基本統計量とリッカート尺度
アンケートの選択肢でよく見かける以下のような段階評価の聞き方…
とても満足
やや満足
どちらともいえない
やや不満
とても不満
なぜこのような聞き方をしているのでしょうか。改めて説明します
データの種類
まず、統計データについては以下のように分類できます。
よく「質的データ」と言われるものは名義尺度・順序尺度、「量的データ」と言われるのは間隔尺度・比例尺度のことを指しています。
基本統計量とは
基本統計量とは、収集したデータの基本的な特徴を表す値のことです。
データの特徴の表し方にいろんなパターンがあります。
①標本数(サンプル数・n数)
標本数は調査の対象とした数です。
単純にデータの数を数えれば計算できるので、どんな尺度にもなりえます。
②中央値(メジアン・median)
データを小さいものから順番に並べて、真ん中にきた値が中央値です。
順番に並べる必要があるので、大小関係のない名義尺度では計算することができません。
※順序尺度のデータは本当は四則演算をしてはいけませんが、データが偶数個=真ん中に2つデータがあるときはその2つの平均値をとります
③平均値(ミーン・mean)
データを合計して標本数で割った値が平均値です。
基本的には間隔・比例尺度のみで計算できますが、一部の順序尺度でも計算できます(後述)。
※平均値の問題点
【Ⅰ.外れ値の影響】
【Ⅱ.データのばらつきがわからない】
④標準偏差(SD:Standard Deviation)
標準偏差は平均値のデータのばらつきを指しています。
外れ値があるとばらつきも大きくなるので、標準偏差の値も大きくなります。
標準偏差が大きい時は外れ値があるかもしれないのでデータを確認してみると良いかもしれません。
標準偏差は単品で扱うわけではなく、平均値に併記するのが一般的です。そうすることで平均値だけではわからないばらつきをイメージすることができます。
他にも、「最小値」「最大値」「最頻値」「合計」「分散」なども基本統計量となります。
まとめ:尺度ごとに計算できる基本統計量まとめ
「リッカート尺度」で段階評価を量的データに変身させる!
では、冒頭に戻り、以下のような段階評価で収集したデータはどんな尺度でしょうか?
とても満足
やや満足
どちらともいえない
やや不満
とても不満
これは「順序尺度」にあたります。
そのため、大小しかわからないから四則演算が必要な平均や標準偏差は計算できません。
しかし、条件によっては「間隔尺度」として扱うことできる場合があります。
それが「リッカート尺度」と言われるものです。※上記の聞き方もリッカート尺度にあたります
【リッカート尺度とは?】
ユーザーリサーチやアンケートでよく使用される 心理分析尺度の1つで、アメリカ合衆国の社会心理学者であるレンシス・リッカート氏が初めて使用したものです。
5段階ないしは7段階のスケールを使った質問で、一方の意見から中立・その対極にある意見までを偏りなく選択肢として揃えます。
リッカート尺度は「二者択一に比べて細かく見れる」「使用する側/回答する側どちらにもわかりやすい」などのメリットがありますが、一番のメリットは質的データのはずの「順序尺度」を便宜的に量的データである「間隔尺度」として扱うことができる点にあります。
とても満足 →2
やや満足 →1
どちらともいえない →0
やや不満 →-1
とても不満 →-2
※ウェイト値は一例で一般的なものを記載
…つまり、平均値や標準偏差を確認することができる!
加えて「相関分析」なんかもできる…!
最後に
アンケートを取得するのに、質的データで終わらせるのはもったいありません。
何かを評価させるときはぜひこの尺度を意識してみてください。
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