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下落相場=ネガティブという習慣的な価値観にこだわると、FXでは不利に働きます。

こんばんは、盛岩外四(もりいわ がいし)です。あなたは、上昇相場と下落相場のどちらが好きですか。この質問に対して多くの個人トレーダーは「上昇相場」と答えます。

その理由の1つは、右肩上がりのチャートはポジティブで、右肩下がりのチャートはネガティブという印象があるからです。

株式相場であれば、その理由はうなずけます。株価が上昇するということは、その企業が成長しているか、その期待が高いことの現れだからです。また、空売りは何かと制約があり、不利ということもあるでしょう。

しかし、外国為替相場では、必ずしもそうとは言えません。為替取引は通貨ペアで行われますから、一方の通貨がもう一方の通貨に対して、強くなるか弱くなるか、上がるか下がるかということだけです。つまり、あくまで相対的な価格変動なのです。一方、株式の場合は、ある銘柄が上がるか下がるかですから、価格は絶対的な変動ということになります。

少なくとも為替相場で上昇が有利に働き、下落が不利に働くということはないのです。それでも、為替相場も上昇がポジティブ、下落がネガティブという理由を強いて挙げれば、2つあります。

1つは、「円高=不況」というイメージです。日本は輸出主導の経済ですから、円高になると輸出企業の業績が振るわず、日経平均株価は下降トレンドを描き、経済自体も下降線をたどり、低迷します。円高には、いわゆる「負のイメージ」がつきまとっているのです。

もう1つはスワップ金利です。低金利通貨を売り、高金利通貨を買うというキャリートレードが一昔前に隆盛を極めました。つい最近まで、その名残はありましたが、コロナ禍によって主要各国の金利差はほぼなくなり、コロナ禍になる前であっても、一部の国ではマイナス金利やゼロ金利を導入しています。

つまり、金利差がほぼ消滅した状態であれば、スワップ金利が不利になると神経質になる必要はないのです。仮にスワップ金利があったとしても、ほんの一瞬の動きで消滅するような微々たるものなのです。

スワップ金利の差がネガティブに働くことも確かにあります。それは、大きなスワップ金利の通貨ペアをレバレッジを思いっきりかけて長期保有するというトレードスタンスです。

しかし、高レバレッジで長期保有すれば、魅力的なスワップ金利を手に入れるという考え自体が絵に描いた餅になります。トルコなどの新興国の金利が高いとはいえ、その受け取り金利につられて円売り・トルコリラ買い、ドル売り・トルコリラ買いをしたトレーダーが悲惨な結果になったことは記憶に新しいところです。

こうして見ていくと、少なくとも為替相場においては上昇相場と下落相場のどちららにも有利な点はないのです。それでも、やはり買いから入りたいというトレーダーが多いのも事実です。こうした傾向は、何も日本人に限ったことではありません。米国の個人トレーダーも似たり寄ったりです。

ところが、米国の個人トレーダーが為替先物で日本円を手がけるとき、上昇相場は「円高・ドル安」になります。100円が何ドルかという見方になるからです。

日本の為替トレーダーにとっての上昇相場は「円安・ドル高」です。つまり、日米の為替トレーダーが「上昇相場」を好んでも、実はポジションが真逆になっているのです。となると、やはり上昇がポジティブで、下落がネガティブという価値観自体が意味を持たなくなると思いませんか。

それに、一貫して上昇を狙うということは、下落相場のときにはみすみすチャンスを逃すどころか、リスクばかりが高くなってしまいます。つまり、片方だけを狙うのは利益機会が半分になり、残りの半分はリスクのほうが高くなります。大雑把に言えば、勝てないということです。

繰り返しますが、外国為替相場では上昇相場と下落相場に良い悪いはありません。上昇がポジティブという習慣的な価値観にこだわると、トレーディングでは不利に働きます。

大局的な相場展開(トレンド)に対して常に「正の向き」のポジションを取り、リスク管理を徹底することが、勝つトレーダーになる最初の一歩といえるでしょう。

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