ベトナム人女性との恋 前編

ロアンとは工場内でも仲良くしていた。各洗濯機はガムの種類ごとに仕切られた部屋に分かれておりその部屋にはベトナム人の女性が一人担当としてその部屋の中ででガムに糖衣をかける仕事をしている。
ロアンは日本語はドヘタだったがとても愛嬌があり人懐っこくかわいい女性だった。当然僕は時間ができるとその部屋にばかり行くようになる。
ただロアンは他の日本人社員やブラジル人、当然ベトナム人にも大人気の女の子だったのでその部屋に行くと必ず誰かどこかの国の男が訪れていた。

ロアンにはどうやら彼氏はいないようだった。でもロアンのもとを訪れる男たちは周りの目を気にしてか人間関係を気にしてか誰もデートには誘わない。もちろん数人のグループで皆で出かけたりはよくしていたようだが誰もロアンと二人っきりでデートしたという話は聞かないのだ。
そうとなればその人間関係や周りの目なんかまったく関係のない僕にアドバンテージがあった。とりあえず僕はロアンをご飯に誘ってみた。

「ロアン。今度仕事休みの時ご飯ごちそうするから一緒に食べにいこー。」と
それに対してすごく嬉しそうに片言の日本語で楽しみにしてると答えてくれた。僕はその場で日にちも設定して次の土曜日の夜にご飯お約束をした。

その日はすぐに来た。夕方六時にロアンの家の前まで迎えに行って一緒に車で焼肉屋にいった。もちろん僕には十分なお金がないので食べ放題の焼肉だ。でも後で知ったがベトナム実習性たちは食べ放題のお店の方が好きらしい。いろんなものをバンバン頼めるのがいいらしい。
ロアンに限らず外国人の多くは焼肉をせっかくの和牛でも肉がカチカチになるくらいしっかり焼く。生の部分があるのが気持ち悪いらしい。
さらにロアンはせっかくの焼肉なのにイカとかホタテとか海老とか回線ばかり頼む。挙句の果てにはサイドメニューの空揚げやピザなんかと頼みだし、メインの肉はほとんど食べなかった・・・。

その中で事件が起きた!メニューの中に生卵?だったか温泉卵だったかは忘れてしまったがとにかく卵があった。
ロアンはそれも頼んだ。
そしてそれを網の上において焼き始めた。僕は卵を殻つきのまま焼く人を初めて見たが特に気にはならずそれよりももっと肉食えよ!と心の中で思っていた。
その約3分後。店内に大きなバンッ!!と、とてつもない音量の爆発音が響きわたり何かが爆発した!!
しかも僕たちのテーブルの上で。
ロアンが網の上に置いていた生卵だった。
ロアンも僕の卵を焼くと爆発することなんて全く知らなかった。
天井にまで卵の破片が飛び散り。もちろん隣のテーブルにも卵爆弾の残骸が飛び散っていた。
本当に爆弾が爆発したかのような爆音に周囲の人たちの悲鳴を聞きつけた店員が何名か何事かと慌てて走ってやってきた。
ロアンは日本語がドヘタなので僕が状況が把握できない店員に卵を焼いていたら爆発してしまったことを説明して謝った。
そして頭を下げながら正面に座っているロアンを見るとニコニコしてイカを食べながらその爆発した残骸を写メでとっていた。さすがロアン。

その日はそれでまた近いうちにどこか遊びに行こうという約束をして別れた。
それから工場で話したり毎日メッセージのやり取りをしたり、仕事終わりにコメダ珈琲でモーニングを食べたりと親交を重ねていった。ちなみにロアンはスタバやコメダなどに聞くと必ず次の日の朝食用にお土産を僕のお金で買って帰っていく女性である (笑)
そして焼肉卵事件の約2週間後くらいにお出かけの約束をした。
ちょうど紅葉のシーズンでもあったので次は愛知県にある香嵐渓という紅葉の超有名スポットへ夜のライトアップを見に行くことになった。

僕はそこで勝負をかけようと決意した。  続く


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