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その沼落ちは恋に似ている

“恋に落ちる”

という表現が好きだ。

自分から積極的にアプローチをする“恋をする”でもなくて
誰かに好きって言われるような受け身的なものでもなくて。

気がつけば自分では止められない感じとか。
今まで全然気にも留めなかったのにいつしか自分の日常に存在している感じとか。ふとした時に『あ、好きなんだな』って気づいてしまった時の動揺に近い感じとか。確かな約束なんて何もないのに何だか待ち遠しくてソワソワしてしまう感じとか。

表現って言っても小説で直接的な表現を見ることは少ないから
厳密には“恋に落ちる”までの描写…かな。

個人的に恋愛体質ではないので人を好きになったことって数える程しかないのだけれど、本を手にした時に自分が以前に経験したような感情をリアルに蘇らせるのだから作家って本当に凄いなと思う。

そして最近、その“恋に落ちる”に似た感覚があったことに気づいた。


“沼に落ちる”

だ。
【沼に落ちる / 沼落ち】
物事に惹かれ夢中になり抜け出せない状態。
抜け出すどころか沼のようにどんどん深みに嵌っていく様を指す。
※主にネットで使用される表現

私にとってはアイドルを好きになって初めて知った感覚だ。

それまでは好きな楽曲とそれを歌うアーティストの間に大きなギャップというものがあまりなくて、自分の想像から大きく外れないものが多かったから「好き=イメージ通り」だった。でも真逆にも近いアイドルという存在を知った時少し…というかすごく混乱した。
楽曲とアイドルのパーソナルな部分に大きなギャップがあって多面的というか=で結びつかないものがたくさんあったからだ。それに加えて男性を“可愛い”と形容することが割と普通なことにも、実際に「可愛い」としか言いようがない場面が存在することにも混乱した。
(当時キャラとかそういう言葉は知らない)

私は2回、沼落ちを経験しているのだけれど初めての沼落ちはキスマイ。
アイドルなのにブサイク度を格付けしていく番組が入り口だったから、ドストライクなロックテイストの楽曲を聞いた時あまりのギャップに「何だこれ!?」ってなった。
そこから沼に落ちるまでがあっという間で、軽めには綴っていたかもしれないがあまり覚えていない。

2020年3月以降自粛モードで書店は休業・図書館も閉館だった頃、超絶長い文章が読みたくなってインターネットで探したのがきっかけだったのだけれど、意外にも自分からとても近いところに数多くあった。ジャニーズへの沼落ちブログ。

読みだしたら時間がいくらあっても足りないので“スキマ時間に少しだけ”という条件でインターネットやSNSで沼落ちブログを見つけては読んでいる。

予想外だったのは外出自粛中に期間限定で無料公開された映像から沼落ちする人が多かったこと。有料だったら買ってまでは観ないけれど無料なら良い機会だし…から始まり光の速さで沼に落ち、短期間でCD・DVDを購入する人を何人も見かけた。
タダほど高いものは…いや、これは企業の厚意あっての結果だと思う。

「アイドルなのにこんなギラギラした曲歌うの!?」
「ブサイクの人、全然ブサイクじゃないじゃん!」
(わかる…!)

「え?コンサートで女装!?
藤ヶ谷くんめっちゃギャルじゃん!!!」
(わかる…!!ちなみに地上波で女装もコスプレもやってるよ!!)

「マルチアングルって何?」
「1人ずつ追えるの?待って、明日仕事終わって買いに行く。」
「何で目が2つしかないんやーーー!」
(めっちゃわかるーーー!!!)


私、わかる!しか言ってないやん!!!

以前の私なら絶対に使わなかった“わかりみが深い”というオタクが使いがちなワードを心の中で反芻している。私はKis-My-Ft2とTravis Japanが好きなので上記はキスマイから要約文としてピックアップしてみたが共感…共感しかない。

“沼に落ちる”ってたった一言だけど。

好きになる過程も速さも人それぞれで。
同じグループや同じ人を好きなのに、
好きになるポイントが自分とは違ったりもして。
自分の好きな人の新たな一面を“誰かの好き”で発見できたりもする。

自分が沼の底あたりに辿り着くまでに“形容し難い好き”が存在することを知ったから、沼落ちまでの過程が長く詳細に綴られたものも、「ヤバイ」「無理」「え、待って」「好き」といった簡単な言葉で綴られたものもどんな文章も愛おしい。
同じジャンルを好きな人同士であれば語彙力なんてなくても大体伝わるから問題ない。ここぞとばかりに語ってほしい。

自分では止められない感じと好きになる度に発見する驚き。
この何とも言えない高揚した気分を味わえるのは沼の深くに落ちて行く時。
一通り巡ってある程度いろんなことを知ってしまうとその時の感覚は薄れてしまう。
沼のある一定の深さにある“安定した好き”を住処とする私は、私以外の誰かの沼落ちブログを読むことで、いろんな人の“好き”を知ると同時に自分が以前に体験した高揚感を蘇らせている。

実際にアイドルへ恋するかどうかはさておき、
沼落ちってやはり恋に落ちる感覚に似ている気がする。

あともう1つ。
字数制限がある某青い鳥のSNS。
限られた文字数で綴る“好き”は長文以上に“好き”が凝縮されていて、自在に表現できる人の呟きを見かける度に凄いと思う。短文で表現できる才能、本当に羨ましい…

媒体は何にせよ、
“好き”で溢れている文章ってなんて素敵なんだろう。

8月1日から約1ヶ月にわたりLIVE配信で
Summer Paradise 2020
俺担ヨシヨシ
自担当推し推し
緊急特別魂

が開催されるのでこれをきっかけに沼へ落ちた人のブログも読んでみたい。

【追記】
久々に勢いだけでここまで書いてしまって起承転結もオチらしいオチも何にもなくてすごく困ったのである程度書くこと思い浮かべて書こうね。
わたしより


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