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アードベッグデー2019 行ってきた話

このラインが来なかったら、この記事を書くこともなかったであろう。
と考えるとエモいみがあるな。


シンガーソングライターのキツネカオリです。


「なんか藤村が言ってるなー」というかんじで去年のアードベッグデーのレポブログも見てたけど、「よくわからん」「ついていけなさそう」というのが正直な感想で、「まあウイスキー藤村は人気者なのでだれか都内にいるひと連れてテキトーにいくでしょ」と思っていた。


都内までわりと遠いし、ウイスキーは好きだし飲むけど詳しくはないし、”ウイスキー専門のイベント”とか「圧倒的初心者お断り感」を感じるし、威圧感あるし、わからないことが多すぎる故の「不安」の部分が「めんどくさい」という感情に化けてなんとなく腰は重かった。


でもここしばらく埼玉に引きこもりがちだったし、外に出る口実はちょっと欲しかったので、たまには外出とこ〜くらいのかんじでいきました。


代官山の会場まで、渋谷駅からからわりと距離があった...ひきこもり中は食べることがめんどくさくなって軽い栄養失調と夏バテっぽいかんじになったりしていた我が身には少々酷な道のりであった。


会場につくと、外観から気合が入っている。

わたしのミジンコのようなライフは果たして持つのか...!?


などと思っているとウイスキー藤村と愉快な仲間たちがわらわらと集まりはじめたではないか。さすが大スターの藤村さんといったかんじだ。


余談だが、この集団は、みごとに誰1人として時間通りに来ない。
つまり、遅刻のエリート集団である。あと方向音痴のエリートもいる。


「14:30集合な!」といった藤村ですら15分ほど遅れるというのがデフォなので、「初めて行く知らない場所だし、迷う時間も想定しつつ早めに行って場所を確認しry」という感性は装備から外しておくほうが楽ちんです。


みんないい感じにタガが外れていて好きなように楽しんでいる。気楽of気楽


【15:00の部に入場】


リストバンドをつけてもらって入場すると、中は幻想世界。


毎年テーマが変わってるらしいんだけど、
今年のテーマはカリブ海のカーニバルだそう。



内装、スタッフの服装、そしてステージのコンセプトにもカーニバル要素が感じられるように作り込まれていて、まるでディズニーランドの一角に来たみたいだった。まあディズニーランド行ったことないんだけど、そういう気分になったので実質ディズニーだし、わたしのなかのディズニーはこの日、代官山にあった。まあディズニーランド行ったことないんだけど。



とても光っている。
そりゃ主役だし、光らないとね。

【メニューは5種類】


わたしはまずウーガダールをストレートで。

(以下このときの心境)

どれも飲んだことないから雰囲気で選ぶしかない...しかも周りは小慣れてそうなひとばかり。いかに澄まし顔を保ちつつ「慣れている風を装いつつ」はじめて呼ぶ銘柄の名前をさもあたりまえかのように発音するか。


これは、ひとつのミッションだったのだ。


例えるならば、恋愛経験のすくない男子。
カッコ良く見られるためにクールに平然を装うものの、内心はじめてのイベントに心臓バックバク、冷や汗タラタラ、女の子を気軽に下の名前でよぶのもぶっちゃけこわい、「でも俺は男だぜ、この子の前では情けないところは見せないぜ!!」みたいな...


そういうプライドと相手への敬意みたいなものがごちゃまぜになりながら、そういう試練を超えて男は傷を負いながら人知れず泣きながら強くなっていく...そういう心境がこの瞬間には詰まっていた。


あらゆる場面で女の子が不安にならないように振る舞える男の子は、やっぱり頼もしいなとおもう。そういう面では男の子はときには多少の無理をしてでも自分を大きく見せなくてはならない場面が多いのかな、とおもう。


ウイスキー藤村はよく「ウイスキーは女の子」だと言っている。気難しそうなウイスキーラバー男性に対して女の子が苦手意識をもってしまいやすい理由は、ウイスキーへの敬意を表すために背伸びしたりして、知識を蓄えたり、ちょっと難しい雰囲気を出したりしている故に近づき難くなっているのかもしれない。


ミュージシャンにも似たような現象はよく起きていて、演奏技術は高いけど自分の世界やこだわりの強さゆえに、小難しいイメージがついて、「やりづらいひと」と言われることになり、「うまいけど声がかからない」→「仕事が増えない」→「じぶんより下手なのに仕事をもらっている演者に不満が溜まる」という状況でさらに気難しくなっていく構造


そういったプライドやこだわりが「格式」という形で品位の高い世界観を作るという役割もある。高級感のある場所にドレスコードがあって、場に相応しくない人が入れないようにするためのフィルター。でもそのフィルターが冒頭にわたしが感じた感想の「よくわからん」「ついていけなさそう」につながりやすいことも事実だったりする。


アードベッグデーは、ウイスキー×エンターテイメントという切り口で、音楽やファッションとの融合でわたしのような若輩者にも「楽しんでいいんだな」という、いい意味での「隙」が用意されたイベントだった。


ウイスキーへの一点集中ではなく、ウイスキーのコンセプトに沿って作られた「世界観」を楽しめる内容だった。


【ハイテンションなMC】


【スチールパンと、コミカルでかわいらしいダンス】


最後はフレアバーテンのパフォーマンスだったんだけど、目が離せなさすぎて動画どころじゃなかったし、今回出演していた山本圭介氏の既存動画を。


フレアバーテン、初めて生で見たけど水滴一粒もこぼさない、というか水滴の方からグラスに吸い寄せられているように見えるくらい洗練されていて、しかも余裕の顔でそれをやってしまうからシビれてしまった。


わたしは高校時代に吹奏楽部で打楽器をしていたので、石川直さんのプレイのような、躍動的で洗練されている「魅せるドラムプレイ」を見るのが好きなんだけど、そういう高揚感が得られるものだとおもった。

(改めて、生唾...)


【フレアバーテンがパフォーマンス中に作ったカクテル】

ストレートのウイスキーでピリピリしてきた舌先を優しく包み込んでくれるマイルドなおいしさ。

ちょうどいい美人(ほろ酔いとろとろバージョン)もこの通り、ご満悦。

3400円で限定ウイスキーを味わいながらこれだけ満喫できて、お土産にグラスまでもらえる(蓋がついてるのとてもうれしい)のはお得ofお得。しれっと奢られているものの、一度体験したことで価値を理解したし、こんどから実費でも怖がらずに行けそうな予感はしている。

3杯分のドリンクチケットが配られて、楽しむことができたので、

①ウーガダールをストレートで
②10年をハイボールで
③限定のドラムをストレートで

という順番でいただいてきました。
わたしはスモーキーな香りが好きなので、ドラムの香りに圧倒されちゃいました。飲む前から濃厚な香りの膜が鼻の周りを包み込むようにふわりと舞ってきて、いちばん最初に香りを嗅いだときは天女がごあいさつをしに来たようなイメージが容易にできるくらいの衝撃。美味しかった。


わたしは、「ウイスキー全般」を女の子に例えるとするなら、「育ちのよいギャル」なのかなあとおもっている。


育ちの良いひとって見てきたものも考えてきたこともレベルがちがうから凡人にはとても理解できない領域に生きているイメージがあるし、さらにギャルとなると強めの見た目になってくるので(この子と仲良くなれないかも)と恐れたり距離を置きすぎてしまったりしやすいのだけど、勇気をだして近づいたときにやっと見えてくる人間らしさや隠し持っている弱さが深みだったり魅力だったりして、知るほどに好感が高まっていく、そんな印象。


そして、ウイスキーの曲をつくることになった。
わたしにとって「曲にする」という作業は「理解して魅力を抽出する作業」なので、もっと知って、もっと好きになっていくのだとおもう。


2019.06.04 キツネカオリ

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