乗合代理店フルコミの世界

※完全業界内の方向け記事です

一社専属から代理店に出る。
固定給から完全歩合給に転身する。
より良い何かを求めて会社を移る。

保険業界ではよくある話で
さして驚きもしない事象ですが、
当の本人にとってはやっぱり一大決心なわけです。

営業職である以上
「固定給だから将来安泰」
っていう業界でもありませんから、

固定給・歩合給に関わらず
常日頃ある程度の緊張感と不安感は
抱えながら活動していかざるを得ませんよね。


10年位この業界におりまして、私自身
固定給(6年)→完全歩合給(4年目)に転籍した身としての
経験値と、いろんな方とお話しする中で得た経験則があるので、

今日は業界内転職(転身)を考えている方向けに
記事を書いていこうと思います。


「転職する前に読んでおいて欲しい」というよりは、
「転職して数年以内の諸先輩方がどういう悩みを持っているのか」
を見ながら、ご自身との状況、感覚の違いを
見つめなおすきっかけにしていただければ。


Twitter経由やお知り合いの方の紹介などで、
ある種上下関係も利害関係もない人畜無害な立場(?)として
20-40代位の方から結構相談を受ける事があるんです。

きっと本来は
「こういう話上司と相談した方がいい事なんだろうな」って
ことが本当に多いんですよ。

「私こういう状況なんですけど、どうしたらいいと思いますか」とか
「あれこれやってみても上手くいかないんですけど、何を変えたらいいですか」とか。

詳しくは分からないですが、上司の方にこういう相談がしづらいんでしょうね。。。
なんとなく察する所があります。

ちょっとわき道にそれるかもしれませんが、
「超」入門 失敗の本質っていう本があるんですけど、オススメですよ。

第二次世界大戦下の日本軍の敗因を分析した名著を
現代風にわかりやすく解説した本なんですけども、
「過去の成功体験が通用しなくなった後の日本的組織の脆弱性」
事細かに事例を含めて書いてあります。

恐らく、転職を考えるくらいまでの人が読んだら、
ほぼ確実に背中を押すスイッチになるでしょう。

その具体例の一つに、
戦場の現場で何が起きているかを大本営(上席者)が認知できない
(聞かない、聴こうとしない、言える雰囲気ではない)

というのがありますが、まぁどこでもこういう部分はありますよね。

私も採用した後輩が、退職を決意するまで私に相談をしなかったので
エラソーに言える資格はないんですけどね。

だからこそ、少なくとも相談を受けた方の話には
ちゃんと答えたいなと思ってやっております。


立場によって悩みの種類も違いますから、
冒頭にあげた内の2パターンに分けて書いていきます。

実際に相談を受けた方々からの声を反映しておりますので、
そんなに的外れではないかなと。


気になる所があればそこだけ読んでくださいませ。

①一社専属→乗合代理店に移籍した後の悩み
②固定給→完全歩合給に移籍した後の悩み



①一社専属→乗合代理店に移籍した後の悩み 抜粋
「一社専属の時代は、自社の良さに自信があればシンプルだったけど、
 (「だからウチが一番!!」という根拠のない自信でゴリ押せる部分も多々あった)
 乗合は自分で何が良い商品かを勉強して、自分が何を大切にするか
 決めないといけないからそれが大変。商品数も沢山あって勉強が追い付かない」

「専属時代にはよくも悪くもロープレをやって(やらされて)、
 営業スキルを磨く場、確認する場があったけど、代理店はそれが無い。
 誰が何を売ってるのかもわからない。教育は代理店は弱い」

「自分自身が良いと思える商品を提案できるのかと思ったら、
 会社から商品毎のノルマがあって、提案の幅は逆に狭まったかもしれない」

「マーケットは会社が用意する!と聞いてきたけど、そんな甘い話ではなかった…
 結局自己開拓できなければやっていけない」

「専属時代は同期であったり相談しやすい少し上の先輩がいたが、
 代理店は横のつながりはかなり希薄かもしれない。
 同期入社の方もいるけど、年齢が30歳近く違って話しかけづらい…」

あまりにもセンシティブなものは書けませんが、
概ねこういう感じの悩み、一種の後悔、やや愚痴…の様なお話は良くお伺いします。

現状上手く行っている方からすれば「何を甘いことを…」と思う
悩みもあるかもしれませんが、個人的には結構共感するものもあります。
実際、事実…では?と感じるのは私だけでしょうか。


専属→乗合代理店への転職動機としておおいのは

「より多い商品ラインナップから、ご相談者の方にベストな提案が出来る」

やはりここに集約されると思います。


今まで「君のとこより、こっちの方が安い(利率が良い)よね…」などと
言われ(ここまでコンサルしたのになぁ…)という経験もあるでしょうから、
商品ラインナップが多い事には確かに魅力がありますよね。

ただ、代理店でも
「んーでもNISAとiDeCoだけで資産形成は良いかなー…」
「(某来店ショップで)保険は3か月前に見直したばかりなんです!
 今日は住宅ローン控除についてだけ教えてください!」
「新商品で安いのが出たって別のFPさんに教えてもらったので解約しますね(契約後1年以内)」
こういう風にね、なることもあるんです。


・・・いわずもがな、隣の芝生は青く見える状態ですね。


どちらかというと、転職活動は
転職先のメリットの魅力の大きさより、
デメリットの洗い出しとそれを許容できるか、の方が大事です。


スナックのお姉さまが
「男と女は、好きなものが同じより、許せないものが同じ方が長続きする」
とおっしゃってました。同じことかなと。

「(お姉さんの)許せないものが同じ方はいらっしゃったんですか?」とお伺いしたら
「うるせーな」と言われて大変ショックでしたけども。


「今まで自分の会社で出来ていて、当たり前だと思っていた良い事」
新しい転籍先の代理店では当たり前でない可能性があります。

ありがたみは大抵失ってからでないと気づけないのが厄介です。
健康しかり…、大切な人しかり。。。
(これは当たり前じゃないのか!ウチの良い所だったんだ!?)が
一つでもこの記事で見つかれば嬉しいですね。


冒頭にあげたよくある悩みを見て、改めて参考にしてみてください。

「教育もしっかりしてて、見込の提供もあって、還元率も良い」
みたいな感じの会社は、わたしの知る限りないと思います。

保障も一番範囲が広くて、保険料も一番安いなんて保険
あるわけないのと一緒ですよ。あったとしたらどこかで歪みが出てきます。
計算上成り立たない。成り立たないものは存在し続けない。
本当は単純な話のはずなんです。


教育の不足部分は、SNSを駆使して色んな代理店の募集人やFPに会いに行って
情報収集する所で補おうと思えれば解決しますし、
(私はシャイなので自分から話しかけたことは殆どないです)

オススメな転職時の見極めポイントは、月並みな表現になりますが
「ご自身が尊敬できる人にアドバイスをもらう事」だと思います。

いない場合には、SNSで色々探してみて、声をかけてみてもいいのかなと。

※大分前に「弊社の将来は明るいと思いますか?」と大変回答に困る質問が
 一社専属の方からDMで来ましたけども、あまりにも答えづらい場合には
 個人的にスルーすることもありますのであしからずご了承くださいませ…




②固定給→完全歩合給に移籍した後の悩み 抜粋

「新規のお客様が、いないです…」

決して①と比較してさぼっているわけではないんですが、
固定給→完全歩合給に移籍した方たちの悩みは90%以上
ここに集約されます。

次点で「教育がフルコミは本当になくなりますね」という声もありますが、
①と被りますので割愛しますね。


固定給にも来店型や、提携訪問型、企業型代理店と色々ありますが、
基本的には、仕組み上固定給が成立するという事は
会社がマーケット開拓をし、それに必要な教育をしているという事ですね。
(※ウチはそれも基本全部社員個人個人がやるんですよ…という
悲鳴も時折聞こえてきますが、ここでは割愛します(∵))


固定給の方が給料の安定を捨て
完全歩合給に挑戦しよう、という心境の裏側には大概

・会社のやり方、方針に共感できなくなった

という、やや範囲が広いですがこういうお声が一番多いです。

意外と
・もっと稼げそうだから挑戦したい
というのはその次に出てくる感じですかね。

それか、あんまりそこは重要視してなくて、
「いまよりちょっとでも稼げればそれでOK。
 あとは自分らしい提案、活動が出来れば幸せ」というスタンスでしょうか。

まぁ一度固定給を選択しているわけですので、
収入が一番には出てきづらいかもしれません。
※保険業界にフルコミで最初に飛び込んでくる方たちは
 結構な割合で「高収入!」が最上位な感触もしますが。

固定給である以上、色々と営業以外の業務も多いですし、
会議の多さ、上司からのキラーパス、文句を言う後輩をなだめ、
教育し、励まし、飲みに行ったりと忙しいですよね。
※もちろんやりがいになる部分も多いですけども

良くも悪くも「チーム」「課・部」で動いていた部分が、
ピン芸人になると言いますか、かなりの部分を
自己完結する必要が出てくるのでこのあたりも結構大変です。


意思決定が超高速になるのはフルコミになると良いですけどね。


新規のお客様をどう発見し、接点を作っていくか。

個人的な経験値も踏まえて、
ここは移籍前にチェックして欲しいのですが、、、

「フルコミに移った後、一番メインで考えていた集客方法が
 ダメになった場合、次にどうするか」
まで考えてから
移籍して欲しいです。

一本目の矢がダメの時の、最低限次の二本目を用意しておく感じですね。

一本目の矢が紹介なのか、リーズなのか、提携先なのかわかりませんが、
私も細かくはココで書きませんが(書けない、が正しい)、

一番収益の柱にする予定だった集客方法が
完全歩合給転籍後開始2ヶ月ぐらいでほぼ消滅し

「なるほど…これがフルコミの恐ろしさ…」となっていた時期が
しばらくありました。

固定給から完全歩合給に移籍しよう、と考えて
悩むくらいの方であれば、恐らく現状の環境では
社内でも優績者に該当する方なのでしょう。

それでも一歩踏み出しづらいのは、
何はともあれ冒頭の「新規のお客様が、いないです…」問題を
どうするかに明確な答えが無いからだと思います。


まぁこれについては完全歩合給に移籍して4年目になりますが、
こればっかりは今でも「来年どうなるかわかんないなー」と
私も思っておりますし、多くの諸先輩方もそうなのではないかなと
思いますので、将来の不安に対する意識が完全歩合給の方々は
少々ネジを飛ばしている可能性もあります。
※「10年以内の継続だけでも大体〇千万円入ってくるんだー」という
 安心感を手にしている方もいますが、例外として割愛します


そして時折(ん…黒に近いグレーでは…?)という
集客方法、販売手法でトップセールスになっているケースも無きにしも非ずなので、
参考にされる方はちょっと注意深く観察した方がいいとも感じます。


私が見てきた良い事例の中では、

来店型を経験した女性募集人が、
FP事務所を開業して保険コンサルも行う、
という転身ケースは結構見てきまして、

セミナー開催のポイントを熟知した上で
しっかりとHPを作って上手く行っている方、
業法の流れを守ってしっかりやっている方は何人か知っております。

セミナーのノウハウ(集客から開催内容)って、
これは実績があるのであればかなり強いと思います。

ただ「来店型で成約率と単価が高いです」だけだと
ちょっと不安かなー…と個人的には感じますかね。。。


※「副業できるところありますか?」という
悩み相談もちょこっと頂きますが、
これは副業の意味合いによりますね。

私のように、募集活動と研修を併行して収益にすることを
目指す方は…意外と弊社良いのではないかなと思います。
お声がけください(笑)

IFA的な意味合いでしたら、この両立は
見ている限り相当難しい様に感じますね。
ここらへんは本当に個人の感想なので、
実際に上手く併行している方がいらっしゃればその方を
見つけてお話をお伺いすると良いと思いますが。


時折社内外問わず
「IFAなんでやらないんですか?」
「投資信託も得意そうですよね」といただく事もありますが、
勉強量が凄まじいことになりそうだからという理由で
現状私は展開していません。

生命保険とFP業務だけでも知識水準の維持はかなりハードで、
そこの損保、IFAが入ると、、、ちょっと考えたくないですね。






はい。ざざーっと書き綴ってしまいましたが、
参考になりましたでしょうか。
「乗合代理店フルコミの世界」というタイトルで
思った以上に長くなってしまいました。


完全歩合給に転籍して、かなり自由度が上がったので
この4年間他代理店の方への研修、勉強会を行えるようになりました。
※それまでは基本的には社内教育のみ

そう言う意味では、個人的には現状転籍してよかったなと
本当に思っております。紆余曲折もありましたけども。


そんな中、

「見込み客開拓」の次に需要が高いのは
「教育研修・自己理解」だなと本当に痛感しております。

タマゴが先か、ニワトリが先かみたいな関係ですかね。

「見込み客開拓」の比重が重く見られがちですが、
そこで出会った方にどう接するかまでが準備できていないと
空振り続けるのは精神衛生上も良くないですから、
個人的には両輪だと思っています。

そして、今回の記事を書こうと思ったきっかけでもありますが、
「上司っぽい事を話せて相談できる、上司じゃない人」
というポジションも、需要有りますね。

※妻から「都合のいいおじさん」と言われましたが、
 なんか的確な表現にも思います。

私は幸いにして、尊敬できる先輩方に弊社で
出会えて、いつでも質問できる環境にいたので
ある種「ありがたみにしばらく気づけなかった」のですが、
「社内でロールモデルになる先輩がいない」方が
思った以上にこの業界多い事を痛感したこの2-3年でした。



あと、完全歩合給で一定年数の経験値を積めば各自それぞれが
「保険営業とは…?」
「お客様とは?」
「保障とは…?」
「ライフプランとは?」
という部分で独自の価値観を形成しますので、

諸先輩方の意見は大なり小なり一人として同じ意見がありません。

「あの人から教わった事と、この人の言っていることが矛盾する!
 むしろほぼ真逆!!!!え・・・どっちを信じれば!?」
みたいな状況に陥る事も、転職すると発生しやすくなります。

「ライフプランとは?」の理解の相違で口論になり、
殴り合い寸前までなった募集人のケースも
見たりしましたが、それ位相いれない事も発生したりします。
(※私は基本平和主義者です。争いません。非暴力不服従運動。)

だからこそ時折、しっかり意見交換できる方と話し合って
自分の視野を広げることも大事ですけどね。

油断すると、好き嫌いが激しい偏屈な人になりがちなんですよ。

自戒を込めて、何か一つでも皆さんの参考になりましたら幸いです。

本日はここまでお付き合いいただきありがとうございました!

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