白昼夢の青写真と昨今のビジュアルゲーム論
※ネタバレあり
話題になっていた白昼夢の青写真をクリアした。
非常に絵も綺麗で、シナリオも00年代のビジュアルノベルライクな王道のもの。あまり嫌いな人はいないだろうと思われるまとまった構成である。
Key作品や君の名はとかが好きな人であればハマるし、そうでない人にとってはハマらない構成だな。
個人的な感想を述べるとするならば、ここまで王道に「泣かせ」に来るのであれば、SF要素は省いてしまっても良かったのではないかと思う。
・世界人口が7億人にまで減少するほど緊急事態なら、世凪の卵子からクローンを量産しバックアップは取っていて当たり前な世界だと思うし、
・そもそも父親もおそらく能力持ちなんだろうから、能力の発現遺伝子の同定くらいはするべきとか、
・過去作品ファンにたいするサービスだとはいえ2046年(シンギュラリティの翌年)に人工鳩の暴走という事件をただのミスリードとして入れるのは、不親切に過ぎるように思う。
・パラグルコースの話も、普通に理系分野を履修していれば違和感に気づいてしまうほどガバガバの設定だし、いや、別にガバガバな事自体は良いのだが、
主人公を天才設定にするなら、それに気づかず博士になってしまうのも違和感を覚えてしまう。(気付いた人から、上層に上げていくシステムが存在する、などのほうがフェアーだと思ったかな)
・・・といったことは本題ではなく、むしろ上記が目につくからこそ、
このゲームがどういった層を対象に作られたのかという部分が気になった。
結論から言うと、このゲームは「20代後半~40代前半の、15年前にアニメでCLANNADとか見た層」を狙い撃ちしている。(というか京アニでアニメ化、を最初から狙いに行っているように見える。CASE1~3をクールで終わらせられるようにして、CASE0を映画にしたいな、とかすら初期段階で思ってたんじゃないかな)
つまり、ライトな、ミドル層だ。
00年代のビジュアルノベルのメイン購買層は、10~20代のアングラオタクくんたちであったことを考えると真逆だ。
一昔前は、ヒロインが処女じゃなかっただけで、DVDが叩き割られていた時代だったにも関わらず、今作は余裕で貫通済みだ(ヒロインが一人の、ボーイ・ミーツ・ガール作品にもかかわらず!)
対象ターゲットが持ち上がり、ライフステージが大きく変わったんだろうな。
・・・とすると(市場が)先細りしているように見えるけど、そんなふうにも感じないのは、ビジュアルノベルというゲームプラットフォームがつかれた時間の無いリーマン(≒購買力がある)にとって良いのと、アニメだけ追っていたライト層(≒もしかしたら当時割れ厨だった人たちも)が10年越しに戻ってきたとか、その辺が理由なんだろうが。
何が言いたいかと言うと、トレンドの20年周期論のようなものがこんな小さな市場でも起こるんだなと面白がっているだけ。
あと、やっぱりSFと感動モノは相性が悪いね。
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