をお送りします。
変更点は太字で表記します。
みなさまが競技規則集を読んで理解するための手助けに少しでもなれたらいいなと思い、本記事を公開しております。
理解をより深めたい方は、原文をお読みになることを強く推奨します。
ライセンス、免責および注意事項
※必ずお読みください
TDA rules used by permission of the Poker TDA, Copyright 2024, http://www.pokertda.com, All rights reserved.
Poker TDA 2024 Rules Version 1.0の著作権は米国Poker Tournament Directors Association(以下、Poker TDA)が保有しています。
Poker TDAの許諾により、本文書を公開しております。
翻訳に関する二次的著作権は筆者およびPoker TDAが留保します。
本文書内容の正確性は保証されません。
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営利店舗や興行における参照や配布、従業員研修での利用なども商用利用に含まれます。
ルール変更
人称代名詞の変更について
2022年版では "he or she", "his or her" と表記されていた代名詞は、それぞれ "they", "their" に変更されました。代名詞のみの変更が行われた条文は、本文の記載を割愛します。
下記の条文が対象となります。
第7条 無作為で正確な着席
第12条 宣言およびショーダウンにおけるカードスピーク
第15条 不規律的なショーダウンおよびカード破棄
第16条 オールイン時の手札開示
第29条 クロック要求
第46条 撤回されていない以前のベットチップ
第4条 プレイヤーの同定
プレイヤーは常時、明確に個人として識別可能な状態でいなければならない。サングラスや頭巾など、他の参加者に対し個人識別の妨げや困惑につながる場合、係員によりそれらの取り外しを要求されることがある。
第5条 電子装置および通信
A.(訳註: 項番号の追加、および一部文言の別項への移動) プレイヤーは着席中に通話をしてはならない。着信音、音楽、画像、映像等が他者の迷惑にならないよう配慮すべきである。これらおよびその他の機器、道具、写真、動画、または通信によるゲーム進行の遅延や迷惑ないし競技上の優位性を生じさせてはならず、ハウスおよび地域のゲーミング規制により制限される。
B. 電話機やその他の電子装置は、テーブル上に配置してはならない。
C. 有効な手札を持っているプレイヤーは、電子機器や通信機器への接触ないし操作を行なってはならない。機器の定義には、新技術やトーナメントディレクターが定めるものも含まれる。
D. ベッティングアプリやチャート、およびその他のポーカー戦略ツールは有効な手札の保持中にテーブル上で使用してはならない。プレイヤーは、ポーカー戦略情報を他人およびその他の情報源から受信ないし使用してはならない。第5条の違反行為は第71条に定める罰則の対象となる。
第23条 新たなハンドおよびリミット
新たなレベルは、フロアないし計時システムの音声信号によるアナウンスにて開始される。新たなレベルは次ハンド以降に適用される。ハンドの開始は、最初のリフル、シャフラーボタンの押下またはディーラー交代のときとする。誤って以前のレベルでハンドを開始した際は、第36条に定める実質的アクションが発生しているならば当該ハンドを以前のレベルで続行する。新たなレベルがディーラー交代中に開始された場合、交代後のディーラーは最初の1ハンドを以前のレベルで行う。
第33条 ブラインド回避
意図的なブラインド回避は罰則の対象となる。第71条B項を参照。
第34条 ボタン配置および移動 (訳註: 条名変更)
A. 不正なボタン移動が実質的アクション発生前に発覚した場合、ボタン位置を修正する。実質的アクションが発生している場合、プレイを続行する。
例: ボタンが二度動かされ実質的アクションが発生した場合はボタン位置を修正せず、次ハンドでの復元も行わない。第2条の定めるところにより、すべてのプレイヤーはボタン配置を観察し、錯誤を発見した場合は申し立てを行う責任がある。
B.(訳註: 項番追加のみ) ヘッズアップにおいて、スモールブラインドがボタンとなり、カードは最後に配られ、アクションはプリフロップにて最初に、その他のベットラウンドにて最後に行う。ヘッズアップ開始時、いずれのプレイヤーもビッグブラインドが2回連続とならないようにボタンの位置を調整する。
第35条 ミスディールおよび不正デッキ
C. ミスディール時において、再ディールは厳密な再プレイとする。ボタンは動かさず、新規プレイヤーは着席せず、レベルは同一とする。最初のディール時にプレイ可能であったが着席していなかったプレイヤーにはカードが配られ、プレイすることができる(第30条参照)。最初のディール時にペナルティを受けていたプレイヤーにはカードが配られ、その後手札を無効化する。ペナルティ適用にあたって最初のディールと再ディールは合わせて2ハンドではなく1ハンドとみなす。
E. 不正デッキ。2枚以上の同一スートかつ同一ランクのカードが発見されたとき、不正デッキとする。不正デッキとみなすその他の条件は地域のゲーミング規制やハウス方針により定義される。不正デッキであることが発覚した場合、実質的アクションの有無に関わらず、ゲームを停止しベットは返却される。ハンド終了後における異議申し立ての権利は、第22条の定めるところによる。
第54条 ポットサイズおよびポットリミットにおけるベット
A. プレイヤーはポットリミットゲームにおいてのみポット額の計数を行うことができる。リミットゲームおよびノーリミットゲームにおいて、ディーラーはポット額を計数しない。推奨手順22「ポット拡散」を参照。 (訳註: 原文に従い推奨手順22と表記したが、実際の項目番号は21である。誤植と思われる。)
B. プリフロップにおいて、デッドまたはショートオールインのブラインドはポット額の計算に影響しない。プリフロップにおけるすべてのポットベットやリポットベットは、ブラインドが満額置かれているものとみなして計算する。
例: PLO、ブラインド100-200において、
1. SB空席、BBが200をポスト。
2. SBが100をポスト、BBが100をポストしショートオールイン。
どちらの例においても、最初のポットベットの額は700となる。
C.(訳註: 項分割に伴う項番追加のみ) ポストフロップにおいて、ベット額制限は実際のポット額に基づく。
D.(訳註: 項番変更のみ) ノーリミットゲームにおける「ポットベット」の発声は有効なベットではないが、当該プレイヤーは有効なベット(少なくとも最低額のベット)をしなければならず、罰則の対象となる。ベットに直面している場合は、有効なレイズをしなければならない。
第56条 ストリングベットおよびストリングレイズ
ストリングベットやストリングレイズは禁止とする。チップを出した後に追加のチップを取るため自らのスタックへ戻るなど、複数の動作を伴う場合もこれに含まれる。
第71条 警告、罰則および失格
B. アクション保留中にカードを見せる行為、カードを投げる行為、1プレイヤー1ハンドの違反、第5条に定める装置や戦略ツールの違反使用といった第70条に定めるエチケット違反行為、および類似の事案に対し、罰則が課される[ことがある](訳註: noteの仕様上、下線が利用できないため角かっこ表記にて代用)。組み打ち、不適切行為、妨害行為、ブラインド回避、不正行為に対し、罰則を[課す]。最終アクション時に確定ナッツを持ちながらチェックする行為は直ちに組み打ち違反とはならず、状況に応じてトーナメントディレクターの裁定が適用される。
推奨手順変更点
推奨手順8 ハンドフォーハンドの手順
B. ハンドフォーハンド中において、残り時間から差し引かれる時間は1ハンドにつき3分を最大とする。
推奨手順11 アンティ形式およびアンティ不減額
単一プレイヤーアンティを採用する場合、アンティ優先のビッグブラインドアンティ形式を推奨する。トーナメント進行に伴うアンティ減額は、決勝テーブルを含め行うべきではない。
推奨手順20 シャッフル準備
トーナメント開始時および休憩終了時において、ゲーム開始もしくは再開の1分前にフロアが「ディーラーはデッキを準備してください」と通達すべきである。ディーラーは、テーブルにプレイヤーが2名以上着席していることを確認し、カードをウォッシュおよび整形し、レベル開始時にリフルシャッフルを行うことができるように準備する。
推奨手順21 ポット拡散
ポットリミットゲームにおいてのみポット額の計数が行われる。チップの視認性を向上させるためのポット拡散は、要求に応じて行うことができる。第54条「ポットサイズおよびポットリミットにおけるベット」を参照。
推奨手順22 額面のない物品によるベット(バウンティチップやクロックトークンなど)
バウンティチップやクロックトークンなど額面をもたない用具は、通常のチップと異なる寸法とすべきである。これらを用いたベットアクションは、ハウス方針や第1条の定めるところにより解釈され、トーナメントディレクターの裁定によりコールもしくはオールインとみなされることがある。
例解追補変更点
おことわり
例解の可読性向上のため、変更がなかった状況や例示についても記載しています。
変更点は太字で示しています。
第46条 撤回されていない以前のベットチップ、状況例
(訳註: 状況番号の変更は並び替えに伴うものである)
状況1: 前のチップがコール額を充足しない「かつ」置かれたままの場合
例: NLH, ブラインド25-50, BBが25チップを2枚ポスト、BTNが600へレイズ。BBはあと550でコール。
オーバーチップ1枚の追加はコールとなる。(1000チップ1枚を前の25チップ2枚に追加)
複数チップが追加され、[追加した]全てのチップがコール額充足に必要な場合、コールとなる。
a) 500チップ2枚を追加した場合
b) 100チップ1枚と500チップ1枚を追加した場合
いずれの場合においても、[追加した]チップすべてがコールに必要である。複数チップが追加され、[追加した]チップのうち最低額の1枚がコール額充足に必要でない場合、第45条に定める複数チップによるベットとなる(1000チップ1枚と500チップ1枚を追加した場合、前の25チップ2枚と合わせてベット1550となる)。第45条に従い、無言での複数チップベットは50%閾値に達する場合はレイズ、そうでない場合はコールとなる。
状況2: 前のチップがコール額を充足しない「かつ」すべて撤回された場合
前のチップをすべて取り除きオーバーチップ1枚を置いた場合は、コールとなる(25チップ2枚を引き下げ、1000チップ1枚を置いた場合)。
前のチップをすべて取り除き複数チップを置いた場合は、第45条に定めるベットとなる(25チップ2枚を引き下げ、2枚以上のチップを置いた場合)。
状況3: 前のチップの一部が撤回された場合(前のチップのコール額充足有無は問わない)
前のチップの一部を取り除いた場合(25チップ1枚を引き下げ、25チップ1枚を置いたままにし、チップを1枚ないし複数枚追加した場合)は、第45条に定める複数チップベットとなる(50%閾値に達する場合はレイズ、そうでない場合はコール)。
(訳註: 1項目のみの番号付き箇条書きは原文ママ。また、原文では括弧と閉じ括弧の数が一致していないため、下記の記述であると解釈した。)
状況4: 前のチップがコール額を充足する場合
チップを1枚ないし複数追加した場合、第45条に定める複数チップベットとなる。
例: NLH, ブラインド50-100, BBは1000チップ1枚をポスト。プリフロップで700へのレイズがあった(BBはあと600でコール)。前のチップとして置かれた1000チップはレイズ700へのコール額を充足するため、チップを追加した場合はすべて合算して第45条に定めるベットとなる。最初にポストされた1000チップが引き下げられたか否かにかかわらず本規定は適用される。
状況5: 上記にかかわらず、全てのチップを組み合わせて押し出す、ないし前に投げる行為は、第45条の定めるところにより全てのチップをベットする意思であると解釈されうる。
第51条 拘束的宣言およびアンダーコール
例1: NLH, ブラインド1000-2000。ポストフロップにてAがオープン2000、Bがレイズ8000、Cは無言で2000を前に出した。CはBのベットにアンダーコールした。第51条B項に基づくと、Bはオープナーではなく、かつマルチウェイであるため、Cがコール8000を求められるか、あるいはアンダーコール2000を放棄してフォールドすることを許可されるかはTDの裁量に依る。
例2: NLH, ブラインド1000-2000。ポストフロップにて残り4名。Aがオープン8000、Bが無言で2000を前に出した。第51条B項に基づくと、Bはオープンベットにアンダーコールしたため8000にコールしなければならない。
例3: NLH, ブラインド1000-2000。ポストフロップにてAがオープン2000、Bがレイズ8000、Cが「コール」と発声。第51条A項に基づくと、Cは一般的な口頭でのアクションを完了しているため、Bのベット8000にコールする義務がある。
例4: NLH, ブラインド200-400。オープナーがベット400、Aがレイズ1200、Bが無言で500チップ1枚を前に出した。ディーラーがコール1200とBに伝えるとBはフォールドした。TDの裁量によりBはアンダーコール400を放棄することができる。その場合、100を返却する。
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