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工場を退職した後これからどうしていくのかゆっくり考えた。
もともとサラリーマンには向いていない。まぁやりたくても雇ってくれるとこはないのだけれど。。。
でも貧乏生活は嫌だ。
養育費も十分に払ってあげたい。
旅行もしたい。世界中に旅もしてみたい。
おいしいものを好きなだけ食べたい。
可愛い彼女を作りたい。

刑務所に入って人生を無駄にしていた分あれもしたいこれもしたい、絶対失った人生を利子をつけて取り戻すぞ!
という気持ちが強かった。
とにかくこのままご飯を食べて毎日仕事に行ってたまに旅行に行ってと生きるためだけに働いて死んでいくのは絶対嫌だった。
せっかくアリやゴキブリや馬ではなく人間に生まれてきたのだから生きるために働くのではなく、人生を楽しむために働こう。
そう思っていた。

しかし現実はそう甘くはない。ビジネスをしようにも金もなければ信用もない。もちろん人脈もないし何よりアイデアもなかった。
そこでいろいろ考えたり調べたりしているうちにふとある考えが頭に思い浮かんだ。

トレーダーってどうなん?

僕がFXを初めて始めたのはリーマンショック少し前のことだ。
なので2008年くらいだったのかな。
歴だけでいえば結構長い方に入る。しかし当時は全く勉強もせずバカラのような感覚で指標トレードをしてみたり、何よりチャートを表示させても何の分析もできない状態だった。
なのでこんな期間をFX歴として入れていいのかどうかはわからないけどとにかく馴染みはあった。
その後も日経225先物に手を出して大損したり、またFXに戻ったりとずっと損はし続けているのだけど何故かトレードは続けていた。
当時は自身の会社も順調でFXや指数先物で資金を溶かしても次に月にはまたお金が入ってくるという感じだったのでちゃんと勉強することもなくましてや検証やデモトレードなんてやるはずもなくバンバン実弾で札束を溶かしていった。
その当時はまだ検証ソフトなんて聞いたことなかったからそんなものもなかったと思う。
周囲にはFXなんてやっている人は一人もいないし、今みたいにユーチューブなんてないし、ブログも本当にわずかだけ、しかも殆どが月額の有料ブログしかなかったので勉強する材料もなかったのである。

そんな負け組トレーダーのど真ん中にいた僕が何故か
トレーダーってどうなん?
と思ってしまったのである。

普通に考えれば無理だ。今まで勝っていたならまだ可能性はあるがずっと負け続けて家1軒分以上は余裕で負けている。
しかも金もない。
冷静に考えれば自殺行為なのだが失うものがない僕はなにも怖いものがなかった。
成功すれば得るものは大きく失敗して失うものは何もない。
最高のリスクリワードの取引だ。
しかし、FXの世界ではたいていそんな損切5pips、利確500pipsといった夢みたいなエントリーは損切にかかって終わってしまう。
でも僕は負けているトレーダーだ。そんなことに気づくはずもなく人生をトレーダーという職業にフルベットしてみることにした。
この瞬間トレーダーとして人生をやり直す決意をしたのだ!

しかし、いきなりトレーダーとして生活できるわけもないのはさすがにわかる。なにせ取引する金もないのだ。もちろん生活費も稼がなくてはならない。
なので僕は仕事探しに取り掛かった。
しかし以前とは仕事を探す条件が全く違っていた。
給料ではなく一人で仕事ができる環境。スマホや本が空き時間に読める環境。
つまりは簡単に言うと仕事をしながらFXの勉強ができる職場を探しだしたのだ。

仕事を探し始めて一日目。
面白い仕事が見つかった。携帯電話の電波の測定の仕事だ。
KDDIとかdocomoとかの電波状況を車に乗って運転しながら測定する。
それぞれ6台のスマホで1分ごとに電話を繰り返しかけるスマホ、それを受けるスマホ、1時間通話し続けてまたかけて1時間通話するスマホ、それを受けるスマホ、DLのスピードを計測するスマホ、UPのスピードを計測するスマホの6台を並べて計測する。
会社に出社の必要はなく直行直帰。誰にも会わない。

これ最高じゃない!!

こうして僕は仕事探し1日目にして最高の仕事に出会い。
無事採用された。

翌月から支給された測定用の6台のスマホとは別に自分のノートPCと2,3冊の本をもって出勤していった。


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