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米欧日の金融政策から読み解く2023年後半の為替相場展望

米欧日の金融政策が相次いで発表されました。今年後半の為替相場を占う上でも、結果をあらためて確認しておきましょう。

まずは米国です。25-26日にかけて開催されたFOMCでは、事前予想通り0.25%の利上げが実施されました。次回9月の利上げについては、データ次第という姿勢を示しています。

ただ、インフレ率は急激に低下しており、市場ではソフトランディングへの期待が高まっています。にもかかわらず、利上げの可能性を排除しなかったのは、ハト派姿勢を強めることで、マーケットが急騰する事態を避けたかったからでしょう。

次に欧州ですが、27日に開催されたECB理事会で、こちらも予想通り0.25%の利上げを決定しました。これで9会合連続の利上げとなります。次回9月の利上げについては、米国同様どちらの可能性もあるという姿勢を示しました。

ユーロ圏7月CPIは5.3%となっており、前月の5.5%から若干鈍化、3ヶ月連続で前月を下回っています。目標の2%を大きく上回ってはいるものの、一時10%を超えていたことを考えると約半分の水準まで低下、利上げ効果が発揮されていることが分かります。

最後に日本ですが、27-28日に日銀金融政策決定会合が開催され、イールドカーブ・コントロール(YCC)運用の柔軟化が決定されました。これは、これまで0.5%としていた長期金利の変動上限を事実上1%に拡大する措置になります。

植田日銀総裁は、この措置について、大規模金融緩和の持続性を高めるためのもので、正常化へ歩み出す動きではないとしています。

ただ、市場では金融正常化プロセスの第一歩であり、今後も出口戦略に向けて歩みを進めていくだろう、との見方が広がっています。また、為替水準をターゲットにしないとしながらも円安抑制の効果を狙っているとの声も上がっています。

ここまでをまとめると、、、米国と欧州のインフレは落ち着きつつあり、利上げ局面が終盤に差し掛かっているということ。一方、日本はこれまで長きにわたって継続してきた大規模金融緩和政策の出口に向けて、ようやく一歩を踏み出したかというところ。

つまり、金融政策から考えると、ドルとユーロは売られやすく、円は買われやすいということになります。

さて、次の注目のイベントは、8月24-26日にかけて開催予定の「ジャクソンホール会議」です。米国ワイオミング州のジャクソンホールで毎年8月に開催される経済シンポジウム。主要な国の中央銀行総裁や幹部、政治家や経済学者などが参加し、世界経済や金融政策の課題について議論が交わされます。

昨年はパウエルFRB議長が、市場に広がっていた2023年後半の利下げ見通しを否定するようなコメントをしたことで、ドルが買われました。

今年もパウエルFRB議長の発言内容によっては、為替相場が大きく動く可能性があります。ハト派的な発言が飛び出せば、利上げ打ち止め観測からドル売りが加速し、現在の水準が年内の円安のピークになるかもしれません。

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