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盛岩外四より年末のご挨拶|今年のトピックスは3つ

こんにちは、盛岩外四(もりいわ がいし)です。早いもので、節目の2020年も残すところ、あとわずかになりました。皆さんにとって「これは!」という今年のトピックは何だったでしょう。盛岩には3つありました。

今年一番のトピックといえば、やはり「コロナウイルスの感染拡大によって株式市場や外国為替市場のクラッシュと、その後の強烈な上昇相場」でしょう。

3月下旬に「弱気か強気か?相場ウォッチャー調査」と題してブログ記事を書きました。「1カ月先の日経平均株価は現在よりも上か下か」を訊く内容でした(ブログ公開時)。コメントを寄せてくださった方々の強気と弱気の状況を見ると、7対3で弱気が優勢。多くの方々は、1カ月先の株式相場は下振れするとみていたわけです。

ブログを公開したのは、日経平均株価が3月19日に16358.19円の安値を付けたあとに反騰、そして若干の下振れが起きていた時期、つまり二番底を模索しそうな状況下でした。

結果的に日経平均株価は、この安値が今年の最安値となり、その後は上昇に次ぐ上昇。年初来高値どころか、29年ぶりの高値水準にも到達しました。ニューヨークダウ平均やナスダックも史上最高値を更新するという結果になったのです。

一方のドル/円は、3月9日に101.168円を付けたあとは急激に買い戻され、3月24日には、これも今年の最高値となる112.224円まで急騰しました。

アナリスト風に論評すれば、「中央銀行の資金供給や政府の巨額財政出動が金融市場に安心感をもたらし、過剰流動性(カネ余り)によって株式相場は上振れした一方、ドル/円はリスク回避で売られ、その後はドル資金の逼迫で急激に円安に向かった」となります。まあ、後講釈はどうでもいいわけですけどね!

ウォール街には「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中に育ち、楽観とともに成熟し、幸福のうちに消えてゆく」という相場格言があります。盛岩は「中国の武漢でコロナウイルスが発生」という第一報から、盛岩相場塾の塾生の皆さんに警告、注意喚起を促していましたから、当時もマインドとしては完全な弱気でした。

そして、急落の最中に「相場ウォッチャー調査」を実施したわけです。結果は7対3でしたから、総悲観とまではいかず、「悲観論者はやや少ないかな」という印象を持ちました。盛岩の肌感覚では、総悲観は8対2~9対1だったからです。

相場とは天の邪鬼なもので、皆が下に行くと考えれば上に行き、皆がもっと上に行くと期待すれば、それを裏切ったりするものです。つまり、自分の相場に対するマインドが弱気であっても、相場の向きにポジションを合わせる、「相場は相場に聞け」が基本ということです。米国風にいえば、トレンドをフォローするということですね。

これは下落相場だけでなく、上昇相場も同じです。「もっと上がる」「高値圏で底堅く、大きく下振れするリスクは低い」「3万円を突破しそう」「国策に売りなし」と言われても、相場が下落すれば、それにポジションを合わせることで勝機が生まれます。今年は「相場は相場に聞け」「Trend is friend」の重要性を再認識させられた年となりました。

2つ目のトピックは、1月にアレキサンダー・エルダー博士と『ザ・トレーディング』を翻訳した福井強さんと再会して、さらに親交を温められたことです。そしてFPOさんが主催したセミナーで、エルダーさんの新しいテーマやご両人のトークセッションを聞けたことです。

エルダーさんは今年70歳で、盛岩のちょうど一回り歳上です。この歳でまだまだ進化し、新しい手法や自己管理の方法を模索、精力的に実践している姿をみると本当に頭が下がりますし、先達から学ぶべきところは大きいと痛感しました。

福井さんは盛岩の1つ歳上ですが、「超」が付くほどのエリート集団でもある世界銀行を退職され、プライベートトレーダーとして第二の人生をスタートしました。また、本の執筆も計画中だそうです。安定を捨て、精力的な活動をスタートした福井さんにも頭が下がりますし、いくつになっても情熱と挑戦、改善を怠ってはならないと心新たにしました。

そして、ヘタレの盛岩は最近、「引退」の2文字が頭のよぎっていましたが、このお二人と再会して「負けてはいられない!」という気持ちになりました。

と同時に、もうひとつ新たな発見というか、驚くべき事実が分かりました。日経BPから出版されている『デイトレード』はロング&ベストセラーで、オリバー・ベレスグレッグ・カプラという2人のトレーダーが書いた名著でもあります。

2019年にFPOさんが出版したエルダーさんの代表作『ザ・トレーディング』はかなり良い滑り出しで、何度も読みふけったので我が子のように思っていました。

しかし、Amazonの順位で『デイトレード』を抜けないわけです。どんなもんかと思って読んでみると、どことなくエルダー節というか心理の話題が似ているのです。この本に対しては、福井さんも読まれて同じ感想を持たれていました。

そこで、エルダーさんに「日本では、オリバー・ベレスグレッグ・カプラというトレーダーが書いた『デイトレード』という本がもの凄い人気で、なかなか手強いんだ!」と率直にメールを投げてみました。

なぜ、これを訊いたかというと、その日のセミナーのテーマがデイトレードだったことと、『デイトレード』の内容がエルダーさんの話に似ていたからです。

そうしたら、この2人はエルダーさんの教え子、具体的にはトレーダーズキャンプの参加者だったようです。つまり、エルダーさんがいなければ、トレーダーズキャンプが開催されていなければ、このロング&ベストセラー本はこの世になかったかもしれないと思うと、これはまた凄い「先生(ドクター)」と親交を結べたものだと感服した次第です。同時に、今年一番の重大事実が判明したともいえます。

3つ目のトピックは私事ではありますが、盛岩相場塾を始めてから丸10年、11年目に突入したことです。つまり節目を迎えたということですね。毎週毎週、どんな切り口で講義をしようか、テクニカルの基礎を話すべきか、自分のトレードルールをベースに話をしていこうかなどなど、ずっと暗中模索しながら胃の痛くなる作業の連続でした。

ここまで長く続けられたのは、ひとえに受講生の皆さんが参加してくださっことと、主催しているFPOスタッフの皆さんのお陰です。そして、たくさんの方々からお祝いのコメントもいただき、本当にここまでやってこられて良かったと思っています。

長く続けられたのは、最初からいつまでやる、何回までやるといった目標を持っていなかったことも幸いしたかもしれません。目標を持つとことは、それを達成しようという原動力になる反面、それを意識し過ぎるあまり、無理をしたり、奇をてらったりして短命に終わりがちです。

これはトレーディングにも通じることです。目標達成という情熱は絶対に持っていた方がいいですが、その強さのあまり、いつの間にか「情熱」が「貪欲」になって自分の心を乱したり、心が濁ったりして混沌に飲み込まれてしまうケースや、滅茶苦茶なトレードをして負けが込むケースがとても多いものです。

トレードの最中は「熱い気持ち」を封印する方法、つまりセルフコントロールをする術を身に付け、感情の入り込む余地をできるだけ無くすことが必要です。とはいえ、初心を忘れ、情熱も持っていなければ、長く続けることも、不調から脱出することもできません。相場を張る上で必要な忍耐や胆力は、初心と情熱の先にあると思っています。

久しぶりに原稿を書いたので、長くなってしまいました。年末年始のご挨拶はサラッと、と思って書き始めるのですが、どうも筆が止まりません。しかし、この性分が、これまで生き残れて、そして様々な素晴らしい出会いをもたらしてくれたと思っています。

10年という「節目」は本当にいろいろなこと、人生の中でも強く印象に残ることが起こるものですね!今年1年、どうもありがとうございました。皆さんに、素晴らしい1年が訪れるよう祈っております。

盛岩 外四 拝

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