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外貨建て保険について解説!

お久しぶりです。
連日、コロナ関連のニュースや株価の乱高下で様々なところで騒がれているようです。
私は、1週間ほど前にフィリピンに行っていたのですが、
中頃から発生した謎の腹痛に日々悩まされております(笑)。
読んでいただいている皆様もお体にはお気を付けください。

さて、今回は外資建て保険について書いていきます。
基本的なことを中心に最後に今後外資建てがどのようになってくるのかについて少し深堀りしていきます。
(ご指摘やご意見ありましたら、積極的にいっていただければ幸いです。)

外貨建て保険とは?

外貨建て保険とは、米ドルや豪ドルといった外国通貨で
保険料支払いを行い、その通貨で運用される保険のことを指します。
(※保険料は支払う金額、保険金は受け取る金額)

恐らくよく目にする保険会社のCMなんかでは、
「月々~~円の支払いで、もし入院になった時に~~円の保険金を受け取れます。」
みたいな言葉を聞くと思います。
これは保険料も保険金も円での取り扱いとなる円建て保険です。

一方、、、外貨建て保険は
「月々~~ドルの支払いで、もし入院になった時に~~ドルの保険金を受け取れます。」
というようになります。
具体的に述べると、
円受け取り可能な商品であったり、
一時払いや解約返戻金の扱いの違いなど保険商品によって少しづつ違うのですが、
一度持っている円を外貨に換えて運用するという認識でよいと思います。

なぜわざわざ外貨建てにする必要があるのでしょうか?(顧客目線)
・資産運用として円高時に購入円安時に受け取りの場合利益が出る
・日本の金利よりも増収が見込める
といったところです。

下記でより詳しく特性やメリット・デメリットをまとめていきます。

近年の動向

外貨建て保険は1973年にメットライフ生命が外資系生命保険会社第一号として日本へ進出してきたことがきっかけで始まりました。
(1973年2月に1ドル=360円の固定レートから為替変動制となった背景があります。)

【加入者の推移】

画像1

上記のグラフのように外貨建て保険への加入者の数は年々増えています。
大きな理由の一つとして、銀行での販売が開始されたことにあります。
皆さんも銀行の窓口に行くと、外貨建て積み立て~~の様な文字を目にしたことがあるのではないでしょうか?

銀行での窓口販売(以下、銀行窓販と省略)は2001年から試験導入が始まり、2007年に本格的に導入が始まりました。
その後、2016年にマイナス金利が開始され、円安予想もあり、より一層銀行として預金者への外貨建て保険の加入を推し進めた結果、上記のようにかなりの人が加入するようになりました。
(※2020年に関しては、海外の低金利などで少し停滞)

【銀行が窓口販売をした理由】
銀行が保険商品を窓口販売することのメリットはどこにあるのでしょうか?
銀行の利益体系は以下のようになります。

銀行の収益体系

連結粗利益= 「資金利益」「役務取引当利益」「特定取引利益」「その他の業務利益」

資本利益・・・預金等で調達した資金を貸出金や有価証券で運用して得られた利益

資金粗利鞘・・・貸出金。有価証券などの資金運用利回りから預金金利などの資金調達利回りを差し引いたもの

役務取引当利益・・・貸出業務、証券業務、為替業務などの銀行が提供するサービスの対価としての受け取り手数料から他の銀行等に払った支払手数料を引いたもの

特定取引利益・・・特定取引勘定で行うよう有価証券等の市場取引やデリバティブ取引等から生じた収益と費用の差額

その他の業務利益・・・投資目的で保有していた国債の売却による損益や外貨による損益など

まとめると、
・資金運用
・貸金業
・手数料
この3つで大半の利益を出しています。
銀行としては、マイナスの危険性が高い株式投資などは基本的に運用として用いず、国債を買うことで固定の金利で利率は低いながらも多くの資金を集めることで利益を獲得してきた。

そこで、貸金業を進めることや、手数料に関しても工夫がなされてきたが、
2016年のマイナス金利以降地方銀行を中心に本業で赤字が続いたために
外貨建て保険を預金者に進めることで高金利で運用するために
手数料を高く設定することができ、
利益が期待できるためにメガバンク・地方銀行は外貨建て保険を推し進めています。

【クレームについて】

こちらの記事などで頻繁に最近、話題になっているのは、外貨建て保険の販売時における説明のずさんさです。

クレームの例としては、
・元本割れすると知らなかった
・手数料について説明がなかった
・言われていた利率と違う
などが挙げられます。

上で述べたように、
銀行は預金者になるべく早く外貨建て保険に加入してほしいと考えていたため
窓口によっては、きちんとした説明をせずに販売していたことが明らかになり、
多くのクレームがクローズアップされました。
様々な記事で挙げられているようにクレーム数は増加し続けており、
かなり生命保険協会中心に問題視しています。
(加入者もかなり増えているので、クレーム率は下がっています。)

特に、銀行は預金者の通帳にどれほどの預金が入っているか把握しているため、
大口契約を取るにはおのずと預金額が多い高齢者に加入を勧めました。

そこで、生命保険協会は上のように外貨建て保険の販売資格の設立を発表しました。
他にも高齢者に関して、家族の立ち合いを要求したりと
対策を打ち出しています。
今後、銀行窓販や代理店販売がどのようになっていくのか
追っていきたいところです。
次に、「顧客」「生命保険会社」「銀行」に分けて
メリットとデメリットを述べていきます。

外貨建て保険のメリット

【顧客にとってのメリット】

・ゼロ金利の中で、金利の高い外貨建てをすることで
 「貯金」⇒「資金運用」となり、利益が期待できる。
・外貨に換えるため円高時に換えて円安時に受け取ると差益を期待できる。

【生命保険会社にとってのメリット】

・金利が高い外貨で運用するため大きな運用益を期待できる。
・為替での差益を期待できる。

【銀行にとってのメリット】

・「円⇔外貨」での為替手数料を2回得ることができる。
・金利が低い中で待機資金を保険で収益可能にする。
・高金利で運用益が期待できるため高い手数料設定ができる。

外貨建て保険のデメリット

【顧客にとってのデメリット】

・満期の時期が契約時よりも
   円安の場合は、大きな利回りが期待できるが、
   円高の場合は、損失となる。
・途中解約で手数料を多くとられる可能性がある。

【生命保険会社にとってのデメリット】

・顧客への説明が難しい。
・商品特性上、顧客が大きな損失を抱える可能性がある。

【銀行にとってのデメリット】

・販売時での説明が難しい。
・投資信託とは違い、資金に手を付けることができなくなる。

今後予想される動き

第一生命やオリックス生命など多くの生命保険会社の直近のIRでも述べられているように、
外貨建て保険は今後も推し進めていく方向性にあります。
海外保険会社を買収したりすることで、
より手広い運用を進めていくと思われます。
また、上で述べたデメリットをできるだけ低減させるための商品開発も進んでいます。以下でいくつか挙げていきたいと思います。

・ベアファンドとの掛け合わせ
ベアファンドとは投資信託で使われる言葉です。
ベアファンドの対義語としてブルファンドがあります。
ブルファンドは、上昇相場で大きく利益が出るファンドで
ベアファンドは下落相場で大きく利益が出るファンドのことを指します。
(下落で利益というのは、先物を使って売って買い戻す手法を使う)

何を言いたいかというと、
外貨建てと言っても外国債での運用になってくるので、
リスクはかなり上がりますが、株式運用なども考えて、
その中で組み合わせでリスク分散しながら運用していくことが求められるのではないでしょうか。

・新興国通貨の取り扱い
現状は、米ドルや豪ドルを中心に外貨建ては行われています。
既に各生命保険会社が海外保険会社の買収を進めていますが、
より金利の高い新興国での運用も今後予想されます。
一方で、金利が高い国は、物価上昇率も高いため、購買力が低下したときに通貨下落しやすいという傾向があります。為替レートが最終的には関わってくるので、相対的円高となり含み損となる可能性もあるので注意したい。

・元本保障/変動型保険料
既に販売されているが、元本保障がついた保険商品や変動型保険料の商品がある。
保険の商品は一時払い(契約時一括)や平準払い(毎回一定額支払い)がある。
平準支払いにも、支払金額を円で確定する商品と外貨で確定させる商品があります。
引用ですが、以下の図が分かりやすいです。

画像2

リスクヘッジとして、元本を割ったらストップするであったり、一定を超えると利確するであったりと選択肢は多岐にわたります。
投資商品として、自分の許容できるリスクと期間を考えて、最終的には投資者責任なので自分で選択するべきです。

まとめ

外貨建て保険、今まで記事で書いた与信調査、
生命保険市場の動向、貸金業界、
今のコロナをトリガーとした下げ相場はかなり密接に関わっていると思います。
国債を保有しているのは、過去はどこで今はどこなのか?
日経225の主要銘柄の筆頭株主はどこなのか?
なんかはおって行く必要があるのかなと思っています。

この記事で述べたようにマイナス金利による外貨建ての流れについて
地方銀行やメガバンクは日銀の政策金利適用残高にほとんど残していませんが、公的年金や企業年金を運用している信託銀行は、年金の原資をリスクの高い投資に振る選択はしづらく、マイナス金利適用の政策金利適用残高に多くの資金を残しています。
信託銀行は約10兆円弱を残しているため、負担額は100億円近くにも上ります。

また、為替スワップ市場での円資金調達コストが相対的に低位で推移する中で外国銀行は、積極的に積み増す先があり、政策金利残高は多く残っている。
(為替で利益が出るため信用リスクのない日銀に預けていると思われる。)
よりマイナス金利を深堀りするとなってくると年金資金を中心に顧客へ大きな損失を与えることになっていくと思われます。

次に、メガバンクや地銀に関しても、昨年から「預金>貸出」となっており、2020年は企業買収も下降予想がされているため、
利益を生むことが非常に難しくなってくる可能性が高いです。
銀行としては、
「個人への貸金業を進める」
「外貨建て保険を進める」
といった対策を講じていくのでしょうか。

アメリカのように個人が借金を背負う方向性を示し市場の流動性を高めるのかや
欧州中央銀行の金融政策についても今後追っていく必要があると思っています。

コロナ関連で様々なサービスがストップし始めて1か月ほどになりますが、
個人では非正規雇用の方々、法人では製造業やサービス業中心とした中小企業のCFがきつくなってきていると思います。
前の記事でも述べたようにグラミン銀行にようなマイクロファイナンス需要が予想されるリセッションの中で上がってくると思われます。
第一波であるコロナ関連の市場下落での個人や法人への各社の対応についても見ていきたいところです。

僕個人としては、市場が変わるときはチャンスだと思っています。
初めて乱高下を目の当たりにして
毎日様々なことがインプットできて良い経験となっています。
チャンスをつかめるように頑張っていきます!!

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