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森と人のつながり(9) ~森関係女子のコミュニティづくり

はじめましての記事で書いたように、いろいろな人に森とのつながりのお話を聴いています。
九人目は、 FCWS  (Forest Creative Women's School *1) の主催者としてお世話になった M さんです。M  さんは林業関係の雑誌の編集者として林業に関わる多様な活動をされています。

活動の4本柱

ここ3年、福島の森林林業再生に向けた事業がメインです。主なミッションは、放射性物質が森林や木材、キノコにどれだけ影響を与えているのか状況を一般の人々や林業関係者に正しく伝えること。シンポジウムやパンフレット、講習会など多様な方法で情報を発信しています。検査もしっかりしているので、流通している木材には問題がないことを伝えています。

そのほかに、林野庁の人材育成研修事業をずっとやってるんですよ。技術者育成や ICT 技術の普及、フォレスターの育成とかやってます。さらに、ここ3年間で始まった「森女ミーティング」や「FCWS」もあって、いまは、福島、研修事業、森女ミーティング、FCWS が4つの柱でやってますね。

森女ミーティングは、森に関わりたい女性たちが集まり、力を発揮して外に示す場を提供することを目的としてやっています。森女同士でおしゃべりする集う場所があって、一緒に学ぶ場所があって、学んだものを外向けに出す場所がある、っていう感じですね。外向けというところでは、企業とのコラボをホテル椿山荘東京やコンタクトレンズのシード社、製材所のコラボレーションが実現し、具体的な成果が生まれました。

FCWS の成長とコミュニティの力

FCWS は最初は、森と森の恵みを生かした事業や活動を展開したい女性個々に向けて、コンサルみたいな形でスクールとしてスタートしたんです。でも徐々にコミュニティとして成長し、今年四期目が始まってます。最初はコミュニティっていう要素がここまで入ってくるとは思わなかったけど、コミュニティとして謎の成長をしてるなと思ってる(笑)。オンラインだけでなくオフラインでのイベントも開催され、信頼関係が築かれてきてますね。

元々、これを立ち上げたときの林野庁からのミッションは、小規模な林業者の家庭の所得を上げようっていうことで、新機軸を立ち上げて稼ぐ人を応援するっていう目論見だったんです。でも、蓋を開けたら本当いろんな人が集まってる、予想のつかない広がりで、想定と全然違うけど大成功って言ってるんです。やっぱり、森に関わりたい、森でなにか業を起こしたいとかが、いいんですよ。それがお金につながることだったらなおいいけど。そういうことが活発化することが、林野庁の目的のそのものだからね。本当に思ってもみなかった方向に転がってて、めっちゃおもしろい。ノープランで走りながら全部考えてるっていうか、だから全くわかんないこの先(笑)。

三期やってきて、もともと林業や木材産業じゃない方々の発想や熱意と、もともとの山の人との出会いが最もおもしろいことになってる。森林がすごい好きだったりなんかやりたいって思ってる人たちで、林業関係の人とあんまりつながりがなかった、そういう方々にこそ受けてもらえたらいい。

研修授業で人材育成をやる中で本当に全国の熱意のある県や国の職員の人と出会うようになってなんか本当にその出会いというものが、人間や活動事業の推進力になるんだなっていうのはしみじみ思ってたところがあって。それで森女ミーティングがあって FCWS があって、私としてはその思いがどんどん強まってるなと思ってますね。

林業分野に入ったきっかけ

この分野に入ったきっかけは、大学時代の林業体験サークルです。大学では林学科に進み、友人が立ち上げた林業体験サークルに参加。林業家のお家に寝泊まりして下刈り除伐からすべての作業を一緒にやったりさせてもらってて三年ぐらいみんな通ってたんだけど、そのお世話になった林家さんがやっぱり原点ですね。

その林家さんが、やっぱり林業って本当に知られてないから一般の人にもっと知ってほしいなっていうことを言ってて、それがもとになって全てをつなげてやってると思っています。その出会いがなければ、今の私はなかったでしょう。

大学の学部を選ぶとき、野生動物だったり、森林だったり、自然っていうのがすごく大きく見えて、生態学やりたいと思ったんですよ。でも受験科目の関係で、農学部にしたんです。でも、今思うとやっぱり一次産業に関われことはよかった。生態学っていうと理学系になっちゃうから、生業や人の暮らしみたいなのと遠いと思うんだけど、林学科だから産業なのでそれがよかったと思う。全部偶然、運ですよ、運。

これからの展望

頑張っている人たちを支えたいっていうのが私の動機なんですよ。FCWS や森女ミーティングのメンバーの誰かの願いが実るために何かしたいって思ってるので、みんなを支えていくっていうことをずっと続けていきたいな。
困ってる人や、頑張っているのに理不尽な目にあってる人が、膝が折れてもうダメってなる状態がもう絶対嫌なわけ。

女性活躍促進、男女共同参画の流れで森林林業関係でやってる人いないんです。最近はそこをちゃんとしっかりした動きにしていかなきゃいけないかなっていうのは感じてて、それが FCWS と森女に関わった自分の今後のミッションかなと。十年ぐらいかけて長い目で取り組んでいくことかなって思ってます。

M さんのお話を聴いて

FCWS に参加していて、M さんはいつもとても強い思いで、この活動をひっぱっていると感じていましたが、最初からそれを目指していたわけではなく、いろいろな偶然からここにつながっているというお話がとてもおもしろいと思いました。

FCWS は M さんのお話の通り、まさに、林業ど真ん中の方も、森に関わる活動を始めている方も、私のように興味があるけれども全くしろうとの人も参加しているスクールです。その人たちが2週に1回半年間のスクールを通して知り合って、仲間意識を持って、お互いを応援しあえる関係をつくれているのは M さんのおかげだし、林業のすそ野を広げる大事な活動だと実感しています。

FCWS も森女ミーティングもはじめは、M さんにとって、業務としてアサインされてテーマが与えられたものだったけれども、動かしていく中で M さん独自のアイデアでどんどん発展していって、森に関心のある仲間を横でつないでいっているのがすごいと思いました。

「困ったりしてる人や、頑張っているのに理不尽な目にあってる人が、膝が折れてもうダメってなる状態がもう絶対嫌なわけ。」は本当に強い言葉で、この想いが原動力になって、私たちをつないでくれているのだとよくわかりました。

森に関わりたい、森でなんか業を起こしたいとか、それがお金につながることだったらなおいい、という活動の活発化、まさに、M さんの周りでその波が起こっているなぁと感じています。

補足

(*1)FCWS (Forest Creative Women's School)
森林資源を活かした新しいモノ・コトづくりや、事業拡張に調整したい女性のためのオンラインスクール
https://m.youtube.com/watch?v=AG9VzFKWesc&list=PLdpiwGzmzDdxqYBrOLFygnJ8bXAu5Sh8l

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