PLOのショートスタックにおける3betの考え方(1)ー相手の2bet rangeの想定
pokerstarsのキャッシュゲームのミニマムバイインは40bb、zoomの場合は50bb、大抵のライブゲームでも50bb(マカオは100bbですが基本的にストラドルゲームなので実質50bbミニマムバイインみたいなもの)です。例えばUTGが3.5bbでオープンしボタンがポットベットで3betした時、そのレイズ額は12bbでブラインドがフォルドしUTGがコールした時のポット額は25.5bbであり例え50bbバイインでもフロップでのSPRは1.5弱です。そのような状況では互いのプレーヤー共にエクイティリアライズは容易です。つまりPLOのショートスタックでのプリフロップ3betハンドはEVではなくエクイティに忠実にプレイするべきなのです。
そう考えた時我々が3betするかどうか判定するときに必要な事は(1)相手の2bet rangeの想定、(2)相手の2betレンジに対して自分のハンドが3betするにあたり適切なエクイティを有しているかの判別の2つです。(1)と(2)とわけて二回シリーズで自力でpropokertoolsを使ってショートスタック時の3bet handを求められる、また効率がよいまとめ方ができるというところをゴールに解説していきます。
相手の2bet rangeの想定
正直センスによるところが大きい部分ですが、自分がライブポーカーでどのようにレンジを推定するかを簡単に紹介します。
1)相手のプレーヤーの力量を推し量る
プリフロップのプレイヤーの分類として大きくわけて4つに分けます。
①プリフロップで多少-EVのプレイをしてもポストフロッププレイで-EV分を+に持っていけ、それを意識的にプレイするプレーヤー
②状況に合わせてEV/エクイティに忠実にプレイするプレーヤー
③ポジション毎に決まりきったプリフロップレンジをプレイするプレーヤー
④プリフロッププレイに傷があるプレーヤー
初見のプレーヤーの場合はショーダウンしたハンドをみてプリフロップ~ポストフロップの間に傷がないか確認し分類します。またノンショーダウンでも明らかにVPIPが高すぎるなど顕著な場合は分かりやすいですね。初見プレーヤーの場合は①と④のプレーヤーの見極めに時間を要する場合がありますが、テーブルの弱いプレーヤーが誰なのかが観察できるとテーブルダイナミクスが理解でき自然と分類できます。
2)基本的なレンジ
上記の図はjnandezpokerからの引用ですがスタック別のGTOの各ポジション別のRFI%とCC%です。ここから相手がどれくらいずれているのか、それが状況(相手と自分の相対的なスキル差や相手のプリフロップレンジなど)に合わせた意図的なものなのか、ただの傷なのかどうかを評価し①~④のプレーヤーの分類を行います。ちなみに自分はjnandezのサイトのものではなくmokerguyのサイトのGTOレンジを参考にしています。
3)具体例
ではどのような状況でレンジが変化するのかということですが代表例をいくつか挙げてみます。基本的にはセンスがものをいう部分です。
①エニハンドで参加する鯨がテーブルにいる。
プレーヤー分類①と②のプレーヤーの2bet/call rangeは広がります。例えばBTNに鯨がいる場合では、UTGオープンに対してCOの鉄強が3betできるハンドを持っていてもUTGをアイソレーションするよりもBTNの鯨を巻き込んだほうが期待値が高くなるためCOでしばしばコールに留めたりします。また例えばUTGが鯨でオープンしたとするとCOに鉄強がいる場合、鉄強の3bet rangeは一般的なものよりもワイドにアイソレーションをしていきます(もちろんスタックとの関係性によります。effスタックが浅い場合、アイソレーションするメリットよりもSPRが低くなりポストフロップを十分にプレイできないデメリットの方が大きくなるため逆に3betは減ります)。
②BBに弱いプレーヤーがいる。
①の場合同様、プレーヤー分類①と②のプレーヤーの2bet/call rangeは広がります。
③後ろに強いプレーヤーしか残っていない。
分類①のプレーヤーの2bet rangeは適正のものとなることが多いです。
④スタックサイズに関係する。
上図をみるとわかりますがeffスタックが浅い場合ポジションによる優位性が小さくなるためインポジションでのレンジは狭くなります。またスタックが深い場合はその逆です。しかしディープスタックを持つ鉄強は魚がディープスタックだった場合、魚を中心にレンジを構成するためテーブル全員のスタックサイズにおける最適レンジから離れることが多いです。ショートスタッカーがPLOで有利と言われる所以はこのあたりにあります。ディープのプレーヤーが多いフィールドではショートスタックはプリフロップを最適にプレイした場合、期待値上は負けようがありません(レーキにもよりますが)。
4)どの程度の精度で相手の2bet rangeの分類が必要か?
経験則ですが3bet handを決定するにあたって自分がライブ/オンラインポーカーをプレイし十分だなと思っている2betの観測精度は100%、50%、30%、15%、10%、6%です(それぞれのレンジ構成について考えるときりがないのでpokerjuiceのサイトのものを想定2bet rangeとして使用しています)。この2bet rangeを上で上げた方法で分類しエクイティを元に3bet handを決定します。
(1)は終わりです。(2)は有料で公開します。ここまでだけでも良いなと思ったらサポートできるように有料設定をしときますが何も続きません。(2)を書くモチベーションになるだけですのでご了解を。
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