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【初心者向け】『Hyperflip』と『Dariacore』の違い

はじめに:
今回のこの記事を執筆するにあたり、suleiman.jp様、Sar7様のお二方には貴重なアドバイスをいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

正直自分もHyperflipとDariacoreはどう違うのかあまりよくわかっていませんし、特に違いがあるような気もしないです。ただこれからDariacoreやHyperflipを聴き始めたい、作りたいと思っている人は違いが分からな過ぎて困っていると思うので、自分が知っている範囲で解説したいと思います。

すごい大まかにいえば、海外→Dariacore, 日本→Hyperflipです。大まかすぎていろんな人から怒られると思いますが、とりあえず許して。最後まで目を通せば、何が言いたかったのか分かるようになっているので。


Dariacore/Hyperflipのざっくりとした解説

Dariacore/Hyperflipをすごい大雑把に解説すると、いろんな曲からサンプリングして、いろんなダンスミュージックジャンルの要素をぶち込んだ音楽と言えます。

たまに「Hyperflipは音割れでしょ?」みたいな勘違いをされることもありますが、必ずしもそうとは限りません。特にleroyが「Grave Robbing」をリリースして以降、音が割れていない曲も増えてきました。

またサンプリングの元ネタも、アニソンやボカロに限りませんし、本当に様々な曲がサンプリングされています。

まだ聞いたことがない人向けに何曲か貼っておきます。

で結局何が違うの?

結論から言えば、両者に音楽的な違いが明確にあるわけではありません。
海外ではDariacoreという呼び方が使われることが多く、国内ではHyperflipと呼ばれることが多いです。
そのため、日本人が作ったDariacore系の音楽をHyperflipと呼び、海外のものはDariacoreと呼ぶ人もいます。

国内でHyperflipという呼称が定着したのは、「HYPERFLIP OVERTURE」及び「FASTFUSION」がHyperflipというジャンルのアルバムとしてリリースされたからです。
この二枚のアルバムの影響力が、海外でのDariacoreムーブメントの最初の原点となった「leroy - Dariacore」より強かったため、国内ではHyperflipという呼び方が浸透しました。

以降詳しく解説します

Dariacoreムーブメントの歴史

2020年12月2日leroyというアカウントから突如として、「ricky bobby」という楽曲がリリースされました。これがDariacoreの始まりです。leroyは続けざまに数多くの楽曲をリリースし、最終的にそれをDariacoreというアルバムの形にまとめました。その後紆余曲折あってleroyがdigicoreシーンで有名なdltzkというアーティストの別名義であることが判明したらしいです。(ここら辺の詳しい経緯は知りません。許して。)

leroyがDariacoreと銘打って楽曲をリリースしていく中で、海外でleroyのDariacoreに倣って楽曲をリリースするアーティストが多く現れました。彼らは自らの音楽を「〇〇core」というタグをつけて投稿し、サムネなどもテーマにちなんだ画像を用いました。
leroyも参加しているこの「daria vs. core: it's giving charity!」(2021/11/22)というアルバムを聴けばなんとなく当時の雰囲気は分かるかなと思います(多分)。

正直「〇〇core」ムーブメントがどのくらいの規模感で動いていたのかは分かりません。ただsteejは2021/7/17に最初の「Giratinightcore」をリリースしていますし、「2021年夏ごろからにわかに活気づいている」との情報もありますので、そのくらいには既に盛り上がってきていたと考えてよさそうです。

実際、「〇〇core」ムーブメントの影響をleroyが受けていた節もあります。「Dariacore」は全体的に暗い雰囲気が漂うアルバムでしたが、「Dariacore 2: Enter Here, Hell to the Left 」は結構明るい雰囲気で、「〇〇core」ムーブメントの影響を伺えます。現在は削除されてしまいもう転載でしか聞くことはできませんが、ボーナストラックとして収録されている曲は「このムーブメントのみんなで盛り上がろうぜ!」的な感じも若干あるような気がします。「Dariacore」の持つシニカルな雰囲気とは対照的です。

そしてleroyは「Dariacore 3... At least I think that's what it's called?」でその活動を終了することになります。最後の二曲すごいですね。まず「move for me & the penultimate dagger」の後半。かなりキテます。まるで「お前らDariacoreをhyperpopだとかダンスミュージックだと勘違いしてるんじゃねーぞ」とでも言いたいかのような曲です。Dariacore SnareがDroneサウンドに変わる姿は圧巻です。そして最後「Dariacore Song Tutorial」。今まですべて小文字のタイトルで統一してきたのにここにきて大文字が入ってきました。そして曲調はロックです。leroyはDariacoreのチュートリアルやDariacoreをジャンルとして扱う行為などにキレていたのかもしれません(というか絶対そう)。まぁとにかくこんな曲を二曲上げてleroyのDariacoreは一旦終了しました。

そしてdltzkはdltzkという名義をやめ、Jane Removerとして活動することを発表しました。ここまでが大まかな「Dariacore」そしてそれに影響を受けたムーブメントの歴史です。

Hyperflipという名称の起源

注意:
ここら辺のleroyの影響を受けた○○coreムーブメントについての私の知識は非常に乏しいです。またsnare societyのDiscord Serverも無くなってしまい、情報を辿ることも難しいです。なによりleroyのTwitterの投稿がもう見れなくなってしまっています。曖昧な表現になってしまうことをお許しください。

Dariacore3の楽曲をリリースしている間にleroyが「自分はDariacoreを作ってない(2022/1/12)」と発言して、Dariacore界隈が騒然としたらしいです。この発言以降海外ではleroyの影響を受けた○○core全体を示す新しいジャンル名が模索され、その時に「Hyperflip」という呼称が浮上してきたらしいです。

2022/2/6にはJazzPutin氏が以下のツイートをしています。(おそらくはleroyのDariacore作っていない発言に対するリプとして)

leroyのジャンル名を教えてください

それに対するリプライとして

誰か、たぶんschnozzだと思うけど、それを「hyperflip」と名付けたんだけど、それはすごい名前だと思う

2022/3/6にはこのようなツイートがありました。

leroyがDariacoreというタグを否定したことで、今ではそのサブジャンル/サウンド全体を何と呼ぶべきか分からなくなってしまった。hyperflipはクールな名前だが、誰もが使っているわけではない。」

Hyperflipという名称はある程度の地位は得ていたものの、完全に合意がとれていたわけではなかったことが窺い知れます。しかしこれらはあくまでもツイートの情報に基づく推測の域を超えません。

ですが、Dariacoreに代わるジャンル名のコンセンサスが取れなかったであろうことは、なんとなく分かります(なんとなくですみません)。Twitterで、Dariacoreで検索をかけるとたいてい海外の人のツイートが出てきて、Hyperflipで検索かけると日本の人のものが出てきますので、国外ではまだ呼び方に対する結論は出ていないのかなと思います。

Hyperflip前史(国内Dariacoreムーブメント)

これも話せば長くなります。まずさきほど話してた「〇〇core」ムーブメントというのが日本にもやってきていました。
最初期らへん(と自分が認識している曲)を貼っておきます。

2021/8/7

2021/9/10

2021/9/23

2021/9/23

2021/10/2

2021/10/29

漏れはあると思います。すみません。まぁなんとなく雰囲気を掴むということで。少なくともこれらの楽曲がleroyの「Dariacore作ってない」発言(2022/1/12)以前に投稿されていることは重要だと思います。

こうした国内外でのムーブメントが高まっていたことも背景にあってか、「farewell dariacore, you WONT be missed」がリリースされました(2022/8/6)。breakchild主導のもと、国内外の様々なアーティストの楽曲が集められました。

「farewell dariacore, you WONT be missed」のジャケット。「HYPERFLIP OVERTURE」や「FASTFUSION」のジャケットと見比べてみると面白い。

その後も国内でDariacoreムーブメントは続き、様々なバックグラウンドを持つアーティストがそのムーブメントに参入していきました。国内のブレイクコア界隈、アニリミ界隈、音MAD界隈、同人音楽界隈、いろんな人がやっていたと思います。

2022/1/25

2022/5/1

2022/6/18

2022/6/26

2022/8/9

2022/12/11(初出秋葉原MOGRA開催nerdtronics2 現地で聞いててたまげました)

2022/12/23

2023/2/4

この頃からHyperflip名称は日本でもぼちぼち使われていたみたいです。

まだこの頃は、いろんな界隈の中でアンテナ張ってた人たちがそれぞれ「〇〇core」みたいなことをやっていて、シーンとしてまとまりがあるような感じはしませんでした(外から見た感想)。海外で起こっていたDariacoreムーブメントの影響を受けて始めた人やさらにその人から影響を受けて始めた人たちがバラバラでやっていたと思います。

あとまだこの頃はムーブメントの中心はleroyの「Dariacore」だったと思います。

Hyperflipの本格的な広がり

Hyperflipという名称が本格的に使われ始めたのは「HYPERFLIP OVERTURE(2023/3/31)」からで、「FASTFUSION(2023/9/9)」が爆発的に伸び定着しました。

国内で様々な界隈に散らばっていたDariacoreムーブメントを一つのアルバムに集約したのが「HYPERFLIP OVERTURE(2023/3/31)」です。

かわいい

国内でDariacore/Hyperflipムーブメントをまとめあげ、ここまで大々的にプロモーションされたアルバムは無かったと思います。それゆえに影響力も大きく、このアルバムきっかけでHyperflipの存在を認知した人も少なくなかったはずです。このアルバムがHyperflipの序曲としてリリースされたことは注目するべきことです。ここら辺からHyperflipという単語を自分もちらほら聞くようになりました。


次いでリリースされたのが「FASTFUSION(2023/9/9)」です。BPM200以上のかなり音割れ気味のHyperflipにフォーカスされたアルバムです。

kawaii
太田光「いいTシャツ着てんじゃないかよ ラブライブだろ!」

めちゃくちゃバズりましたね。このアルバムで完全に「Hyperflip」という呼び方が国内で定着しました。

またこれ以降にDariacore/Hyperflip的な音楽をやり始めた人は、基本的には「FASTFUSION」の影響が大きいのかなと思います。

いずれにせよこの二枚のアルバムが呼称としての「Hyperflip」そしてジャンルとしての「Hyperflip」を広めたことは疑いようもない事実です。

Dariacore、Hyperflipはジャンルではない

ジャンルではないと言い切るのは語弊がありますが、ジャンルとして扱うといろいろ不都合が起きるので許してください。ここまで読んで来られた方は大体気づかれてるとは思いますが、結局今Dariacoreと呼ばれているものとHyperflipと呼ばれているものに明確な音楽性の違いはありません。というより音楽的な違いでDariacore/Hyperflipと分かれているわけではありません。さらに言えば、leroyの作ったあの「Dariacore」でさえ、1,2,3,Grave Robbingでテーマ性やサウンド感が変わっており、ジャンルとして捉えるのは無理があります。

単純に日本の中で〇〇core的な音楽をHyperflipと呼ぶのが広まり、それ以降日本の〇〇core的な音楽はHyperflipと呼ばれるようになったにすぎません。海外の〇〇core的な音楽はDariacoreに代わる名称のコンセンサスが取れなかったからでしょうかDariacoreと呼ばれ続けている。ただそれだけです。

しかしDariacore/Hyperflipをムーブメントと捉えると両者の間には明確な違いが浮かびあがってきます。leroyに影響を受けたアーティストがそれぞれ〇〇coreと銘打って楽曲を投稿するムーブメントが起こりました。これは「Dariacoreムーブメント」と呼んでもよさそうです。自分自身Dariacoreをジャンルとして解釈することには反対しているのですが、とりあえずそこはまぁ置いておきましょう。ジャンルとしてのDariacoreが成立しなかったとしてもDariacoreが原点となったムーブメントは確かに実在していたわけですからそれを「Dariacoreムーブメント」と呼ぶのは大丈夫だと思います。leroyに影響を受けたアーティストが他の人にさらに影響を与え…という連鎖が存在し、ムーブメントの中心にはleroyが存在していました。

海外のアーティストおよび日本の初期のアーティストは基本的にはこの「Dariacoreムーブメント」の流れに位置付けられます。すなわちleroyの影響を一次的二次的に受け、Dariacoreの真似を始めたアーティストということです。

一方でHyperflipムーブメントというのも実在しています。FASTFUSION Tシャツはクラブファッションの一部になろうとしています。この影響力を過小評価することは到底できません。今の日本のダリハイのシーンは「HYPERFLIP OVERTURE」「FASTFUSION」「CAR CRASH AND SIREN」が原動力となって動いています。これは国内に偏在していた「Dariacoreムーブメント」の動きを一点に結集させたものであり、これらのリリースが無ければここまでダリハイは盛り上がっていなかったです。現在のHyperflipムーブメントの中心は「HYPERFLIP OVERTURE」「FASTFUSION」です。これらのアルバムをきっかけにHyperflipに興味を持ち始めた人は多かったと思います。特に、ボカロ界隈やEDM界隈といった、サンプリング文化とそこまで近くなかった(bootlegとか音MAD、ブレイクコアとかと比べてという意味です)界隈の人たちが参入するきっかけにもなった作品だと思います。

ムーブメントといった観点でDariacore/Hyperflipを区別してみると分かりやすいのではないでしょうか?

DariacoreはleroyのDariacoreを中心とするムーブメントであり、その影響をn次的に受けた人によって担われる。

Hyperflipは「HYPERFLIP OVERTURE」「FASTFUSION」の爆発的なヒットを中心として日本で独自に発展していったムーブメントであり、これらのリリースの影響を受けた人によって担われる。

異論はいろいろあると思います。「そんなくっきりとDariacoreムーブメントとHyperflipムーブメントは分けられないだろ!」とか。ごもっともです。ですがやはり国内と国外のシーンはやはり違うものがあると思います。

主な違いは、leroyの持つ影響力でしょうか。国内でも初期の方からのアーティストはleroyの影響を強く受けているように感じます。しかし国内リスナー層からは、「Grave Robbing」といったleroyの作品群よりも「FASTFUSION」や国内アーティストの作品の方が支持を得ていると思います。
またアーティストに関しても同じで、相対的にleroyの影響力は小さくなってきているのかなと思います。

今後もこの傾向は続くでしょう。どう評価するかは難しい。否定的に評価しようとするならば「自分たちの出自を忘れてしまった」とも解釈できますし、肯定的に評価するなら「オリジナルにとらわれずに自由に表現している」とも捉えることが出来ます。
いずれにせよJaneがどう考えているかは私には分かりません

また私は日本のHyperflipのサンプリング元がアニメやボカロの曲が多いことに文句を言っていた時期(何様?自分で作れ)もありましたが、それも今考えると必然だったと思います。それについては次の章で。

追記:この章の補足(Dariacore, Hyperflipタグの用いられ方、及びムーブメントとして捉えた理由について)

勘違いしないでいただきたいのは、leroyの影響を受けた人たちが「Hyperflip」タグを用いていないというわけではないことです。
むしろleroyは、自身の音楽の影響を受けた作品群が「Dariacore」とカテゴライズされるのを嫌っていた節があるらしく、そうしたleroyの発言を重視する人達によって「Hyperflip」タグを用いることが提案されてきた経緯があります。そのためこうした人達は「Dariacore」のタグをつけないことが多いです。
ただし状況を複雑にさせているのは、Janeが「Hyperflip」という呼び方を公認したことがないということです(間違っていたらすみません)。またさらに複雑なのは、leroyが最近(いつなのか忘れました「Grave Robbing」リリースあたり?)楽曲のタグとして「Plunderphonics」を用い始めたということです。
「Plunderphonics」はJohn Oswaldによる論文と「69 Plunderphonics 96」というアルバムにより1985年に定義されたサウンドコラージュ・サンプリングの手法です。日本語の記事を挙げておきます。この記事によれば、このアルバムは、誰でも知ってる音楽をサンプリングして作られており、原曲への批評・パロディであるとされています。(確かにleroyの「Dariacore」も断片的なマイクロサンプリングを行っていますし、Plunderphonicsに分類できそうといえばできそうです。)
現在leroyの楽曲についているタグはメインが「#Dance & Edm」、サブで「#Dance」「#Plunderphonics」となっています。実際leroyの楽曲を真面目に分類しようとすればそうなります。ですがこれらのタグは結局のところ、楽曲の特徴を分析した結果が張りだされているに過ぎないようにも見えます。また「Dance」はダンスミュージックを指す一般的な名称でしかなく、同じく「Plunderphonics」もジャンルというよりかは、サンプリングの手法としての意味が強いと思います。Janeが何を思ってこのタグをつけたのかは非常に難しい問題です。「Dariacore」はその名前からして批評的であり、なんでもかんでもcoreをつけてジャンル化するという行為を皮肉っているようにも感じられます(実際どうなのかは分かりません)。シニカルなフェイクジャンルとして打ち出された「Dariacore」が固有の名称を付けられ本物のジャンルになることを拒んでいるようにも見えますがどうでしょう?
結局Janeが何を考えているかはよく分からないので、とりあえず今回の記事では「Dariacore」「Hyperflip」をジャンルとして扱うことは避けました。それよりも実際に「leroy - Dariacore」に影響を受けた人たちが曲を作ったという事実、および「HYPERFLIP OVERTURE」「FASTFUSION」に爆発的な影響力があったという事実に着目し、「Dariacoreムーブメント」「Hyperflipムーブメント」という分類で解説させていただきました。
以上補足です。

長くてごめん

日本のHyperflipが海外のそれとは違って見えるのはなぜか?

理由1:
海外ではDariacoreムーブメントは、初期はベッドルームミュージックとして発展していた。日本ではクラブミュージックとして発展していった。
理由2:
日本にはボカクラ、アニクラといった○○core的な文化を受け入れる土壌があった。アニリミ・ボカロBootleg・サンプリングブレイクコア・Jaycoreといった文化もすでに発展していた。海外もリミックスとかbootleg文化はあるけど、有名なPOPSとかEDMが原曲(多分そんな気がする。いい加減なこと言ったかもごめん。)Dariacoreのサンプリングの元ネタに近い。


理由1について:
Dariacoreが発展していったのはコロナの影響がまだ続いていたころで、そのころは、寝室で作り寝室で聞くベッドルームミュージックが流行っていました。初期のほうのleroyのDariacoreなんかも「Dariacore」は本当に曲の時間が短かった。「Dariacore2」になってくると曲の時間が伸びてきてクラブミュージック寄りになります。
日本でDariacoreが発展していったのはコロナが収まってきた頃。人の往来が活発になりクラブが活動し始めた頃。クラブミュージックと接続しない方がおかしいです。
クラブで流して皆で盛り上がれる曲が望まれるようになるのは必然でした。

理由2について:
日本にはボカクラ、アニクラといった受け入れる土壌がありました。アニリミ・ボカロBootleg・サンプリングブレイクコア・Jaycoreといった文化がすでに発展していました。そういった日本の既存のクラブカルチャーで受け入れられる曲は、今までの日本のサンプリング文化でサンプリングされていた曲です。あと同時並行的にボカクラのシーンも盛り上がっていました。ボカロやアニソンが中心になるのは必然です。
また今までのRemix/Bootleg/Samplingの一種としてDariacore/Hyperflipを解釈することになります。だから音作りの技法・ジャンルとして解釈したDariacoreやHyperflipを取り入れるのは結構当たり前だったりします。となると「音割れ」といったサウンドデザインの面が注目され、サウンドが定型化していったことも当然の帰結だったと思います。


以上のような理由から、Dariacoreの元ネタのような、めちゃくちゃ有名な曲というよりかは、クラブでかけて盛り上がれるインターネットアンセムがサンプルの元ネタになっていきました。またHyperflipサウンドが音割れといった要素を中心としたサウンドに定型化していったのかと思います。

これは歴史がどうなろうが必然の結果だったはずです。良くも悪くもなく、ただそうなる文化的背景があったというだけの話です。

終わりに:Dariacore前史

Dariacoreを語るうえで避けて通れないのが、Janeその人です。本来はここで過去名義にまで遡るべきだったと思います。しかしそれは止めておきます。

なぜなら私はインターネット音楽における「名義」というものを重視するべきだと考えているからです。それらは人格であり、単にSoundCloudのアカウント名が違うといった問題ではないです。極論を言えば、「leroy」は「leroy」であり、「Jane Remover」とは別人です。dltzkよりさらに前、vaportrapをやっていたころのJaneの過去名義の曲を掘り返すことの意味は?もちろんそうした曲を聴けば理解は深まります。しかし「Dariacore」そしてそれを作った「leroy」を理解するのには、leroy名義で出された曲を振り返っていくのが一番だと思います。


結局Dariacoreとは何だったのでしょうか?


そもそもleroyがDariacoreを○○coreとして投稿した理由は何だったんでしょうか?ricky bobbyが投稿される(2020/12/2)以前に俄かに流行を見せていたDreamcore/Weiredcoreといったaetheticsとの関連は?これらのaetheticsは、本来無関係な楽曲を○○coreでひとくくりにし一つのジャンルのように扱いました。

こうした試みを彼女が模倣しようとしていたすると考えると、かなり面白い。hyperpop、有名な洋楽、すべての音楽が断片化され改造されひとまとめにされました。繰り返し現れる「fucking garbage」というボイスサンプルとともに。

ゴミ箱であるとするなら、それは一体全体何の?SoundClown的なゴミ音楽の掃きだめとして?それともインターネットで青春を過ごした世代の断片化された記憶のゴミ箱として?もしくはその両方?考えてみても、結局それらは彼女にしか分からないことです。

また○○coreとつく音楽ジャンルと無関係ではないことも事実です。breakcore, digicore, hardcore…あらゆる音楽ジャンルを取り入れています。もっともそれ等はすべてdigicoreに還元できるといわれてしまえばそこまでですが。

Dariaの名を関した理由は?Dariaの持つシニカルさが楽曲に反映されているのかも?でもそれは単なるジョークの可能性も高いですね。


話が長くなりました。いろいろ間違っている部分も多かったかなと思います。長い文章をここまで読んでくれてありがとう。


This article is fucking garbage. Quit writing forever.


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